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1 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:02:39.22 ID:J47/a9vg0
前田「いらっしゃいませ~…ってたかみな?」

高橋「よっ!」

前田「どうしたの急に…カットの予約ならメールで言ってくれれば…」

高橋「ううん、違うんだよ。これ…(カサッ)今朝の新聞記事…」

前田「?」

高橋「ぱるるが…亡くなったんだ…乗っていたエレベーターの事故で…」

前田「(ハッ!!)新聞にはなんて?」

高橋「特に不審な点はないって…」

前田「…また…偶然なの?」

高橋「そんなわけない。こんな偶然ばかり続くわけないよ!!」

前田「……」


2 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:03:12.47 ID:J47/a9vg0
高橋「AKBが解散して5年…今年に入ってメンバーだった子達が次々と亡くなっている。こんな偶然…あるのかな?」

前田「でも…みんな事故なんだよね…?」

高橋「ああ…だけど…こうも続くとさすがに何か理由があるような気がするんだよね…」

前田「理由かぁ~」

高橋「メンバーに聞きたくても今はもう連絡先を知らない子達も多いしなぁ…」

前田「みんな今は何してるのかなー」


5 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:03:49.23 ID:J47/a9vg0
高橋「あっちゃんはみんなと連絡取ってないの?」

前田「解散して最初のうちは連絡取り合ったりしてたけど…ともちんは歌手活動が忙しそうだし…にゃんにゃんもバラエティ出まくりで…」

高橋「優子はドラマに映画と出演が続いてるしなぁ~麻里子に関しては今や大人気のファッションブランドを立ち上げて、女社長だもんな…忙しいよね…」

前田「うん、そうだね。でも毎回新作が出るたびに送ってくれるよ」

高橋「忙しくなっても、そういうとこは変わらないよね、麻里子」

前田「だからみんなで集まるのは無理そうだよねー」


6 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:04:26.06 ID:J47/a9vg0
高橋「…だけど…心配だな…やっぱり集まれるメンバーだけでも一度、話し合ってみるべきだと思う。あたし、連絡先知ってるメンバー達に呼びかけて協力してもらうことにする!」

前田「ほんとー?じゃあ具体的な日にち決まったら、早めに連絡して?仕事休みもらうから」

高橋「うん、大変だね、トリマーさんは」

前田「アハハ~でも楽しいよ?あたし動物好きだし」

高橋「じゃあ仕事中に悪かったね。またうちの猫のカットもお願いするよ」

前田「はーい、じゃあまたねぇー」


7 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:04:56.69 ID:J47/a9vg0
数日後、○×テレビ局内――。

指原「おつかれっしたー!」ガチャッ、タタタッ…

大島「(ヒョコッ)あー!指原ー!久しぶりじゃーん」

指原「あれ?優子ちゃん…どうしたんすか?」

大島「すぐそこのスタジオでドラマの撮影してるんだよ。今は休憩中。指原が今出てきたスタジオって、にゃんにゃんの番組収録してるんでしょ?会えるかな~♪」

指原「あ、小嶋さんならもう収録終えて次の現場行っちゃいましたよ?」

大島「え?そうなの?なんだぁ、残念」

指原「小嶋さん、忙しいですからねぇ…」

大島「そういう指原だって、今じゃ立派に放送作家のお仕事してるじゃん。最初聞いた時はびっくりしたけどね、まさかにゃんにゃんの冠番組の作家さんが、指原だったなんて」

指原「へへっ、指原だって成長しますよ。AKBが解散して、もう5年も経つんですからね」

大島「みんなそれぞれの道で頑張ってるんだなぁ…あたしも撮影頑張ろうっと」


9 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:05:37.75 ID:J47/a9vg0
指原「あ、そういえば優子ちゃんも聞きました?今度、メンバーで集まるらしいですよ、たかみなさん幹事で」

大島「うん、連絡来たよ。でも生憎その日は撮影入ってて行けそうにないんだよね…」

指原「優子ちゃんもですか?指原もその日は仕事で…小嶋さんも収録があるとかで行けないらしいんですよね」

大島「じゃあまた次の機会かなぁ…もっと前に言ってくれてたらスケジュール都合ついたかもしれないのに…」

指原「今回急ですよね。どうしたんだろう…」

大島「もしかして、あのことじゃない?ほら、先週ぱるるが亡くなって、これでメンバーの死亡事故は10人目…たかみな、きっとみんなのこと心配してるんだよ」

指原「え?何ですか事故って」

大島「新聞読んでないの?」

指原「あぁはい…10人目って…」


11 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:06:35.40 ID:J47/a9vg0
大島「先々月からだよ…最初はちぃちゃんの転落事故からだった。駅のホームから線路に落ちて…それからみおりんの爆発事故、ガスが洩れて、住んでいたマンションの部屋ごと吹っ飛んだらしい…そんな事故が続いて、先週のぱるるの件で10人目なんだ。AKBのメンバーが事故で亡くなるのは…」

指原「えぇーそんな指原全然知らなかったですよぉぉ何ですか事故って!そんな続くもんなんですか?しかもメンバーばっかり?何なんですかもぉぉ~呪われてるんですかAKBは!マジで指原怖いんですけどぉぉ~(泣)変な冗談やめてくださいよぉ優子ちゃん」

大島「いや、冗談とかじゃなくて本当なんだよこの話。ね?おかしいでしょ?たかみなも何か思うことがあるのかもしれないね…」

AD「あ、いたいた大島さーん!撮影再開しますよ~」

大島「はーい、今行きます。時間だ、じゃあね指原仕事頑張って。この話はまた次の機会に。ちゃんと新聞は読めよ?社会人なんだから」

指原「はい…」


12 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:07:17.87 ID:J47/a9vg0
5日後――。

部長「あぁ、高城くんもう帰るのか…」

高城「はいーすみません。今日は大事な用事があるって、言ってませんでしたっけ?」

部長「聞いてはいたけど…用事ってなんだい?そんなにおしゃれして、デートかな?」

高城「あ、違いますー」

部長「まぁまぁまぁ、遊ぶのはいいけど、遊びすぎて寝不足で、仕事のミスだけはしないでくれよ?高城くん?」

高城「大丈夫ですよ。それより部長、今日渡した企画書、ちゃんと目を通しておいてくださいねっ!」

部長「あぁ…何だっけ、じゃがりこを最適な温度で保存できる機能のついた冷蔵庫の企画書だっけ?こんな機能必要としてるの、君だけだと思うけどねぇ~高城くん?…って、もういない…帰ったのか…」

高城(もぉ~部長の話に付き合ってたら電車乗り遅れちゃうよぉ。今日は久しぶりにメンバーが揃う日だもん、遅刻はだめだよね。みんな元気かなぁ、会うのが楽しみっ)


13 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:07:54.26 ID:J47/a9vg0
30分後――。

高城「遅くなりました~(ヒョコッ)あ、明日香ちゃん!萌乃ちゃん!」

倉持「あきちゃ~久しぶり」

仁藤「すごーい、あきちゃそんな格好してるとすっかりOLさんみたいだよー」

高城「OLさんみたいじゃなくて、実際にそうなの。今日だって部長に企画書見せたり、色々頑張ってるんだから!」

倉持「家電メーカーだっけ?すごいよねぇ」

高城「うん。明日香ちゃんは今何してるの?」

倉持「去年学校卒業して、今は歯科衛生士として働いてる」

高城「へぇ~じゃあ虫歯になったら、明日香ちゃんのいる歯医者さんで診てもらおう!ねぇねぇ萌乃ちゃんは?今何やってるの?」

仁藤「美容師!って言ってもまだアシスタントなんだけどね…元々髪いじるの好きだったから、仕事は楽しいよ」

高城「じゃあ髪切るときは萌乃ちゃんのいる美容室だな。それにしてもこのお店おしゃれだねぇー他に人いないみたいだけど、貸切なの?」


14 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:08:30.83 ID:J47/a9vg0
倉持「まりやんぬが押さえてくれたみたいだよ」

仁藤「あ、そうなんだ!よく予約取れたね…」

倉持「仕事のつてで無理言って借りられたみたい。ほら、まりやんぬは今、料理研究家だから」

高城「あ、わたしまりやんぬが雑誌で連載してるの見た~」

倉持「あたしはまりやんぬの料理本持ってるよ。栄養バランスの取れてる料理ばっかりで、すごく参考になるのよね。仕事で患者さんに栄養指導する時とか、まりやんぬの本をお薦めしてるんだ」

仁藤「元アイドルの経歴を持つ美人料理研究家とか言われて、ブログもすごい人気だよねー」


15 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:09:03.78 ID:J47/a9vg0
高橋「はいはいみんな~久しぶりに集まって色々話したいところだけど、今日みんなに集まってもらったのには理由があるんだ。知ってるよね?事件のこと…」

前田「今年に入ってから10人のメンバーが亡くなってるの。これってただの偶然だと思う?」

仲川「怖いよねぇ~どうしたんだろう」

板野「何か、原因があるの?」

高橋「事件はすべて事故という形で処理されている。だけどこんなに立て続けにメンバーが事故に遭うなんておかしいと思うんだ。絶対何かある。もし今までのことが事故ではなく、巧妙に仕掛けられた殺人なのだとしたら…」

峯岸「さ、殺人?!そんな…それこそおかしいよ。なんでメンバーが殺されなきゃいけないわけ?」

河西「でも…今でもファンだった人が職場に来たりすることあるよ?どこで調べたのかわからないけど。亡くなったメンバーはみんな、ストーカー被害に遭ってたのかもしれないよ…それできっとそのストーカーに…」

篠田「AKBの突然の解散発表に、今でもファンだった人の中には裏切られたという気持ちを持ち続けている人がいるかもしれないね。推してたメンバーだからこそ、憎く思えてくるのかも」


16 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:09:35.32 ID:J47/a9vg0
宮澤「そうだとしても、解散から5年も経ってるんだよ?今さらそんな…」

前田「とも~み、職場にファンだった人が来るって怖くない?大丈夫なの?」

河西「うん、今のところは平気。生徒にからかわれたりはするけど」

板野「そっか、とも~みは今、保健室の先生だっけ。どうせ誰もいないとさぁ、保健室のベッドで昼寝とかしちゃってたりして」

河西「やだ、たまにそういうことはあるけど、仕事中にはあんまり寝ないように気をつけてるもん!そう…それでね、最近メンバーの事故が続いて、あたし、ちょっと不安になってきちゃってさ…」

前田「……」

高橋「とにかく今はみんな用心しておいたほうがいいと思う。なるべく1人で出歩いたりもしないほうがいいかもね。後、ちょっと聞きたいんだけど、一連の事故がもし事故ではなく殺人なのだとしたら、誰かメンバーが襲われたことで心当たりのある人はいない?」

シーーン…


17 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:10:12.43 ID:J47/a9vg0
高橋「どんな些細なことでもいいよ。亡くなったメンバーから相談を受けていたとか、何かに怯えているようだったとか、知らないかな?」

岩佐「わたし、AKBが解散してからはほとんど誰とも連絡取ってなかったんで…」

菊地「…あたしもだ…」

倉持「あたしも仕事が忙しくてついメールの返信忘れてたりしてたら、いつの間にか疎遠になっちゃって…」

高橋「そうだよね…」

峯岸「あ、でもさ、みんな1人くらいは連絡取ってるメンバーいるでしょ?今日だってみんなで連絡回しあって集まれたんだし!忙しくて会うことはできなくても、電話で聞いてみるとか出来るよ、きっと」

宮澤「それなんだけど…どうしても連絡の取れないメンバーがいるんだよね…」

峯岸「え?誰?」


18 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:10:42.56 ID:J47/a9vg0
宮澤「才加だよ。弟さんの話だと、ベトナムに行くと言って出てってから連絡が取れなくなったらしい…」

前田「は?ベトナムって…」

宮澤「よくはわからないんだけど、3年前に仕事でベトナムに行ってからまだ帰国してないんだって」

板野「まさか変な事件に巻き込まれたんじゃ…」

高橋「3年前だから、今回の事故とは関係なさそうだけど…心配だね」

宮澤「落ち着いたらあたしも才加を探しにベトナムへ行ってみようと思う」

篠田「だったらあたしも付き合うよ」

宮澤「うん、ありがとう」


19 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:11:14.03 ID:J47/a9vg0
島田「あのぉ…」

前田「ん?どうしたの?」

高橋「何か知ってることがあるの?」

島田「いえ、それは…でもちょっと気になることがあって…、みなさん、あのノートのこと覚えてないですか?」

板野「ノート?」

梅田「え?何だっけ?」


20 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:12:18.08 ID:J47/a9vg0
島田「5年前、撮影が終わって楽屋に戻った時、机の上に変なノートが残されていたことあったじゃないですか。中身が結構問題になって…」

岩佐「あ!あったあった!わたしも覚えてる!」

島田「あのノートって、メンバー全員の死が書かれていたんですよね。なんか予言みたいな感じで。死亡する日付までは書かれていなかったけど、具体的な死に方まで詳細に書かれていたはず…」

島田「ぱるるの事故を聞いてから思い出したんですけど、確かあのノートのぱるるのページにはエレベーターの落下事故で亡くなるって書かれていたんですよ。これって、ただの偶然ですかね…」

篠田「それ本当?」

島田「はい、みんな気にしてなかったけど、ぱるるはあんな性格だったから異常に怖がっちゃって…しばらくエレベーターに乗らないで過ごしていたからあたしよく覚えてたんです。それで今回、ノートのことを思い出すきっかけになったんですけど…」

高橋「……」


21 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:12:53.19 ID:J47/a9vg0
倉持「そうだ思い出した!ちいちゃんが駅のホームから落下したのも、確かノートの内容そのままだったんじゃ…嘘…なんで今まで気付かなかったんだろう」

永尾「みおりんの爆発事故だって、たぶんノートに書かれた通りだったと思います…」

(ザワザワ……)

河西「怖いよ…予言のノートだったなんて…あたしのページどんなことが書かれていたんだろう…ねぇともちん、覚えてる?」

板野「わからないよ。自分のだって思い出せないくらいだもん…あんなの、ただの悪戯だと思っていたからまともに読まなかったし…」

梅田「…ねぇ…もしかして今回の事故って、ノートに名前が書かれていた順番で起きてるってこと、ないかな?」

前田「え……?」


23 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:13:23.46 ID:J47/a9vg0
梅田「最初のページに書かれていたのがちいちゃんだってことは覚えてるの。それに先月事故に遭ったなっつみぃも、比較的早いページに書かれていた気がする…」

宮澤「そういえばそうだったような…」

仲川「怖いなぁ…呪いのノート?あたし自分が書かれた順番覚えてないや」

前田「でもさぁ、結局あのノートって、誰が何のために書いて楽屋に置いておいたんだろう…」

峯岸「誰かはわからないけど、嫌がらせのためだったんじゃないの?」

倉持「当時はそう思えましたけど、ノートの通りに誰かが事故を起こしてメンバーを殺害していってるのだとしたら、5年前から計画されていたことになりますよね…犯人は相当執念深い人物…」

宮澤「結局その後、あのノートってどうしたんだっけ?」

小林「しいちゃん持って帰らなかったっけ?」

大家「え?うち?持って帰ってらんよ。もっちぃじゃないの?」

倉持「そんな気味悪いノート、家に持って帰るわけないよ」


24 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:14:01.31 ID:J47/a9vg0
島田「あの、誰が今そのノートを持ってるか、みなさん心当たりないんですか?」

米沢「誰かが持って帰ったってことだけは覚えてるんだけどね…」

前田「肝心なのはノートを持っている人じゃなくて、ノートを書いた人じゃない?書いた本人ならノートの内容は覚えているだろうし、その順番で今回の事故を起こしていってるんじゃないかな?」

島田「だから実際にノートを見れば誰が書いたものなのか検討がつくかと思ったんです。ノートには何人か名前が書かれていなかった人がいますよね?だからそのうちの誰かが書いたものなんじゃないですか?いくらなんでも自分の死亡予告は書かないと思うんで…」


26 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:14:30.77 ID:J47/a9vg0
前田「たかみなは書かれてなかったよね?あと麻里子も」

篠田「そうだね」

高橋「うん…」

前田「あと誰だったけ…名前書かれてなかったの…うーん、思い出せないや」

篠田「陽菜も書かれてなかったよ」

前田「え?そうなの?いいなぁー」

板野「あっちゃんは?」

前田「あたしは最後のページに書かれてたよー。内容までは覚えてないけど」


27 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:15:30.69 ID:J47/a9vg0
宮澤「じゃあさ、今誰があのノートを持ってるのかわかれば、内容を確認できて、みんな安心だよね。だって自分がどんな事故に遭うか事前にわかってれば、それに遭わないように気をつけていればいいんだし!」

宮澤「例えば水の事故に遭うのだとしたら、なるべく水辺には近づかないようにするとか、いくらでも対処法はあるじゃん」

篠田「そうだね。みんなで協力して、今ここにいないメンバーにもノートの行方を聞いて回ろう」

河西「うん、あたし頑張る。みんなノートの通りになんてなってほしくないもん!」

高橋「じゃあ何かわかったらみんなあたしに連絡して。それから才加の他に誰か連絡の取れないメンバーがいた場合も」

全員「は~い」

篠田「じゃあせっかくみんな集まったんだし、まりやんぬが予約してくれたコースでも頼もうか」

前田「わーい、おなかすいたー」


28 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:16:01.28 ID:J47/a9vg0
食後――。

篠田「……」キョロキョロ

前田「どうしたの麻里子」

篠田「いや…そろそろかなーっと思って」

前田「?」

タタタタタッ…

松井珠「遅くなりましたー」

松井玲「こんばんは」


29 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:16:30.24 ID:J47/a9vg0
前田「珠理奈!玲奈ちゃん!どうしたの?」

篠田「あたしが呼んだんだよ。2人はAKBに関わりが深いからね。何か知ってるかと思って」

前田「そうだったんだ!2人とも久しぶりー」

松井珠「お久しぶりです。東京に来るのも久しぶりだったから、ちょっと道に迷っちゃいましたよ」

前田「アハハ~そうだったんだ」

篠田「みんなはごはん食べ終えて、それぞれ思い出話をしてるよ。2人はごはんまだでしょ?何か頼めば?」

松井珠「あ、はい…。それで事故のことですけど、やっぱりあたしは何も心当たりがないんですよ。ここまで来てお役に立てず、本当にすみません」

篠田「いいよいいよ。久しぶりに元気な顔見せに来てくれただけでうれしい」

前田「うん、そうだよー」


30 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:17:05.81 ID:J47/a9vg0
松井玲「あの、わたしはちょっと気になることがあって…えっと、たかみなさんは?」

篠田「?たかみなー?ちょっとこっち来てー」

高橋「えー?何?何?」パタパタ

篠田「玲奈ちゃんから話があるみたいなんだ」

高橋「おっ、玲奈ちゃん久しぶり。どうしたの?」

松井玲「はい、実は…(カサッ)これなんですけど…」

高橋「え?」

松井玲「読んでみてください。事故の前にぱるるから届いた手紙です」


31 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:17:34.99 ID:J47/a9vg0
『玲奈ちゃんへ

お久しぶりです。元気にしてますか?
珠理奈ちゃんと共同で、ダンス教室を開校していると聞きました。良かったですね。
わたしは今、ちょっと体調を崩して病院に通っています。
その病院は心のケアもしているところなんですが、わたしは先生からとある会を紹介されました。
その会というのは、「ナカマ」と呼ばれているものです。
はじめはただの気休めとして通っていたのですが、最近、わたしはおかしなことに気付いてしまいました。
その「ナカマ」の会の内容が、なんだかAKBにそっくりなんです。
「ナカマ」にはみんなから教祖のように崇められている人がいて、その人は「あっちゃん」と呼ばれています。
これって、ただの偶然でしょうか?
わたしは怖くなって、会に通わなくなりました。そうしたら先月くらいから、道を歩いていても人の視線を感じるようになりました。
わたしの勘違いかもしれなけれど、もしかしたらわたしは、誰かに監視されているのかもしれません。
「ナカマ」はとても恐ろしいところです。わたしはもう、駄目かもしれません。
玲奈ちゃん、一度東京に来てもらえませんか?相談にのってほしいです。

遥香より』


32 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:17:58.81 ID:J47/a9vg0
高橋「…これって…」

松井玲「はい、この手紙が届いてから数日後にぱるるは事故に遭い亡くなりました。わたしがもっと早く動いていれば、あんなことには……うぅ…ぅっ…」

前田「玲奈ちゃん…」

篠田「玲奈ちゃんのせいじゃないよ。気にしないほうがいい。だけど引っかかるのはそこに書かれたナカマの存在だな…AKBにそっくりって一体なんなんだ…」

高橋「手紙の内容からすると、宗教団体みたいだな…」

松井玲「はい…」


33 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:18:28.59 ID:J47/a9vg0
高橋「教祖が『あっちゃん』と呼ばれているあたりもなんだか怪しい…主催している人物は明らかにAKBを意識していると見て間違いなさそうだよ」

前田「やだな…『あっちゃん』なんて…気味悪い」

篠田「ノートに書かれた通りに起こる連続事故…そして『あっちゃん』と呼ばれる教祖の存在…なんだかあたし達の手には負えなくなってきたな…迷惑かとは思うが、あの子達に頼ってみるしかなさそうだ」

松井珠「あの子達って?」

篠田「まぁ、あたし達よりは事故について調べやすい人達だな…早速明日にでも連絡してみよう」


36 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:23:54.21 ID:J47/a9vg0
翌日、警視庁――。

佐藤夏「…ってことなんだよね。どう思う?」

仲俣「ノートに予告された通りにメンバーが事故に遭ってるのかもしれない…篠田さんは本当にそう言ったんですか?」

佐藤夏「うん」

仲俣「信じられないですね。じゃあ今までのは事故ではなく殺人だったというんですか?5年も経ってからノートの内容を実行する犯人なんていますかね…」

佐藤夏「そうなんだよねぇ…」


37 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:24:20.94 ID:J47/a9vg0
仲俣「それより気になるのはそのナカマという団体ですよね。教祖が『あっちゃん』と呼ばれてるなんて、ふざけてますよ。AKB全体に対する侮辱です。ぱるるの手紙から察すると、ナカマがぱるるの事故に関わっている可能性が高そうですし」

佐藤夏「あたしもそれは思った。調べてみたいけど、今はちょっとなぁ…」

仲俣「夏希先輩は例の強盗殺人事件追ってますもんね。でもわたしはちょうど今は大きな事件抱えてなくて、だからちょっと、調べてみたいと思います」

佐藤夏「え?大丈夫なの?いくら篠田さんからの頼みだからって勝手なことは…」

仲俣「もちろん仕事に支障がない程度です。休みの日にでも少しずつ調べてみたいと思います」

佐藤夏「それはいいけど、くれぐれも上にはばれないようにね」


38 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:24:51.10 ID:J47/a9vg0
仲俣「はい、もちろんです」

佐藤夏「あたしもできるだけ協力はするよ」

仲俣「すみません、ありがとうございます」

部下「佐藤刑事、少しいいですか?」

佐藤夏「あ、うん、すぐ行く(ガタッ)じゃあね中俣、何かわかったらあたしにも知らせて」

仲俣「はい」


39 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:25:13.31 ID:J47/a9vg0
××テレビ局、廊下――。

柏木「お疲れ様でした~」

プロデューサー「お疲れ、柏木ちゃん」

柏木「あ、田中さん。どうでした?今日のわたし」

プロデューサー「うん、良かったよ~。だけどあそこで虎が出てきた時、もぉ~ちょっとリアクション大きくしてくれたらもっと良かったかなぁ~。ほら、アイドル時代の時みたいにさぁ」

柏木「リアクション…ですか…。でもわたし、アナウンサーですし。それにこれからはキャスターを目指したいと思っているので、新種の虎が登場したニュースでももっと冷静に、視聴者に伝わるように読みたいんです。駄目ですか?」

プロデューサー「うーん、駄目とは言わないけど、番組は柏木ちゃんにそういうの求めてないからねぇ~。何だったら原稿読みながらカメラにウインクするようなサービスくらいしてくれちゃってもいいのに」

柏木「そんな…わたしもう、アイドルアナは卒業したいんです」


40 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:25:55.49 ID:J47/a9vg0
プロデューサー「そんな固いこと言ってると、新人のもっと若くて可愛い子達にどんどん番組盗られちゃうよぉ~?」

柏木「…でも、田中さん前に、わたしがスクープ取って来たらキャスター転向考えてもいいって言ってくれましたよね?」

プロデューサー「言ったけどさぁ、柏木ちゃんにはやっぱそういうの似合わないよ。適当に可愛くエンタメとかスポーツニュース読んでるほうがいいんじゃない?」

柏木「いえ、わたしももう25ですし、将来を考えて今頑張っておきたいんです。それにちょっと気になる事件があって…絶対にスクープ取るつもりですから」

プロデューサー「ハハッ、まぁ頑張ってよ」

柏木(そう…気になる事件…AKBのメンバーが次々と事故で亡くなっている事件…。1つ1つ見ていけば何の関連性も見られないけれど、偶然にしては何かがおかしい。真相を突き止められればそれを足がかりにして、きっとキャスター転向も夢ではないわ……)


41 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:26:32.78 ID:J47/a9vg0
数日後、喫茶店――。

渡辺「(タタタッ)遅くなっちゃった~ごめんね」

柏木「いいよ、呼び出したのはこっちだし。急にごめんね」

渡辺「ううん、それより話って何?あ、オレンジジュースください」

柏木「……うん、麻友も知ってるよね…事故のこと」

渡辺「あぁ…確かこの間もぱるるが被害に遭って…」

柏木「そうなの。こんなに事故が続くなんておかしいと思うんだよね。もうわたし、これが事故じゃなくて事件としか考えられなくて。それで麻友に聞きたかったの。何かメンバーが狙われる理由知ってる?」


42 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:27:01.73 ID:J47/a9vg0
渡辺「うーん、理由かぁ…」

柏木「らぶたん達とは今でも連絡取り合ってるんでしょ?何か聞いてないかな?」

渡辺「えー…、特には何も……あっ!」

柏木「何?」

渡辺「そういえば前に会った時、たなみんがおかしなこと言ってたな…あ、でもこれまでの事故とは関係ないと思う」

柏木「何?一応話してみてよ」


43 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:27:50.12 ID:J47/a9vg0
渡辺「え?う、うん……、たなみんね、今は劇団員として舞台に立ってるの。でも小さな劇団らしくて、公演だけでは食べていけなくて、たまにバイトの依頼を受けるらしいんだ」

柏木「バイト?」

渡辺「うん…どこかの会社のイベントとか誰かの講演会とかに、依頼されてサクラとして参加することがあるって言ってた」

渡辺「それでいつだったか、何かの団体の主催する会に参加することになって…最初はいつものように適当に話を聞いてやり過ごしてたらしいんだけど、その会がちょっと異常だったんだって…」

柏木「異常っていうのは?」


44 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:28:57.37 ID:J47/a9vg0
渡辺「うん、教祖みたいな人が信者の悩みを聞いて、肩に触っただけで病気を治すとかそんな感じの宗教団体」

渡辺「ここまではまぁよくある話なんだけど、その教祖は信者から『あっちゃん』と呼ばれてたらしいの。それに幹部達の中にはたかみなと呼ばれている人や、麻里子様って呼ばれて人もいたって」

柏木「それってAKBを元にした団体ってこと?」

渡辺「そうみたい。それで教祖が会の最後に言ったんだって。あんにんはもうナカマハズレだよって…」

柏木「あんにん…そういえば事故にあった3人目のメンバーは杏奈ちゃんだったっけ」

渡辺「え?そうだったの?嘘…わたし全然気付かなかった…やだ怖い…」

柏木「怪しいわね、その団体…なんて名前かわかる?」


45 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:29:58.63 ID:J47/a9vg0
渡辺「確かたなみんの話だと、ナカマ…と言ってたような…」

柏木「ナカマね、よしわかった!」

渡辺「え?ゆきりん何する気?」

柏木「ちょっと調べてみようと思う」

渡辺「そんな…危なくない?関わらないほうがいいよ」

柏木「だけど放っておくわけにいかないじゃない。きっとメンバーが狙われてるのは確かなんだよ。そしてあたしの予想だと、かなりの確率でその団体が関係しているんだと思う」

柏木「杏奈ちゃんについての発言がただの偶然とは考えにくいし。教祖の名前が『あっちゃん』なのも、明らかにAKBを意識していて怪しいよ」

渡辺「そうだけど…ゆきりん1人でどうにかなるわけないし…」


46 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:30:28.09 ID:J47/a9vg0
柏木「別にどうにかしようとは考えてないよ。だけど少しでも真相を明るみにしてあたしが報道すれば、世間が大騒ぎする。そうなったら今の状況を変えられると思わない?何もしないでいるなんて、あたしには出来ない。それが報道を志す者の務めなのよ」

渡辺「ゆきりん…」

柏木「まずは手始めに、その団体が主催する会というやつに参加してみようと思う」

渡辺「えぇ?!」

柏木「大丈夫。参加してちょっと話聞くくらいなら何も怖いことなんてないよ」

渡辺「そうかもしれないけど…」

柏木「ね?もしかして麻友、一緒に来てくれるの?」

渡辺「え?でもわたし、これからしばらくは仕事で…」

柏木「アハハ、冗談だよ。麻友は声優としてレギュラーいっぱい持ってるもんね。忙しいのはわかってるって。大丈夫、まずいと思ったらすぐ帰って来るから」

渡辺「う、うん…気をつけてね…」


47 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:30:57.22 ID:J47/a9vg0
数日後、△△幼稚園――。

園児「先生さよーならー」

小森「はい、さようならー気をつけてねー」

小森(ふぅ…全員帰ったぁー後は保護者向けのおたより書いたら今日の仕事は終わりだぁー)

仁藤「ちゃんと先生してんじゃん小森~」

高城「エプロン可愛いねー」

小森「萌乃ちゃん、あきちゃさん!どうしたんですか?」


48 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:31:27.38 ID:J47/a9vg0
仁藤「遊びに来たよぉ」

高城「なんだか幼稚園て懐かしい感じするねっ!遊具が小さい!可愛いー」

小森「あ、そうなんですか?あたしもうすぐ仕事終わるんで、中入ります?椅子は園児用だから小さいですけど」

仁藤「いいの?ありがとう」

高城「わーい、こもりん小さい子好きだったんだね、幼稚園の先生になるなんて」

小森「え?あ、違うんですよたぶん、子供が好きとかじゃなくて…えーっと…何でしたっけ?」

仁藤「なんでもいいから早く中入れて。ここ寒いー」

小森「そうですね。あ、わたしお茶淹れます」

高城「お邪魔しまーす」


49 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:31:57.31 ID:J47/a9vg0
教室――。

小森「なんか子供向けに明るい色を使って教室を飾りつけしなくちゃいけなくて、しかも季節ごとに変えたりしなきゃなんで大変なんですよー」

高城「これは?」

小森「雪だるまです。厚紙を丸く切ってリボン付けて、結構作るの大変だったんですよ」

仁藤「へぇ~頑張ってるねぇー」

小森「あ、で今日はどうして来たんですか?」


53 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:42:45.95 ID:J47/a9vg0
仁藤「そうだ、小森この前メンバーで集まったの、連絡したけど欠席したじゃん?それでどうしてるかなーって気になって」

高城「それにメンバーが連続して事故に遭ってることについて、何か知ってることないかなぁーって思ったんだよね」

小森「事故ですか?知らないですー。何かあったんですか?」

仁藤「うん、この前の集まりでたかみなさんが言ってたんだけど、偶然にしては出来すぎてるって。もしかしたら事故じゃなくて、メンバーを狙った殺人の可能性も考えられるんじゃないかってさ…」

高城「ノートの内容で覚えてる事とかない?」

小森「ノートですか?」


54 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:43:11.09 ID:J47/a9vg0
仁藤「ほら、ずっと前に楽屋に残されてたノートだよ。あれにメンバーの死亡する状況が書かれてたじゃない」

小森「あぁ~(コクコク)」

仁藤「小森今適当に頷いたでしょ?本当に思い出したの?」

小森「え?あれですよね、なんか気持ち悪いの」

高城「何か覚えてる?」

小森「あの、わたしたぶん川に落ちて死ぬって書かれてたんですよ」


55 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:43:40.63 ID:J47/a9vg0
仁藤「他の人のぶんは?あたしはなんて書かれてたか覚えてる?」

小森「あぁ~萌乃ちゃんのは覚えてないです。でも確か1人、面白い人いましたよね…ププッ…誰でしたっけ?」

高城「ん?」

仁藤「もぉ~笑ってないでよ小森~こっちは真剣に話してるのに」

小森「え?わたし笑ってないですよ?そういう顔なだけです」

仁藤「じゃあ話変わるけど、誰か他に今でも連絡取ってるメンバーいる?」


56 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:44:04.03 ID:J47/a9vg0
小森「えーっと…まりやんぬとぉ~あやりんとぉ~わさみんとしいちゃんとみゃおさん!」

仁藤「菊地としいちゃんはわさみんはこの前の集まりに来てたなぁ…」

高城「まりやんぬちゃんも顔を出せなかったみたいだけど、おしゃれなお店予約してくれたよねっ!」

仁藤「じゃあさ、みゃおに連絡取って、ノートのこと聞いてみてくれない?誰が今持ってるとかさ」

小森「わかりましたぁー」

高城「そういえばさ、さっしーとは連絡取ってないの?」

小森「え?取ってないですよ?」


57 名無しさん@お腹いっぱい。 2011/11/29(火) 16:44:08.44 ID:6X1njK4b0
登場メンバー職業

敦子:トリマー たかみな:? 優子:女優 板野:歌手 小嶋:タレント
篠田:女社長 指原:放送作家 高城:OL 倉持:歯科衛生士 萌乃:美容師アシ
鈴木ま:料理研究家 仲川:? 峯岸:? 河西:保健室の先生 宮澤:?
岩佐:? 菊地:? 秋元:?(ベトナム) 島田:? 梅田:? 永尾:?
小林:? 大家:? 米沢:? W松井:ダンススクール経営 田名部:劇団員
渡辺:声優 柏木:アナウンサー 佐藤夏&仲俣:警察官 小森:保育士


*死亡?
中田→市川→入山→…松原?→島崎



58 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:45:10.61 ID:J47/a9vg0
仁藤「えー?なんで?仲良かったじゃん。さっしーに電話しても小森の話題なんか避けてるみたいだし、何かあったの?」

小森「何でもないですよ。ちょっと最後のほうあんまり話さなくなってただけです。この前の集まりに指原さん来てました?」

仁藤「来てないよ。忙しいみたいだし」

小森「それだったらわたしも集まり顔出せば良かった…(ボソッ)」

高城「やっぱりこもりん、さっしーと気まずいの?」

小森「うーん、ちょっとわたしの我がままに指原さんが呆れちゃっただけです。それでまぁ疎遠になってしまって…でももう関係ないですよ!AKBは解散したんだし!もう過去のことですよっ!」

仁藤「小森…次の集まりがあったら、なるべく顔出しなよ?人数集まらないと寂しいし」

小森「あ、はいー。それでノートのことですよね?何かわかったら連絡しますから」

仁藤「う、うん…」


59 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:45:48.13 ID:J47/a9vg0
数日後――。

女A「…で、あっちゃんにお話を聞いていただいたら不登校だった息子が急に学校へ行くと言い出してて……」

信者「おぉ~、さすがあっちゃん」パチパチ

男A「…でしたので、会社までリストラされ、妻も子も出て行ってしまい…しかいあっちゃんのお言葉で私は……」

信者「(パチパチ)良かったですね、すべてあっちゃんのお陰です」

柏木(なんなのこの気味の悪い感じ……。こんな嘘みたいな話ばかり続いても、みんな『あっちゃん』のことを信じてるなんておかしい…洗脳されているんだわ…)


61 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:46:36.63 ID:J47/a9vg0
幹部「えー、ではここであっちゃんから皆様に大事なお言葉があるようです」

信者「有難や有難や……」

柏木(ふっ…やっと『あっちゃん』の登場ってわけね…潜入した甲斐あったわ…しかし『あっちゃん』とは一体どんな奴なんだろう…)

カツカツカツッ……

信者「おぉ~」

柏木「(ハッ!!)あ、あれは……」


62 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:48:03.78 ID:J47/a9vg0
あっちゃん「こんにちは~今日はありがとうございます」

女B「あっちゃーん、この間買ったCD聴くようにしたら不眠症が解消されたよー!」

女C「あたしもだよー!」

あっちゃん「ほんとですか~?ありがとうございます」

柏木(どういうことなのこれ……しゃべり方まであっちゃんの真似して…それにあのマスク…あっちゃんに似せて作ってるんだわ…これじゃあマスクの下の顔が見えない…。声も何かで加工してあるみたいだし…何もかもが気持ち悪い…)

幹部「皆様どうかお静かに。今日ははじめにあっちゃんから、前回の総選挙の結果を発表していただきます」

シーーン……


63 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:48:44.94 ID:J47/a9vg0
あっちゃん「前回の総選挙、最下位は男Bさんです。男Bさんにはこの結果を受け止めてもらって、みんなと『仲直り』してもらいたいと思います。いいですか皆さん、あたし達はみんな『ナカマ』だってことを忘れずに過ごしてくださいね~」

男B「すみませんすみません、今回は私の努力が足りなかった結果。きちんと『仲直り』して次は皆様のお役に立てるよう頑張ります」

信者「そうだよ頑張ってー」

信者「大丈夫だよ、応援してるよー!」

男B「ありがとうございます」

あっちゃん「他の皆さんも頑張らないと、いつか『ナカマハズレ』にされちゃいますからね~気をつけてくださいね~」

幹部「よし、男B『仲直り』をしに行くぞっ」グイッ

男B「あ、はい…あぁ…でもやっぱり怖い…『仲直り』怖いよぉぉぉギャー……」ズルズルズル…

シーン……

柏木(男Bさん、どこへ連れて行かれたのかな…それに総選挙って何?最下位になるとどんな恐ろしいことが待っているの…)


64 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:49:27.67 ID:J47/a9vg0
幹部「えー、それでは次に、皆様待ちに待ったあっちゃんからのお言葉です。それではあっちゃん、お願い致します」

あっちゃん「はーい、今度はね、ゆったんが『ナカマハズレ』だよ~。もうゆったんは『ナカマ』じゃありませーん」

ザワザワザワ……

男C「次はゆったんか…。今日からまたニュースをチェックですなぁ…」

男D「本当ですね。あっちゃんの予言は当たりますから…」

柏木「あのっ、私今日初めて参加したんですけど、予言って何ですか?」

男C「え?予言っていうのは……って、ゆきりん?」

男D「嘘だろ…おーい!ゆきりん来てるぞー!」

柏木「えっ、嘘バレた?」

信者「ゆきりん本物だ!」

信者「どうしてここにいるんだ?」

あっちゃん「……」


65 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:49:57.92 ID:J47/a9vg0
柏木「えぇぇぇぇ?ちょっと待ってくださいよぉぉぉ騒がないでお願い…」

あっちゃん「久しぶりだね、ゆきりそ?ねぇ、壇上に来てみんなの前で話そうよ?」

柏木「……嫌よ」

あっちゃん「?なんで?あたし達『ナカマ』だよね?」

柏木「あなた誰なの?どうしてこんなことしてるの?あなたは…あっちゃんじゃないわよね?」

あっちゃん「どうしたのゆきりそ?あたしだよ?あっちゃんだよ」

柏木「違う…全然…あっちゃんとは似てない…その気味悪いマスクを取って、正体を明かしなさいよ!」

あっちゃん「ひどいよ…ゆきりそ…」

女D「あっちゃん泣かないでー!」

女E「あっちゃんのほうが人気あるよー!」

ザワザワザワ……


66 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:50:19.82 ID:J47/a9vg0
信者「おい、ゆきりんナカマハズレじゃね?」

信者「そうだよ柏木ー。早く仲直りしろよー!」

柏木「やっ、ちょっと押さないでよ!痛い…」

あっちゃん「そうだね…ゆきりそ、あたし達仲直りしなきゃね…」チラッ

幹部「(コクリ)柏木、こっちへ来い!」グイッ

柏木「やだ、放してよ!」

柏木(どうしよう…なんとかしてここから逃げなきゃ…)


67 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:50:49.27 ID:J47/a9vg0
ジリリリリリリリリ……

柏木「え?何この音…」

???「火事だー!火事だぞー!」

???「早くここから逃げろー!」

シューシューシュー…モクモクモク……

信者「うわぁぁぁぁぁ」バタバタバタ…

柏木「え?何、どうして…」

???「(コソッ)ゆきりん、早くこっちへ」グイッ

柏木「え?どうしてここに?」

???「いいから、この隙に逃げるんだよ」グイッ

柏木「う、うん…」タタタ…


68 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:51:28.33 ID:J47/a9vg0
15分後――。

柏木「ありがとう、みんな…。お陰で助かったよ。でも、一体どうしてあそこにいたの?」

多田「まゆゆから連絡受けて、あの施設を外から見張ってたんだよ。そうしたら中が騒がしくなってきたから、ゆきりんに何かあったのかと思って…」

柏木「そうだったんだ…麻友が…」

多田「ゆきりんが1人で潜入しちゃうかもしれないって、まゆゆすごく心配してたんだからね!」

柏木「ご、ごめん…。でも火事はいくらなんでもやりすぎじゃ…」

田名部「あれは全部嘘だから安心して。まさかあたし達が放火なんかするわけないじゃん」

柏木「そっか、そうだよね。アハハごめん。でもそれじゃああの煙は?」

田名部「舞台で使ってる煙幕装置、ちょっと借りて来ちゃったんだ。らぶたんが車出してくれたし」

柏木「たなみん、らぶたん……ありがとう」

田名部「いえいえ、お礼はなかやんにどうぞ。火事の騒ぎを演出したのはなかやんなんだから」

柏木「え?まさかさっきの火事って叫んだ声って……」


69 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:51:59.01 ID:J47/a9vg0
仲谷「へへへっ、そう、あたしが全部1人で叫んだんだよ。信者達みんな大混乱になってたでしょ?面白かったぁー」

柏木「すごい!さすがなかやん!」

仲谷「こんなの楽勝楽勝♪任せてよ!」

柏木「ありがとう…ありがとう…正直あたし、すっごく怖くて、どうしたらいいかわからなくて…」

多田「泣かないでよゆきりん。もう大人なんだから!あたしだってもう泣いてないよ?」

柏木「そうだよね…らぶたんが車運転してるなんて変な感じ…」

田名部「らぶたんの車、ぶつけまくってボコボコだけどね」

柏木「……」

仲谷「それで…あの施設の中では何が行われていたの?あたしもたなみんからだいたいは聞いたよ」


70 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:52:19.51 ID:J47/a9vg0
柏木「うん…次はゆったんが狙われるかもしれない…」

多田「嘘?!」

田名部「ゆったんて今どこにいるんだっけ?」

仲谷「確か結婚して、今は奈良に住んでるとか…」

柏木「誰か連絡先知ってない?」

多田「……」

仲谷「あ、でも住所はわかるよ?」

田名部「じゃああたし、今からその住所に行ってみる!」

多田「あたしも実家に子供預けたらすぐに向かうよ」

柏木「ありがとうたなみん、らぶたん!」

柏木(ゆったん…たなみん達が行くまで、どうか無事でいて…)


74 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:58:20.45 ID:J47/a9vg0
数時間後、奈良県スーパーマーケット駐車場――。

増田「今日の夕飯はすき焼きにしよ~(テクテク)あれ?どないしたん?」

少女「…グスッ、あのな…お小遣い落としてん…お菓子買お思とったのに…」

増田「あー車の下に入っちゃったんやな…待ってて?今おねえちゃんが取ったるから」ゴソゴソ

少女「あかん…もうちょっと奥の方に転がってってん…グスッ…」

増田「待ってな?もうちょっとや……」ゴソゴソ

ズズズズズズズズッ……


75 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:58:49.52 ID:J47/a9vg0
増田「よいしょっとぉ…」

少女「あ、おねえちゃんお金もうえぇわ…」

増田「え?でももうちょいやで?」ゴソゴソ

少女「もう…手遅れや…」

ズズズズズズズズッ……

増田「え?何?もっかいゆうてーよう聞こえへん……え?……」

ガシャン…バキバキバキバキッ…グチャッ

少女「…ゆうたやんか…もう手遅れやって…」ニヤリ


76 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:59:20.62 ID:J47/a9vg0
翌日、自宅にて指原は――。

指原「うわぁぁ遅刻遅刻」ドタバタ

アナウンサー『…で車に挟まれているところを、買い物を終えて戻った持ち主の女性が発見しました。女性の話では、サイドブレーキはしっかりかけていたということですが…』

指原「よしっ!携帯持った!企画書持った!あ、お財布お財布…」バタバタ

アナウンサー『死亡していたのは××有華さん。解散したアイドルグループAKBの元メンバーで…』

指原「え?今なんて…(カタンッ)嘘…でしょ…?なんで……」

ガタガタガタッ……バタンッ!!

指原「うわぁぁ衣装ケースがぁぁあ、これ5年前に使っていた携帯じゃん。こんなとこに仕舞ってたんだ…。この携帯で散々メンバーと写真撮ったな…。確か増田さんとも一緒に…ちょっと電源入れてみよう」

カチカチカチッ……

指原「懐かしいなぁ、この頃からもう5年も経ったのか…。あ、この写真の増田さん、いい笑顔してる……うぅっ…うっ…ん?これは…!!まさかこれが原因なの?」

指原(久しぶりにたかみなさんに連絡してみよう!このこと伝えなきゃ…)


77 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 16:59:59.51 ID:J47/a9vg0
翌日――。

前田「ゆきりその話、本当かなぁ?」

高橋「忙しいのにわざわざ連絡してきて嘘なんかつく理由ないし、らぶたんやたなみんも同じこと言ってたから本当だと思う」

前田「…嫌だなぁ…何でその教祖はあたしと同じニックネームなんか名乗ってるんだろう。それにゆきりそが捕まりそうになったなんて、相当危ない団体だよね」

高橋「うん。ゆったんについての予言をした直後に、事故が起きているところを見ると、日本全国にその団体の力は働いているみたいだし、どうやらあたし達はかなり危険な人物を相手にすることになりそうだね…」

前田「でも、あっちゃんを名乗るなんて絶対に何か理由があるんだと思う。そしてそれはきっとあたしに強く関係しているってことだよね。このままメンバーが事故で亡くなっていくのを黙って見ているなんて出来ないよ。この件はあたしが決着をつけない限り終わらない気がする…」

高橋「あっちゃん…。でも相手はかなり大きな力を持った団体…あっちゃん1人でどうにかしようだなんて思わないで。大丈夫!あたし達も協力するから。絶対にナカマの正体を突き止めよう!」

前田「…ありがとう。たかみな」

高橋「それで今日は新たに助っ人が来るはずなんだけど…遅いなぁ…」


78 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:00:33.73 ID:J47/a9vg0
指原「(タタタタッ)すみません!遅くなりました!」

前田「え?助っ人って…さっしー?」

指原「お久しぶりです」

高橋「うん、悪いね忙しいのに。早速だけど、電話で言ってた写メを…」

前田「?」

指原「あぁこれです。プリントして来たんでどうぞ」

前田「嘘…!!これって…。どうしてさっしーが?」


79 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:01:08.11 ID:J47/a9vg0
高橋「5年前、指原は楽屋に残されていたノートを携帯のカメラで撮って保存していたんだよ」

指原「偶然落ちてきた衣装ケースの中に仕舞いこまれていたのを発見して、思い出したんです。例の事故…このノートが元になっているって本当ですか?」

前田「うん、あたし達の予想だとね…」

高橋「……」

前田「たかみな?どう?」

高橋「思った通りだよ。やっぱり事故はノートに書かれたメンバー順に起こってる…」

前田「…次に起こる事故は?」


80 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:01:37.79 ID:J47/a9vg0
高橋「ちょっと待ってね…ゆったんの次だから…これだ!凍死…?巨大な冷凍庫の中で死亡って、どんな状況だよぉー」

前田「こんなの普通に生活してて起こり得る状況じゃないよね。誰について書かれたことなの?」

高橋「えーっと…駄目だ…指原この写真、肝心な名前の部分が切れて写ってないよ」

指原「え?そうなんですか?うわぁーたぶん指原慌ててたんですよこの時。みんなノート見たがってたから、早く次に回さなきゃいけなくて」

高橋「惜しいなぁ…名前さえわかればその子に注意するよう促せたのに…」

前田「あ!でも他のページと照らし合わせて、名前が書かれていないメンバーを割り出せば見当つくんじゃない?」

高橋「そうだね。探してみよう」


81 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:02:17.65 ID:J47/a9vg0
前田「たかみなとにゃんにゃんと麻里子は最初から書かれていないんだから除外して、それ以外に名前のないメンバーは……」

高橋「(パラ…パラ…)中塚、藤江、近野…梅ちゃん…あと才加ときたりえと亜美菜ちゃんだ!」

指原「この中の誰かが次に凍死するんですか?」

高橋「今までの流れからして、恐らくそういうことに…。とにかくこの中の全員に連絡して、冷凍庫に近づかないよう注意しよう」

前田「でもあたし、みんなの連絡先知らないよ」


82 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:02:41.40 ID:J47/a9vg0
指原「あ、連絡先なら指原わかりますよ?」

高橋「やった!どうした指原」

指原「あの、実は指原、今度番組でAKBの同窓会を企画してて、出演してもらえるメンバーを探そうとして連絡先調べたことがあったんです」

前田「すごーい。さっしー本当に助っ人になったね!」

指原「でもれいにゃんとちかりなと才加ちゃんにはどうしても連絡取れないんですよね…」

高橋「じゃあそれ以外の人だけでも連絡して注意しておこう」

指原「はい、里英ちゃんとは今でも結構連絡取ってるし、大丈夫だと思います。早速今から連絡して……って待ってください。今日って21日ですよね?」

前田「うん、そうだよー」

指原「あぁぁどうしよう…」

高橋「何何?なんかまずいの?」


83 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:03:11.24 ID:J47/a9vg0
指原「はい…。今ですね、里英ちゃんは名古屋で地元テレビのレポーターの仕事をしてるんですよ…」

前田「うん?それが?」

指原「明日、里英ちゃんは新しく名古屋市内にオープンしたアイスバーの取材に行くって言ってたんです」

前田「えぇ?!嘘でしょ?」

高橋「…え?何2人とも慌ててるの?」

前田「あのね、明日きたりえが取材に行くところはわざわざ冷凍庫の中みたいに店内の温度を氷点下に設定してお酒を出すバーなの」

高橋「まさかそれじゃあ…」


84 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:03:48.21 ID:J47/a9vg0
指原「きっと次の被害者は里英ちゃんなんだ…どうしよう…里英ちゃんが危ない…うぅ……」

高橋「泣いてないで指原!すぐにきたりえに電話を!」

指原「はい!(カチカチカチ、ツーツーツー…)駄目です出ません」

高橋「指原は連絡着くまで電話を掛け続けて!あっちゃん、うちらは今すぐ名古屋に向かおう」ガタッ

前田「わかった!」

指原「お願いしますたかみなさん、前田さん…。里英ちゃんを…里英ちゃんをどうか助けて…」


86 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:08:53.49 ID:J47/a9vg0
翌日、名古屋――。

AD「それでは北原さん、そろそろ現場向かいますので…」

北原「あ、はいー。よろしくお願いします」

AD「もう車、外に回してありますよ」

北原「すみません」テクテク

前田「(タタタッ)きたりえ!」

高橋「ハァハァ…良かった間に合った」

北原「えぇ?!あっちゃん?たかみなさん?どうしたんですか?」


88 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:09:30.30 ID:J47/a9vg0
前田「きたりえ、これからお仕事?」

北原「え?あ、はいそうですけど…え?何ですか?観光ですか?名古屋来るなら連絡してもらえれば、あたし案内できたのに…」

高橋「違うよ。北原、今ちょっといい?」

北原「?はい、少しなら…」

高橋「ありがとう。北原、突然で悪いけど、今日の取材キャンセルしてくれないかな?」

北原「え?どうしたんですか本当に突然ですね。ていうか何で取材のこと知ってるんですか?」

前田「さっしーが教えてくれたの」


89 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:10:31.33 ID:J47/a9vg0
北原「さっしーが?でも一体何で…あたし全然状況が見えないんですけど…」

高橋「あ、そうか。北原はこの前の集まりに参加してなかったんだよね」

北原「そのことですか?すみません、どうしても仕事休めなくて…でも次は、」

前田「あぁもう!集まりはどうでもいいから。いい?説明するね?きたりえはメンバーの事故のことは知ってるよね?」

北原「うん…」

前田「色々あって、あたし達はそれを事故じゃなくて事件として見てるの。それで調べた結果、次に狙われるのはきたりえの可能性が高いってことがわかったの」

高橋「それであたしとあっちゃんはきたりえを守るため名古屋まで来たってわけ」

北原「え?どういうことですか?事件って…しかも何で次はあたしなんですか?」


90 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:10:58.13 ID:J47/a9vg0
高橋「5年前、楽屋に残されていたノート…覚えてる?」

北原「え?あぁ…あの妙な悪戯…。それがどうしたんですか?何で今さら…」

高橋「あのノートの通りにメンバーが事故に遭ってるんだよ。今ノートの行方はわからないけど、指原がそれを携帯で撮って保存してくれてたんだ。それで次はきたりえが事故に遭うかもしれないという可能性に辿りついたんだよ」

北原「…嘘…!!てことはあたし、これから死ぬんですか?」

高橋「……」

前田「そんなことにならないように、あたし達が来たんじゃん。大丈夫だよ。きたりえは今日の取材先で事故に遭う予定になっているから、取材にさえ行かなければ安心だよ」


91 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:11:28.13 ID:J47/a9vg0
北原「そうなんですか…。でも今日の取材先、1年前から撮影の依頼してて…でもずっと取材拒否されてたお店なんです。スタッフさんが何度も交渉して頭下げて…昨日ようやく取材許可が下りたんですよ。だから…今から取材キャンセルするなんてできません」

高橋「そんなぁ」

前田「きたりえよく考えて?自分の命が関わってるんだよ?」

北原「はい…そうですけど…。でもスタッフさんのこれまでの苦労を考えたら…」

高橋「北原ぁ~お願い…。北原にもしものことがあったらあたしは…」

前田「もうこれ以上メンバーを亡くすのは嫌なの!!きたりえが事故に遭ったらあたし達だけじゃない…メンバーみんなが悲しむんだよ?」

北原「…本当に、そうでしょうか…」

高橋「?何言ってるの…?」


93 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:13:00.38 ID:J47/a9vg0
AD「あ、北原さーん、もう出発しちゃいますよー!」

北原「……はい」スクッ

前田「きたりえ!!!!」

北原「……(ガクッ)痛たた…痛い…急にお腹が…」

高橋「え?」

AD「どうしたんですか?え?大丈夫ですか?」

北原「すみません…実は朝から調子悪くて…ディレクターさん呼んで来てもらえます?今から代役立てれば取材には間に合うと思うんですけど…」

AD「わかりました。伝えてきます」タタタ…


94 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:13:30.36 ID:J47/a9vg0
前田「きたりえ大丈夫?」

北原「……ふふっ、平気ですよ。演技ですから」

高橋「(ハッ!!)まさか北原…」

北原「……(ニヤリ)これで、いいんですよね?あたし、間違ってないですよね?」

高橋「ありがとう…ありがとう…うぅ…うっうっ……」

前田「すぐにさっしーにも連絡しなくちゃ!すごく心配してたんだよ」

北原「はい…ところであたしの死因て一体何だったんですか?」

前田「それは…」


95 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:13:59.66 ID:J47/a9vg0
高橋「凍死だよ。巨大な冷凍庫に閉じ込められるとノートには書かれていたんだ。今日はアイスバーの取材に行く予定だったんでしょ?それでさっしーが北原の危険に気付いたんだよ」

北原「え?アイスバー?それならちょうど一ヶ月前に取材終わりましたけど…」

高橋「え?」

前田「どういうこと?」

北原「今から取材行く予定だったのは、老舗のお団子屋さんです」

高橋「そんな…!!じゃあ次の被害者は北原じゃないってこと?わざわざ名古屋まで来て何してんだよあたし達」

前田「一ヶ月間違えて覚えてたんだ…さっしーの役立たず…」

北原「あの…じゃあ次に事故に遭うメンバーって一体誰なんでしょう?」


96 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:14:27.37 ID:J47/a9vg0
ヒーリングサロン・YONE――。

河西「ありがとう。なんか疲れが取れた気がする!色々話も聞いてもらっちゃって、今日はちょっと気持ちが楽になったよ」

米沢「またいつでも来てね。時間外でも連絡くれれば店開けとくから。ストレスは溜めこまず、早めに解消したほうがいいよ」

河西「うん」

米沢「これ…店で使ってるのと同じラベンダーのアロマオイル。試供品だけど」

河西「いいの?ありがとう」

米沢「大変でしょう、毎日。保健室の先生だと結構問題児相手にすることが多くて疲れちゃうんじゃない?」

河西「そうなのー。なんで勉強しなきゃいけないのとかなんで生きていかなきゃいけないのとか、難しい質問する子とかいるし、病んでる生徒ばっかりだからこっちまで病んできちゃう!」

米沢「アハハ、あたしで良かったらいつでも愚直聞くよ?実際店に来るお客さんは癒しを求めてるっていうより、愚直言いに来てる人のほうが多いんだから」

河西「そうなんだ…米ちゃんはえらいよね。しっかり勉強して色々資格取って、お店まで開いてさ。立派に人の役に立つ仕事してる。初めて来たけど、このお店の雰囲気すごくいいと思うよ!」

米沢「ありがと」


97 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:14:59.77 ID:J47/a9vg0
河西「こういうお店を必要としてる人って今の時代すごく多いと思うんだ。佐江ちゃんも最近お疲れ気味だから今度勧めてあげようかな」

米沢「あ、佐江ちゃんなら結構前から定期的に来てくれてるよ?」

河西「え?あ、そうなんだ…あたし全然知らなかったよ」アセアセ

米沢「?」

河西「じゃあ、職場の同僚にも勧めてみるね…」

米沢「うん、そうして?ぶっちゃけお客さん増えるとあたしも助かるしw」

河西「う、うん…」


98 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:15:32.11 ID:J47/a9vg0
米沢「あ、この前はみぃちゃんも来てくれてさ、集まりの時に話に出たノートのこと一緒に思い出してたんだ」

河西「何か思い出せたの?」

米沢「全然。さすがに5年も経っちゃうとね…」

プルルルル…

米沢「あ、電話…」

河西「あっちゃんからだ!(プツッ)もしもし…」

米沢「……」


99 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:16:01.03 ID:J47/a9vg0
河西「え?冷凍庫?知らない…わかんないよぉ。あたし?今米ちゃんのお店に来てる。うん、ヒーリングサロン…」

米沢「?」

河西「うん…何かわかったら連絡するよ…じゃあね」プツッ

米沢「どうしたの?」

河西「うん、なんかね、あっちゃん達ノートの内容がわかったんだって。それで次の事故は巨大な冷凍庫で起きるらしくて…あたしに冷凍庫へ近づかないよう電話してきたの」

米沢「え?冷凍庫?冷凍庫なんて普通に生活しててそう近付くものじゃないよね」

河西「うん…どういう意味なんだろう…気になるなぁ。あ、さっきの話だけど、ノートのことで、この前の集まりに顔出せなかったメンバーには連絡取ってみた?」


100 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:16:28.58 ID:J47/a9vg0
米沢「ううん…忙しくてあんまり…。みぃちゃんもやっぱりなかなか全員のメンバーとは連絡取れないみたい…」

河西「そうなんだぁ…あ、みぃちゃんや佐江ちゃんの他にもここに来るメンバーとかいる?その子達にも何か聞いてみてもらえないかな?」

米沢「うん、他にもちょこちょこメンバーは顔出してくれてるよ?優子ちゃんとかともちんとか…」

河西「やっぱりチームKは今でも仲いいんだね…」シュン

米沢「いやいや、まったく連絡取ってない人もいるし。仲がいいって言っても仕事の関係が多いかな」

河西「仕事?」


101 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:16:55.76 ID:J47/a9vg0
米沢「萌乃ちゃんが仕事で悩んでた時、新しい職場紹介したんだよ。それからみちゃとかクリスにも…」

河西「え、いいなぁ」

米沢「とも~みちゃんもあんまり今の仕事不満あるんだったら、転職も1つの手だと思うよ。ほらこの店、結構会社の重役さんとかも来るから、あたし色々とコネがあるんだ。とも~みちゃんのことも聞いてみてあげようか?」

河西「ほんとに?お願い!」

米沢「うん。萌乃ちゃんもみちゃも一時はかなり落ちてたけど、職場変えてからまた生き生きとしはじめたんだよね」

河西「そうだったんだ…みんな色々と乗り越えてきてるんだね…」


102 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:17:25.08 ID:J47/a9vg0
米沢「辛いのはとも~みちゃんだけじゃないって思うと、ちょっと気分が軽くなるでしょう」

河西「うん、そうかも。ありがと米ちゃん、あたし頑張るよ!」

米沢「そうだよ。あたしも今はこんな小さなお店だけど、これから頑張ってお店育てて、姉妹店とか作るの夢なんだ」

河西「へぇ~すてきだね」

米沢「あ、そういえばこの後クリスの予約入ってるんだけど、会ってく?」

河西「そうなの?クリスちゃん久しぶりだなぁ…この前の集まりには来なかったけど、元気なの?」

米沢「うん。今は食品関係の会社で事務してるよ。そろそろ来るはずなんだけど…遅いなぁ…」


114 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:30:49.98 ID:J47/a9vg0
○○食品××支店――。

中塚(あーぁ、せっかくのお休みだっていうのに出勤なんて…。今日は米ちゃんのサロン予約してあるんだし、さっさと仕事済ませちゃおう)

中塚「とりあえず昨日の在庫リストを本社に送ろう。1、2、3、4…やだ、1ページ足りない…間違えて消しちゃったのかなぁ」ブツブツ

中塚(確かに昨日保存したはずなのに…おかしいなぁ…どうしよう…)

中塚「……」キョロキョロ

中塚(わたし以外誰も出勤してきてないし…ちょっとくらいいいよね?本当は事務員が倉庫に入るの禁止されてるけど)

中塚「在庫を確認するだけだもん。平気だよね!ちょっと行って来ちゃおう…寒いからジャンパーだけ誰かの借りてっとぉ…」ガタタッ


115 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:31:32.37 ID:J47/a9vg0
××支店第7倉庫(冷凍庫)――。

中塚(よしっ、終わったー。あとはこれを入力して、さっさと送っちゃおう!それにしても冷えるなぁ…現場の人は本当いつも大変だな。早く事務所戻ってあったかいコーヒーでも淹れよう)

ガチャンッ!!!

中塚「(ビクッ)え…何…?」タタタッ…ガチャガチャガチャ…

中塚「嘘…開かない…そんな…(ドンドンドンドンッ!!)開けて!誰かいるんでしょ?わたし中にいるんです!開けてください!開けて!開けてよ!」ドンドンッ!!

シーーン……

中塚「(ガクガクガク…)寒い…寒いよ…」


117 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:32:08.92 ID:J47/a9vg0
翌日――。

指原「……」

小嶋「あ、いたいた!さっし~(パタパタッ)見てこれ~」

指原「あぁ小嶋さん。衣装に着替えたんですか。可愛いですね」

小嶋「あー、さっしーちゃんと見てくれてないー(怒)久しぶりに赤いドレス着たんだよ?」

指原「……それより小嶋さん、この記事見てください」カサッ

小嶋「何何ー?」

指原「クリスの死亡記事です。増田さんに続いて今度はクリスまで事故に…」

小嶋「えーどうして?」


118 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:32:59.66 ID:J47/a9vg0
指原「職場の冷凍庫の中に閉じ込められたんですよ。鍵が誤作動したとかで、事故扱いになってますけど…。やっぱりノートに書かれたとおりの状況…絶対事故じゃなく事件ですよね…」

小嶋「ノート?」

指原「これ、指原が5年前に撮った写メです。見てください。ここに書かれた順にメンバーが事故に遭っていってるんですよ」

指原「ここだけ名前が切れて誰のことが書いてあったのかわからなかったんで、状況から次は里英ちゃんかと予想したんですけど外れて…本当はクリスのことだったんです。指原が勘違いなんかしなかったら助けられたかもしれないのに…クリス…」

小嶋「よくわかんないけど、あたしはなんて書かれてるの?」

指原「小嶋さんは最初から名前書かれてなかったじゃないですか」

小嶋「え?そうなの?よかったぁー」

指原「それはそうですけど他のメンバーはこれから危険が迫ってて…」

小嶋「あ、でもこれページ抜けてるよ?13ページと14ページ目はどこに保存してあるの?」


119 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:33:31.40 ID:J47/a9vg0
指原「は?何言ってるんですかちゃんと全部……え?ほんとだ…どうしたんだろう…」

小嶋「気になるね」

指原「そんなぁぁ指原ちゃんと全部撮影したと思ってたのに…。クリスの事故が書かれていたのが12ページ目なんですよ」

小嶋「じゃあ次に起こる事故は13ページ目に書かれているものだよね?でも写真がなくちゃどんなことが書かれていたのかわからないね。どうするの?さっしー」

指原「え?これって指原のせいですか?」

小嶋「ちゃんと撮影していなかったさっしーが悪い」

指原「えぇぇぇ5年前はまさかこんなことになるなんて思いもしなかったじゃないですかぁぁ。どうしよう。たかみなさん達もこれでノートの内容全部だと思ってるんですよね。すぐに連絡してこのこと伝えなきゃ…」

小嶋「あ、本番始まるからあたし行くねー」テクテク

指原「うぁぁぁ、小嶋さーん」


120 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:34:02.01 ID:J47/a9vg0
翌日、バッティングセンター――。

シュッ、カキーン…シュッ…

倉持「(カキーン!!)…ふぅ…やっぱりストレス解消にはバッティングよね!」

後輩「倉持先ぱーい、そろそろ休憩しましょうよぉ…てかカラオケ行きません?カラオケ!」

倉持「カラオケかぁ…」

後輩「またAKBの曲歌ってくださいよぉ~」

倉持「え?でもあたし、もうちょっとだけ…」


121 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:34:31.48 ID:J47/a9vg0
後輩「え~?まだやるんですかぁ?もうマシン空いてないですよ?」

倉持「あ、ほんとだ!じゃあ空くの待っててもいいかな?そうしたらカラオケ付き合うから」

後輩「しょうがないですねぇ…あ!あそこ!隅のマシン空いてますよ?」

倉持「え?でもあそこ、さっきまでメンテナンス中じゃなかった?」

後輩「?もう終わったんじゃないですか?いいから早くあそこで打って、カラオケ行きましょカラオケ」

倉持「う、うん…」


123 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:35:11.56 ID:J47/a9vg0
シュッ、カキーン、シュッ…

後輩「……」

倉持(なんかさっきまでのマシンと違って、球の出る間隔がずれてる気がする…おかしいな…)カキーン!!

後輩「倉持先ぱーい!頑張ってくださいねぇ~」ニヤニヤ

倉持「うん?」カキーン!!

シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、ダダダダダダダダ…

倉持「え?え?ちょっとこのマシンおかしいよ…球が…速すぎる(バシッ!!)球が止まらないよ…(バシッ!!)痛い…つっ……」ガクリッ


124 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:36:06.99 ID:J47/a9vg0
ダダダダダダダダ…シーーン…

後輩「え?先輩?おーい、どうしたんですかぁ~?」

倉持「……」

後輩「まっ、仕方ないですよね!だって『あっちゃん』が言ったんだもん。もっちぃはもう…ナカマハズレだよって…」ニヤリ


125 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:36:41.84 ID:J47/a9vg0
空港――。

カッカッカッカッカッ……ピタッ

秋元「…っっあぁぁぁ~(ノビ)久しぶりの日本だぁー」

秋元(みんな…無事かな…)

秋元「あ、もしもし佐江?久しぶり~。そう才加。今日本に帰って来たんだ。え?あぁ~ごめんごめん。早速だけど、今からそっち行っていい?」

秋元「ん?メンバーの事故?…あぁ知ってる。そのことであたしは帰国したんだ。うん、ベトナムで気になる噂を耳にしてね…あぁ…会ってから話すよ。わかった、じゃあ後で」

秋元(くそっ…やはりナカマが動いていやがったか!急がなければ大変なことに…)


130 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:40:47.62 ID:J47/a9vg0
その頃、コーポ・○○にて――。

ピンポーン…

石田「はーい(ガチャッ)げぇ…何?」

指原「あ、はるきゃん…ごめんね突然来たりして…」

石田「前置きはいいから、何なの?早くしてよ、あたし忙しいんだから」

指原「ごめんね、ほら、連絡してもはるきゃんだけ返信なかったからさ…例の特番…」

石田「あぁ…あのAKBのメンバー大集合とかいう同窓会の企画?あれならあたし出ないよ」

指原「そんなこと言わないで…ね?お願い!実は特番、今日の午後から生放送なんだ。予定より出演してくれるメンバーが少なくて…。急なんだけど、ちょっとだけはるきゃん出演できないかなぁ?」


132 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:41:22.81 ID:J47/a9vg0
石田「はぁん?!今日って…無理に決まってるじゃん。それにあたしなんて認知度の低いメンバー、出ても盛り上がらないでしょ?」

指原「そんなことないよ。はるきゃんのファン、出演してくれたらきっと喜ぶよ?」

石田「っうざいなぁ…」

指原「お願い!はるきゃん!」

男「おーい、はるかー?何グズグズしてんだよ?さっさとビールとタバコ買って来い!また殴られてぇのか?」

石田「(ビクッ)わかったよ、今買ってくるから!それじゃあさっしー、あたし買い物行くからじゃあね」

指原「あ、待ってはるきゃん」


133 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:42:19.93 ID:J47/a9vg0
石田「…何?まだ何かあるの?」

指原「今の声、彼氏?中にいるの?」

石田「そうだよ。あんまおっきい声出すなよ。彼氏夜勤明けなんだから」

指原「はるきゃん…殴られてるの?」

石田「は?毎日じゃねぇよ。時々だよ」

指原「でも顔…すごい痣…」

石田「うるせぇーな、関係ないだろ!!」

指原「関係あるよ!そんな…はるきゃんが殴られてるなんて指原絶対許せない…」

石田「なんでさっしーが泣いてるんだよ?うざっ…」


134 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:42:53.54 ID:J47/a9vg0
指原「ね、はるきゃん?指原と一緒に今すぐここ出よ?どんな理由があるにせよ、女を殴る奴なんかと一緒に暮らしてたら駄目だよ」

石田「逃げるってこと?」

指原「そうだよ。住むとこないならしばらく指原の部屋にいたっていいんだし」

石田「そんな簡単に逃げられるのなら…とっくに逃げてるよ…」ボソッ

指原「え?」

石田「あたしだって何度も逃げ出してるよ!その度に連れ戻され…死ぬほど殴られて…。逃げても逃げてもあの男は地の果てまで追ってくる!そういう奴なんだよ!だからもう放っておいてよ!」

指原「だけどこのままの暮らしをしていたらはるきゃんは…」


135 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:43:19.79 ID:J47/a9vg0
石田「だったらさっしーなんとかしてくれるの?あの男殺して、あたしを逃がしてくれる?それともあたしの代わりにここであの男と暮らして、殴られてくれるの?」

指原「そ、それは…」

石田「何も出来ないくせにえらそうなこと言うなっ!!帰ってよ、もう帰って」グイグイッ

指原「はるきゃ、」

バタンッ――。

指原「……うぅ…うぅ…」

指原(どうしたらいい?はるきゃんに…何もしてあげられることはないの…?)

指原「……グスッ…グスッ…」


136 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:43:55.61 ID:J47/a9vg0
一方その頃、秋元は――。

ピンポーン…

宮澤「(ガチャ)才加!」

秋元「いやいやいやいやぁ~お久しぶりです」

宮澤「てめぇ久しぶりじゃねーよ!どんだけ心配したかわかってんのか?」

秋元「ごめんごめん」

宮澤「入りなよ。あっちゃんとたかみなも呼んでおいたから」

秋元「うん、ありがとう」ツカツカ


140 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:47:39.04 ID:J47/a9vg0
高橋「才加ぁぁぁうわぁぁぁん」

前田「才加すごいね、筋肉。それにすごく日焼けして…あ、久しぶり」

秋元「おぉ~久しぶり。うれしいねぇ~またみんなに会えるなんて」

高橋「馬鹿!どこ行ってたの?日本は今大変なことになってるんだからね!」

秋元「…そのことについて、みんなに伝えたくて帰国したんだ…」

前田「え?」

高橋「才加…何か知ってるの?」

秋元「あぁ…まずはこれを見てくれ」カサッ

宮澤「!!これって…」


141 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:48:03.37 ID:J47/a9vg0
秋元「5年前…楽屋に残されていたノートの一部だよ」

高橋「才加が持ってたの?」

秋元「うん、これ一枚だけだけどね。怒りにまかせて破ったのはいいけど、なんだか捨てるわけにもいかず…。結局今まで持ち続けていたんだ…」

前田「じゃあこれを見せたくて帰国したの?」

秋元「いや、ちょっとベトナムで気になる噂を聞いてね。このノートが関係しているんじゃないかと思って。とりあえずここに書かれていることを読んでみて」

宮澤「何何…『おやすみなさい。もう目は覚まさないよ。小さな箱の中でみんなぐっすり…眠りながらさようなら。あんなにたくさんいたのにね。AKBが少なくなっちゃう。人数が減っちゃうよ』…」


142 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:48:32.56 ID:J47/a9vg0
高橋「何だこれ…」

前田「みんなって…みんな?あたし達全員事故に遭うってこと?」

秋元「違うよ。よく読んで。この書かれた方だと人数が減るってだけで、0にはならないよ」

宮澤「だけど、今度はかなりの人数が事故に遭うってことを示唆してるよね」

秋元「そう。それであたしが聞いた噂だと、ベトナムの裏組織が最近、日本の客から依頼されとある毒ガスを開発したっていうんだ。依頼主は某アイドルグループの元メンバーを大量殺戮するために使うと話していたらしい。たぶんそのアイドルグループっていうのはAKB…」


144 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:49:42.66 ID:J47/a9vg0
宮澤「え?ちょっと待って、裏組織って?なんで才加そんなのと繋がりあるの?」

秋元「え?そこ聞いちゃう?」

前田「うん、あたしも気になる。才加、ベトナムで何してたの?」

秋元「いやぁ~きっかけは些細なことだったんだけどね、あたしは3年前、仕事と偽って自分探しの旅に出たんだ。それであちこち周っている時に、ひょんなことからベトナムでトラブルに巻き込まれていた日本人観光客を助けた」

秋元「それからなぜかあたしは現地の人と観光客とのトラブルシューターになってしまい、色々な事件に首つっこんでいるうち裏の組織にも顔が利くようになったというわけ」

秋元「観光に来た日本人からメンバーの事故のことは聞いていたし、不思議に思っていたらこのノートの切れ端を思い出して…で、今に至ると」

高橋「ひぇぇ~そうだったのか」

前田「すごいねー」

宮澤「で、このノートの通りに事故が起きるのだとしたら早急に動いて対処しなきゃだね」

前田「うん、あたし警察に電話して説明する。信じてくれないかもしれないけど、何もしないよりはましだよね」

秋元「あ、メンバーが集まるようなことって今でもあるの?」


145 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:50:12.50 ID:J47/a9vg0
高橋「この前ちょうど事故のことでみんなに集合かけたけど、やっぱり仕事だったり結婚してたりして、そんなに人数集まらなかったな…」

宮澤「でもここにはみんなって書かれているよね」

前田「あっ!」

高橋「何?」

前田「にゃんにゃんの特番…AKBのメンバーが集まって当時の暴露話とかする企画あったよね?」

宮澤「もしかしてその時に事故が起きるんじゃ…いつやるんだろうその番組」

高橋「今日だ…」

秋元「嘘…」

高橋「今日…今から生放送だよ…」

秋元「(ガタッ)行こう!早く放送をやめさせるんだ!」


146 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:50:49.20 ID:J47/a9vg0
〇×テレビ局――。

秋元「本当なんです!今すぐ生放送を止めないと、大変なことになるんです!」

警備員「そんなの信じられるわけないですよ。関係者以外立ち入り禁止です。許可証…持ってないんですよね?」

高橋「許可証はないけど…でもほらほら!あたし達の顔、見覚えないですか?」

警備員「見覚え…ないねぇ…。それに今は物騒だからよほどの人じゃない限り許可証なしでは通してないんだよ」

高橋「そんなぁぁ」


147 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:51:18.71 ID:J47/a9vg0
宮澤「だったら今すぐ説明して、警備員さんが番組止めに行ってくださいよ」

警備員「緊急性がない限り私にそんな権限は許されてないよ」

前田「本当に駄目なんですか?」

警備員「駄目駄目!君たちもうさ、いい加減向こう行ってくれるかな?仕事の邪魔だよ!ほらほら、しっしっ!」

秋元「…チッ」

高橋「どうしよう…もしかして今頃スタジオでは…」

前田「さっきから電話で説明してるんだけど、悪戯だと思われてて警察も相手にしてくれない…」トボトボ

宮澤「ん?あれ…」

大島「おーい、こっちこっち!」


148 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:51:50.36 ID:J47/a9vg0
高橋「優子!」

前田「どうしたの?」

大島「さっきね、非通知で電話があったんだ。たかみな達が外にいるから中に入れてあげてって」

宮澤「え?誰だろう」

高橋「いいじゃん今はそんなこと。早く放送止めないと」

前田「わーい優子何でいるの?」

大島「ドラマの番宣を兼ねてのバラエティ収録だよ。ところでこの状況何?一体何の話?…って今はそれどころじゃないみたいだね。まいっか後でゆっくり理由を教えてよ。さ、早く中へ」

宮澤「裏口か」

秋元「ありがとう優子」


149 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:52:31.82 ID:J47/a9vg0
前田「あ、でもにゃんにゃんの番組のスタジオって…」キョロキョロ

大島「にゃんにゃんの?それなら3階の1番奥…」

高橋「よし行こう」ドタタ

ドタバタ…バタンッ…

大島「…行っちゃった…。何気に会うの久しぶりだったのに…」シュン


150 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:52:57.97 ID:J47/a9vg0
〇×テレビ、生放送スタジオ――。

小嶋「皆さん答えはわかりましたかぁー?テニスが特技で石と冷蔵庫が好きだったメンバー、緑茶、紅茶、ウーロン茶といえば…」

観覧席「あきちゃー!!」

小嶋「さぁ果たして正解は?それではボックスから登場していただきましょう。1人目の元AKBメンバーです」

高城「は~い。正解はあきちゃでしたぁ~」ババーン!!

観覧席「おぉー!!」パチパチパチ


152 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:53:59.47 ID:J47/a9vg0
小嶋「あきちゃ久しぶりだねー」

高城「はい~」

小嶋「今何やってるの?」

高城「普通の会社員ですー」

観覧席「あきちゃが会社員?大丈夫なのか?」ザワザワ

小嶋「へぇー大変そう」

高城「うん?」


153 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:54:37.22 ID:J47/a9vg0
小嶋「さぁそれでは次のメンバーを当てていただきましょう。次は誰がスタジオに来てくれてると思いますか?有吉さん」

有吉「知らねぇーよ!!カスみたいなメンバーばっかり出て来られてもリアクションできねぇよ。どうせあれだろ?前田とか板野とかは来てねぇんだろ?」

小嶋「どうでしょう?じゃあ次のメンバーのヒントぉ~。AKBの中ではお嬢様キャラで、ピアノが得意な彼女といえば?」

観覧席「おぉ?」ザワザワ

小嶋「それでは登場していただきましょう。2人目の元AKBメンバー…どうぞぉ~」

シーーン…

観覧席「誰だ?出てこないぞ…」ザワザワ


154 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:55:11.00 ID:J47/a9vg0
小嶋「あれ~?咲子ちゃん出てきてくださぁーい?あ、先に答え言っちゃった」

シューシューシューシュー…

有吉「おいなんか臭いぞーww」

小嶋「何?なんかトラブル?」キョロキョロ

バーーンッ!!

高橋「みなさん早く逃げてー!!毒ガスです。ここにいたら危険ですよ!!」


155 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:55:44.57 ID:J47/a9vg0
観覧席「え?たかみなだ…本物…」

観覧席「すげぇ…未だにリボンつけてる…」

観覧席「おい、後ろに前田もいるぞ…」

観覧席「何?番組の仕掛け?ドッキリ?」

ザワザワザワ…

秋元「ごちゃごちゃ言ってないで早く逃げろよ!死にてぇのか?」

観覧席「これマジなの?」

観覧席「でもなんか臭くね?」

有吉「くせぇよ何だよこの臭いw俺逃げるぞ?」

観覧席「うわぁーーー」バタバタ…


156 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:56:05.15 ID:J47/a9vg0
シューシューシューシュー…

前田「にゃんにゃん、あきちゃも早くスタジオから出て!」

小嶋「うーん、でもまだメンバーがボックスの中に…」

マネージャー「小嶋さん早くこちらへ」グイグイッ

小嶋「わかったぁーじゃあ後はたかみなお願ーい」

バタバタ…バタンッ

シューシューシューシュー…

秋元「みんな服で口元を覆うんだ!(ガチャガチャ)駄目だこのボックス、頑丈に閉じられてる」


157 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:57:13.69 ID:J47/a9vg0
前田「ゲホゲホ…ねぇ、ガスの音…このボックスの中から聞こえない?」

宮澤「嘘?…(ドンドンドンッ)みんな無事?返事してよ!」ドンドンッ!!

シーーン…

高橋「駄目だ返事がない…」

秋元「まさか中ではもう…」

高橋「そんなぁぁ」

前田「シッ!待って何か聞こえる…」


160 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:57:46.83 ID:J47/a9vg0
平嶋「あっちゃん?助けてここから出して!」

前田「なっちゃんだ!待っててすぐに出してあげるから」

平嶋「ゴホゴホ…目が…目が痛いよゴホゴホ…」

秋元「よし!こじ開けるぞ!何かバールのような物はがあれば…」キョロキョロ

前田「何があったの?どうしてこうなったのなっちゃん!!」

平嶋「ボックスの中に入ってしばらくしたら、すーちゃんが何か袋を取り出して…スイッチを入れたら変な臭いがして…」

高橋「すみれちゃんも中にいるの!?」

佐藤す「ナカマナカマナカマナカマ…」ブツブツ…

前田「…え?…」


163 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 17:59:47.43 ID:J47/a9vg0
秋元「あった!これでボックス壊すぞ!佐江は向こうからお願い!」

宮澤「わかった!」

平嶋「お願い急いで!!あたし…あたし…もう…」バタッ

前田「なっちゃん?なっちゃん!!」

バリバリ…

秋元「開いたぞ!!(ガチャ)みんな無事か!!」

佐藤す「ナカマナカマナカマナカマ…うぅぅ…」パタリ

高橋「……」

前田「嘘…ゲホゲホ…なっちゃん…」

宮澤「あぁぁ…(ガクリッ)すーめろ…咲子さん…はーちゃん亜美まで…」

高橋「……」バタッ

前田「たかみな!?」


165 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:00:47.51 ID:J47/a9vg0
秋元「ガスを吸ったんだ…たかみなはあたしが抱える!早くここから退散しよう…」

前田「う、うん…」

バタバタ…

宮澤「ハァハァハァ…うぅ…みんな…助けてあげられなかった…」

前田「……」

秋元「また裏口から出よう」

バタバタバタバタ…

前田「あ…警察…」

秋元「事件が起きてからようやくお出ましってわけか…チッ…」


168 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:01:38.77 ID:J47/a9vg0
前田「あの、現場はあっちですあっち!」

警官A「?おい、居たぞ!」タタタ…

警官B「捕まえます!」ダダッ

前田「?」

警官B「前田敦子!殺人容疑で逮捕する!」ガシッ

宮澤「へ?……」

前田「嘘?どうして…」


170 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:02:24.70 ID:J47/a9vg0
秋元「何勘違いしてんだ馬鹿、あっちゃんは犯人じゃない」

前田「やだ…離してください…痛い」ジタバタ

警官A「おとなしくしろ!」ググッ

前田「どうして?どうしてあたしが犯人なの?」

秋元「(コソッ)佐江…たかみなをお願い」

宮澤「う、うん…才加?」


171 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:03:03.37 ID:J47/a9vg0
秋元「スーハースー…あっちゃんに…何しやがるんだぁぁぁ」バキッ

警官B「げへっ!!」ドスッ…

警官A「あ、おい何するんだおまえ」バッ

秋元「うるせぇ」ドカッ

警官A「……」バタンッ

宮澤「才加すごい…」

秋元「あっちゃん逃げて!!こいつらに説明しても通じないよ。早く!!ちゃんと話を聞いてくれる所を探すんだ!」

前田「…う、うん…ごめんね…才加、佐江ちゃん…」タタタ…

秋元「ハァハァハァ…」

宮澤「一体…何が起きてるの…?」


178 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:05:43.68 ID:J47/a9vg0
数時間後、△△中学保健室――。

バタバタバタ…ガララッ

生徒A「とも~みちゃんいるー?」

河西「もぉ~とも~みちゃんなんて呼ばないの!河西先生、でしょ?」

生徒B「いいじゃんとも~みちゃん」ニヤニヤ

河西「どうしたの?また怪我したの?見せてみて」

生徒A「違うよーん」

河西「じゃあ何?」


181 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:06:16.86 ID:J47/a9vg0
生徒B「これだよこれ!」

河西「携帯?学校に持って来ちゃ駄目じゃない」

生徒A「いいじゃん別に。今日日曜で部活の練習しかないんだからさ」

河西「もぉ~他の先生に見つかったら没収されちゃうんだからね?それで携帯がどうしたの?」

生徒B「あぁ、これこれ!携帯のニュースで今見たんだけど、この逃走中の犯人て先生のアイドル時代の知り合いだよね?」

河西「え?ちょっと貸して……嘘!!」


182 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:06:56.42 ID:J47/a9vg0
生徒A「前田敦子容疑者!5人殺して逃げてるらしいじゃん。怖ぇー」

河西「あっちゃん…何で…」

生徒B「ね、今でも連絡先知ってるの?今電話してみてよ~もしかしたら話せるかもじゃん」

生徒A「ていゆうかそれで居場所突き止めて警察に通報したら、感謝状とか貰えるんじゃね?」

生徒B「おぉぉぉすげぇじゃんそれ!とも~みちゃん電話してみてよ」

河西「……」


183 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:07:30.41 ID:J47/a9vg0
生徒A「…とも~みちゃん?」

生徒B「もしもーし…とも~みちゃん聞いてる?」

河西「嘘だよ…こんなの絶対嘘だよ…あっちゃんが…あっちゃんがこんなことするわけない…助けなきゃ!あっちゃんを助けなきゃ!」

河西(でも…あたしじゃ何も出来ないかもしれない…そうだ!ともちんにも連絡してみよう…)

河西「あっちゃん…今どこにいるの…」


184 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:07:50.23 ID:J47/a9vg0
一方その頃、前田は――。

前田(何で…何であたしが犯人にされてるの?あたし…逮捕されちゃうのかな…。それに才加達を置いて来ちゃったけど、今頃どうしてるんだろう。たかみな…ちゃんと病院に行けたのかな…)

前田「ハァハァハァ…」

前田(とにかく今は誤解を解いて、真犯人を逮捕してもらわなきゃ。誰か…ちゃんと話を聞いてくれそうな人に説明をして…)

通行人「お、おいあれ…」コソッ

通行人「ん?あぁ!前田敦子だー!ここに前田敦子がいるぞー!」

通行人「お巡りさーん!」

ザワザワザワ…


187 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:08:14.29 ID:J47/a9vg0
前田「嘘?見つかった?」ダダッ

通行人「おーい、前田を捕まえろー」

ダダダダダ…

前田「やだ…やめて…来ないでぇぇぇ」タタタタ…

前田(あ、あそこの物陰に隠れよう)

通行人「居たか?」キョロキョロ

通行人「いや…」

通行人「くそっ、逃げ足が速いな…向こうを探そう」ダッ

タタタタタ……シーーン…


188 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:08:45.03 ID:J47/a9vg0
前田(良かった…気付かれなかった。みんな向こう行ったみたい…)

前田「でも…これからどうしよう……んんん?…」ジタバタ

岩佐「シーーッ!静かにしてください」

前田「この声は…わさみん?!」

岩佐「前田さん、こっちです。早く中へ…」


190 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:09:23.21 ID:J47/a9vg0
一方その頃、柏木は――。

柏木「出来ません!嫌です絶対!!こんなニュース…あたし読みたくありません!」

プロデューサー「そこをなんとか…頼むよ柏木ちゃ~ん」

柏木「こんな間違いだらけのニュースを視聴者に届けるなんて…報道人として恥ずべき行為だと思いませんか?まだ…まだあっちゃんが犯人だなんて決まったわけじゃないじゃないですか!」

プロデューサー「警察の公式な発表だよ。間違いない。現に柏木ちゃんの友達?前田容疑者は逃げてるじゃないか」

柏木「そ、それは…確かにそうですけど…。でもきっと何か理由があるんですよ!だから悪戯に報道するなんてしては駄目なんです」


191 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:09:53.26 ID:J47/a9vg0
プロデューサー「柏木ちゃんがそう思うなら信じていればいいよ。前田容疑者は無実なんだってさ。でも仕事は仕事だろ?このニュースはかつて同じグループに所属していた柏木ちゃんが読むからこそ面白いんだよ」

プロデューサー「視聴者だってそれを期待している。いやぁ~今日初めて柏木ちゃんを起用して良かったって思ったね。まさかこんなチャンスが来るなんて」

柏木「何ですか…それ…」プルプル

プロデューサー「だってそうでしょ?どこも同じ報道内容なら、柏木ちゃんが原稿読むうちの番組が1番話題性がある。視聴率だってうちが1番に取れるはずだ。正直原稿読むだけなら柏木ちゃんよりうまいアナウンサーは吐いて捨てるほどいるんだよ」

プロデューサー「それなのにわざわざ今まで君を起用してあげていたんだ。その恩、今日返してくれてもいいんじゃないかなぁ~?」ニヤニヤ

柏木「それはきちんと仕事して、ちゃんと返していきます。だからこのニュースだけは報道を取りやめてください。お願いします」

プロデューサー「柏木ちゃんも頑固だね~」


192 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:10:24.36 ID:J47/a9vg0
AD「すみません…そろそろ本番始まります」

プロデュサー「あぁわかってる。ここまで言っても柏木ちゃんの気持ちが変わらないのなら、もういいよ」

柏木「本当ですか?じゃあ…」パァァ~

プロデューサー「クビだ!さっさとスタジオから出て行ってくれ」

柏木「えぇ?!ちょっと待ってください」

プロデューサー「どうせ近々もっと素直で可愛い若手のアナウンサーと交代させようと思ってたんだ。ちょうどいい機会だし、じゃあ柏木、お疲れさん…」スタスタ

柏木「そんなぁ…」


193 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:10:45.69 ID:J47/a9vg0
一方前田は――。

前田「ありがとうわさみん、助かったよ」

岩佐「たかみなさんから連絡受けて、テレビ局の位置から考えてもしかしてここを通るんじゃないと思ったんです。会えて良かった」

前田「あ、たかみな無事だったんだ!良かった」

岩佐「これ、着替えてください。少しでも目立たない格好をしておいたほうがいいです」

前田「あ、ありがとう。何もかもごめんね…」

岩佐「いえ、メンバーはみんな信じてますよ。前田さんが犯人なわけないって」

前田「わさみん…。あ、でもこのお店…スナック?勝手に入って良かったのかな…」

岩佐「大丈夫です。ここのママとは知り合いなんで。営業でよく歌わせてもらってるんですよ」

前田「そうか…わさみんは夢叶えて、今は演歌歌手だったっけね」

岩佐「まぁ全然売れてないですけどw」

前田「……」


194 名無しさん@お腹いっぱい。 2011/11/29(火) 18:11:08.64 ID:J47/a9vg0
岩佐「これに着替えたらすぐに出ましょう。商店街を抜けたらトラックが待ってますから、それに乗って逃げられます」

前田「トラック?」

岩佐「大丈夫です。行けばわかりますよ」

前田「う、うん…」ゴソゴソ

岩佐「あ、着替え終わりました?じゃあ行きましょう」


195 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:11:31.62 ID:J47/a9vg0
一方その頃、佐藤夏と仲俣は――。

仲俣「本当に…前田さんが犯人なんでしょうか…?信じられません」

佐藤夏「あっちゃんは事件の前、警察に犯行予告と思われる電話をしてきている。証拠が残っているんだよ」

仲俣「でも例の団体…ナカマの仕業とも考えられませんか?調べてみたんですけど、あの団体かなり怪しいですよ?」

佐藤夏「仲俣!」

仲俣「は、はい!」

佐藤夏「憶測で物事を判断しない!刑事たる者、事実だけを見て事件を捉えるんだ」

仲俣「は、はい…でも…」

佐藤夏「すべてはあっちゃんを捕まえて問い質せばわかることだよ」

仲俣「……」

佐藤夏「ほら、グズグズしてないで行くよ!」

仲俣「…わかりました」


205 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:29:38.10 ID:J47/a9vg0
一方その頃、前田は――。

ザワザワザワ…

前田「こ、これ…」

岩佐「ここを抜ければトラックが待っています」

前田「でもこんなに人がいたら見つからずに通り抜けられるかどうか…」

岩佐「大丈夫ですよ(ニコッ)もうすぐですから」

前田「?」

ジャジャーーン、チャララ~♪

前田「何?音楽?」


206 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:30:07.70 ID:J47/a9vg0
板野「こんにちはー」

前田「あ、ともちん!なんかステージに出て来た…」

岩佐「事件を知って、いち早く河西さんが動いてくれたんです」

前田「とも~みが?」

岩佐「はい、そして河西さんからの連絡を受けて板野さんが動いてくれました。見ててください、これからここで板野さんのゲリラライブが始まります。通行人がそちらに目を奪われているうちに逃げるんですよ」

前田「そうだったんだ…。とも~み…ともちん…ありがとう」


208 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:30:41.81 ID:J47/a9vg0
通行人「あ、ともちんだ~」

通行人「嘘?ライブ?」

ワーワーッ…パチパチパチパチ…

岩佐「さあ、今ですよ前田さん。一気に駆け抜けるんです」

前田「うん、ありがとね、わさみん」

岩佐「みんな前田さんを信じてますから。きっとメンバーが力になってくれますよ」

前田「…あたし、頑張る。絶対に無実を証明してみせるから!」

岩佐「はい」

前田「じゃあね、わさみん」タタタ…

岩佐「…前田さん、どうか…逃げのびて…」


209 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:31:21.29 ID:J47/a9vg0
一方その頃、石田は――。

男「おーい晴香ぁ~おまえが昔やってたアイドルグループって何だっけ?」

石田「AKB48?」

男「おっ、そうそれ!なんかそれのエースだった女が人殺して逃げてるらしいぞ~アハハハハ」

石田「え?嘘でしょ?」

男「ほらテレビ見てみろよ。5人殺したか…こりゃ死刑だな死刑!アハハ」

石田「……」

男「おまえんとこにもテレビの取材来るんじゃね?元メンバーなんだしよ。来たらたっぷり取材料ふんだくれよ!」

石田「嫌だよ…そんなまだ犯人と決まったわけじゃないみたいだし」

男「あぁん?せっかく金が貰えるかもしれないチャンスだぞ?嫌ならさっさと風俗でも行って金稼いで来いよ!この役立たず」ガッ

石田「(バタッ)…痛っ…」


210 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:32:00.12 ID:J47/a9vg0
ピンポーン…

男「お?何だ?早速取材か?行けよ晴香」

石田「……」

男「ほらさっさと出ろよ!借金取りだったらまたうまく追い返せよ」ブンッ

石田「わかったよ出るからお願い殴らないで…」

タタタッ…ガチャッ

石田「嘘…何で…」


211 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:32:20.56 ID:J47/a9vg0
内田「さっしーから全部聞いた。助けに来たよ、はるきゃん」

石田「帰って!あたしのことは放っておいてくれていいから」

男「おーい晴香~?取材かぁ~?」

内田「彼氏…中にいるんだね?」

石田「お願い帰ってよ」グイグイ

内田「そういうわけにはいかないよ。思い出してはるきゃん?5年前…あんたは何をしていた?どこにいた?」

石田「5年前…?」

内田「きれいな衣装着てスポットライトを浴びて…みんなと一緒にステージに立っていたよね?あの頃の自信を取り戻して。はるきゃんはこんなところで腐ってていい人じゃないんだよ?」

石田「でも…あたしは…」


212 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:32:51.90 ID:J47/a9vg0
内田「チャンスの順番…次は君に来る…はるきゃん、この意味わかるよね?」

石田「うぅぅ……でも…あいつからは逃げられないんだよ…」

男「ん?(ドカドカ)晴香?あ、おいなんだてめぇ、何の用だ?」

内田「うるせぇお前は引っ込んでろよ」

男「んだとこの野郎…晴香は行かねぇぞ!俺と一緒にいるんだ。な、晴香?」グイッ

石田「……」

男「おい…晴香…?」

石田「…嫌だ!あんたとはもう一緒に居たくない!あんたなんて…大っ嫌いだ!」バッ

男「…っざけんじゃねぇ…」ブンッ

ガシッ!!

男「…え…?」


214 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:33:24.83 ID:J47/a9vg0
内田「女を殴る男なんて最低だよ!だけど…その逆は有りだよねぇ?」ニヤリ

スッ…ガッガッ!!バシンッ!!

男「うっ…空手…?」グッタリ

内田「さあどう?まだあたしと戦う?」

男「ヒイッ!!ごめんなさいごめんなさい…」

石田「え?」

内田「ふん…これくらいで伸びるなんて情けない男…」

石田「……」プルプル

内田「はるきゃん?」


215 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:34:07.22 ID:J47/a9vg0
石田「…アハハハハハハハ…ほんとだ情けない…こんな奴に今まで怯えてたなんて馬鹿みたいだよ。あたしすっかり目が覚めた気がする。ありがとう、うっちー」

内田「…で、勢いで乗り込んじゃったけど、これからどうする?」

石田「あたしちゃんと被害届けだすよ。今まで情があって出来なかったけど、今なら出せる。もうこんな男、何とも思わない」

内田「そうか。それなら安心だね」

石田「うん…それでうっちー、ここまでしてもらって悪いんだけど、もう1つだけ、頼めないかなぁ…」

内田「うん?」

石田「昔つるんでいた連中を集めたいんだよ…」


216 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:34:46.19 ID:J47/a9vg0
一方前田は――。

ブロロロロロロロ……

前田「まさかトラックを用意してくれたのがみゃおだったなんて…」

宮崎「今、運送会社で働いてるんですよ。本当は今仕事中だけど、緊急事態だからいいですよね」

前田「悪いね…みゃお」

宮崎「あ、全然いいです。道には詳しいんで、検問だってうまく回避できますよ」

前田「これ、どこ向かってるの?」

宮崎「この先にしいちゃんが待ってるんですよ。そこまであっちゃんを送ります」

前田「しいちゃんが?」

宮崎「はい、後はしいちゃんと逃げてください」

前田「みんな…あたしのために…」


219 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:35:23.78 ID:J47/a9vg0
宮崎「でも一体どうしたんですか?あっちゃんが殺人犯なんて嘘ですよね?」

前田「あたしにもさっぱりわけがわからないの。たぶん…ナカマっていう団体にはめられたんじゃないかと思うんだけど」

宮崎「ナカマ?それって妙な宗教団体の?」

前田「みゃお知ってるの?」

宮崎「つい最近メンバーから聞いた気がするんですよ」

前田「え?誰?」

宮崎「えーっと…誰だったかな…ちょっと思い出せないんですけど…うーん」

前田「……」

宮崎「あ、そろそろ着きますよ?」


220 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:36:16.34 ID:J47/a9vg0
大家「おーい、こっちこっち!」

前田「あ、しいちゃん!」

宮崎「はい到着っと。じゃああたしはこれで!あっちゃん、また何か力になれることがあったら言ってください」

前田「ありがとうみゃお。あと、ナカマのことで何か思い出したら教えてくれる?」

宮崎「わかりました」

大家「おーい、早く早く~」

前田「じゃああたし行くね」

宮崎「はい、気をつけて…」


221 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:36:47.01 ID:J47/a9vg0
一方その頃、高橋と宮澤は――。

高橋「あ…」フラフラ~

宮澤「大丈夫?」

高橋「平気。さっきよりはだいぶ気分良くなったから…。それより才加、どうしてるだろう…」

宮澤「あたし達は解放されたけど、才加はあれだけ派手に暴れたからな…」

高橋「警官、殴っちゃったもんね…」

宮澤「今のところあっちゃんが捕まったっていう報道はないな…。メンバーが動いてくれたお陰かもしれない」

高橋「良かった。せめてあっちゃんが携帯持ってたら今頃連絡取れたかもしれないのに」

宮澤「それどころじゃなかったもんね…」


222 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:37:25.21 ID:J47/a9vg0
高橋「だけど、どうしてあっちゃんが殺人犯てことになっちゃったんだろう」

宮澤「わからないけど、最初から仕組まれていたのかもしれないね」

高橋「才加が持ってたページには、あっちゃんが犯人にされるなんて書かれてなかったのに…」

宮澤「優子に掛かってきた非通知の電話っていうのも気になるね。たぶん誰かがあっちゃんをはめようとして、スタジオに入れるように取り計らったんだ」

高橋「これからどうしよう…」

ピンポーン…

宮澤「ん?誰だろう?」

高橋「才加かな?」


224 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:38:02.11 ID:J47/a9vg0
宮澤「はーい(ガチャッ)え?」

高橋「どうした?」

小林「ご無沙汰です」

宮澤「香菜?どうしたの?」

小林「ニュース見て…色々なメンバーに連絡取ってみたらたかみなさんはたぶん佐江ちゃんのところだろうって聞いて…」

高橋「ん?どうした?」

宮澤「何か知ってるの?」

小林「……(コクリ)これ…」


225 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:39:12.65 ID:J47/a9vg0
高橋「ノート?」

宮澤「香菜が持ってたの?今までずっと?」

小林「うん、ごめんなさい。香菜全然ニュースとか見ないからメンバーの事故のこともあんまり知らなくて…。もっと早く気付いていたらこのノートの存在も思い出せたのに…」

高橋「どうしてノートを?」

小林「5年前、メンバーはみんな怖がってノートの処分に困ってたから、香菜が処分してあげようと思って持ち帰ったの。それでそのまま仕舞いこんでいて…」

高橋「そうだったんだ。でも持っててくれてありがとう。ちょっと見せて?」

小林「うん」


227 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:39:44.30 ID:J47/a9vg0
高橋「(パラ…パラ…)なんだこれ、さっしーが持ってた写メと書かれている内容が違うよ」

宮澤「は?」

高橋「どういうことだ…これには麻里子やあたしの名前も書かれている。それに最後のページが…」

宮澤「ん?何これどういう意味だろう」

高橋「小林、このノートって本当に楽屋に置いてあったノートなんだよね?」

小林「うん?そうだよ?次の日楽屋に行ったらまだ机の上に置かれたままだったし、香菜は何も書き足してないよ?」

高橋「次の日?」


228 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:40:08.68 ID:J47/a9vg0
小林「うん、だからぁ…みんなでノートを見つけて騒いでいた次の日の朝」

宮澤「え?でもノートは見つけた日に誰かが持って帰ったはずじゃ…。楽屋を出る時には何も残して帰らないよう気をつけていたし」

小林「え?何どういうこと?」

宮澤「次の日も楽屋にノートが残ってるはずないんだよ」

小林「?」

高橋「たぶん…ノートは2冊存在していたんだ…」


229 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:40:40.82 ID:J47/a9vg0
一方前田と大家は――。

ドドドドドドドドド……。

大家「大丈夫?あっちゃん酔ってない?」

前田「…うん、ちょっと…でも平気。しいちゃんが運転する船に乗るの、あたし初めてだ」

大家「メンバーからだいたいの話は聞いたけん。安心してな。しいちゃんが絶対あっちゃん逃がしたるけん」

前田「ありがとう…うぅっ」

大家「あぁ~もう、我慢せんと座ってたらいいけん。酔い止めの薬とお水はそこやから」

前田「うん、じゃあちょっとだけ休ませて…」

ドドドドドドド……。

大家(この調子で行けば、約束の時間には間に合いそうやな…)


231 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:41:08.39 ID:J47/a9vg0
一方その頃、取調べ室では――。

秋元「(ドンッ!)だからさっきから言ってるだろ?犯人はあっちゃんじゃないって!」

刑事「だとしたら、どうして前田を逃がしたりしたんだ!やましいことがあるから、前田を逃がしたんじゃないのか?」

秋元「そ、それは…話も聞かずにいきなりあっちゃんを捕まえようとするからつい…」

刑事「だからって警官を殴れば罪になることくらいわかるだろ?」

秋元「……」


232 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:41:45.32 ID:J47/a9vg0
刑事「まただんまりか…。まぁいい、前田の居場所を白状すれば今回のことは見逃してやれないこともないぞ」

秋元「だから知らないって!あたしは今朝3年ぶりに日本に帰ってきたばかりなんだよ。あっちゃんが行きそうな場所なんて知るわけないだろ!」

刑事「前田を匿っていそうな人物でもいいんだ、何か知ってることはないのか?」

秋元「知らないよ!こんな意味のない取調べしてる時間あったらさぁ、さっさとナカマっていう団体のことでも調べなよ」

刑事「今回の事件とナカマと、一体何の関係があるんだ!わけのわからないこと言うんじゃない!」

秋元「…っだとぉ!」


233 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:42:15.47 ID:J47/a9vg0
部下「(コンコンッ)刑事…ちょっと…」

刑事「何だ?」ガタッ

コソコソ…

秋元「?」

刑事「そうか…わかった(クルリ)良かったなぁ~秋元。もうすぐ友達がここへ来るぞ?」

秋元「友達?」

刑事「先ほどタレ込みがあったんだ。前田の居場所がわかった。今捜査員が向かっている。捕まるのは時間の問題だな」

秋元「う、嘘だ!」

刑事「さぁ…前田が来たら取調べで忙しくなるぞ。さっさと事件について知ってることを話すんだ!秋元!」

秋元「……」


234 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:42:35.30 ID:J47/a9vg0
一方その頃、前田は――。

大家「あっちゃん、あっちゃん起きて」ユサユサ

前田「…ん…しいちゃん?あたし寝てたんだ…」

大家「さ、着いたけん、降りたらお迎え来とるよ」

前田「迎え?」

大家「たかみなさん」

前田「え?たかみな?まさかしいちゃん連絡しててくれたの?」

大家「うちに出来るのはこれくらいしかないけん。後はたかみなさんと一緒に居れば大丈夫やろ」

前田「…しいちゃん、ありがとう…」


235 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:43:05.55 ID:J47/a9vg0
大家「さ、早く早く」

前田「うん(ガチャ…タンタンタン…)たかみなー?あれ?どこ?」キョロキョロ

大家「……」

佐藤夏「来たか。前田敦子!殺人容疑で逮捕する!」バッ

仲俣「…前田さん、何で来ちゃったんですか…」ボソッ

前田「え?やだ…どうして…たかみなは?たかみなはどこ?」ジタバタ

佐藤夏「ふっ…高橋が来てるわけないだろ!さぁ、さっさと歩け!仲俣、車をこっちに」

仲俣「はい…」タタタ…


236 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:43:34.36 ID:J47/a9vg0
前田「やめて離して…しいちゃん!しいちゃん助けて!」

大家「…ごめんな、あっちゃん…」

前田「え?」

佐藤夏「まだわからないのか?お前の居場所を警察に通報して来たのはしいちゃんなんだよ!」

前田「そんな…何でしいちゃん…信じてたのに…」

大家「うちにはこうするしかなかったけん、許してな。全部、『あっちゃん』のお言葉なんだよ」


237 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:44:04.73 ID:J47/a9vg0
前田「あっちゃん?あっちゃんはあたしだよ?」

大家「違う…『あっちゃん』はうち達の本当のナカマやけん。うち…ナカマを裏切るわけにはいけんくて…ごめんな、ごめん…」

前田「そんな…」

仲俣「夏希先輩!」

佐藤「あぁ。乗れ、前田!これから取調べが待ってる。覚悟しとけよ?今晩は長いぞ…」


238 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:44:48.96 ID:J47/a9vg0
一方その頃、大島は自宅にて――。

大島「結局あの後何が起きたんだろう…。どうしてあっちゃんが犯人てことになってるの…」

アナウンサー『依然として逃走を続ける前田容疑者ですが、目撃情報によりますと…あ、今新しい情報が入った模様です!はい…えーっと…先ほど警察が前田容疑者の身柄を確保したとのことです。前田容疑者確保です!はい…詳しい情報は入り次第お伝えしたいと思います』

大島「あっちゃん!!」ガタッ

大島(どうして…どうして…)

アナウンサー『詳しい情報が入るまで、前田容疑者の過去についてのVTRをご覧いただきたいと思います』

大島(日本中がお祭り騒ぎになってる…。みんなあっちゃんが犯人だと信じて疑っていないみたい。報道対応の素早さもここまできたら異常…何だか最初からシナリオが用意されていたみたいな薄気味悪さを感じる…)

大島「あっちゃん…あたしに何かしてあげられることはないの?」


239 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:45:19.10 ID:J47/a9vg0
取調室――。

佐藤夏「…そろそろ自白したらどうなんだ?メンバーを5人も殺害…事前に犯行予告までして…。殺ったのはおまえなんだろ!?」

前田「違うよ!あたしは殺ってない!なっち恐いよその喋り方。やめてよ…」

佐藤夏「本当に殺ってないの?」

前田「うん」

佐藤夏「じゃああの犯行予告は?」

前田「あれはこれから事件が起きるから、説明して警察に助けてもらおうと思って…」

佐藤夏「だけど、観覧に来ていた何人もの証言はどうなる?皆が毒ガスを放つあっちゃんの姿を見たと言ってるんだよ?」


240 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:45:50.60 ID:J47/a9vg0
前田「そんな…!!嘘だよおかしいよその証言!だってあたしは、」

佐藤夏「このままだと逃走を手助けした岩佐や宮崎も罪に問われるんだぞ!!」

前田「何で?2人は関係ない!」

佐藤夏「それに、板野のゲリラライブも何か関係があるんだろ?許可なしにあんなところでライブなんかして…板野にもどんな処分が下るか…」

前田「ともちん?やめてよともちんは何も悪くないんだから」

佐藤夏「ふふ…今自白してくれたら板野達の処分、甘くすることもできるかもよぉ~?」

前田「……」

佐藤夏「どうなの、あっちゃん?」

前田「あたしは…あたしはやっぱり殺ってないものを殺ったなんて言えないよ!」

佐藤夏「チッ、強情だな…」


242 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:46:20.51 ID:J47/a9vg0
トントンッ…ガチャ

仲俣「夏希先輩、話があるとかで、課長がお呼びです…」

佐藤夏「わかった今行く!前田を見ててくれる?」

仲俣「わかりました」

ガチャ、シーーン…

前田「あのね汐里ちゃん、あたし本当に、」

仲俣「わかってますよ」ニコッ

前田「え?」


243 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:46:49.83 ID:J47/a9vg0
仲俣「篠田さんの話を聞いて、わたしなりにナカマについて調べてみたんです。今回の事件…ナカマが絡んでいそうな気がしてならないんですよ」

前田「そうだったんだ…」

仲俣「ま、ただの勘ですけど。これで外れたら洒落にならないな…。わたし、今から大変なことしちゃうから」

前田「ん?」

仲俣「今からわたしは前田さんを逃がします。刑事としてではなく、AKBのメンバーとして考えた結果、やっぱり前田さんが犯人だなんて思いたくないんです」

前田「汐里ちゃん…ありがとう」

仲俣「いえ、今のわたしに出来ることはこれくらいしかないですから」

前田「あたし、必ず真犯人を見つけ出して自分の無実を証明してみせる!」


244 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:47:12.63 ID:J47/a9vg0
仲俣「気をつけてください…偽の証言者を用意して前田さんを犯人に仕立てあげるほどナカマの力は強力なんです。少しの油断で、今度は前田さんまで危険な目に…」

前田「うん、気をつけるよ」

仲俣「さ、夏希先輩が戻って来る前に行きましょう。裏口に案内します」

前田「う、うん…」


245 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:47:43.80 ID:J47/a9vg0
数分後――。

前田(汐里ちゃんのお陰で外には出られたけど、真犯人を見つけるって一体何をしたらいいんだろう。手がかりはほとんどないのに…。でも、まずはここからなるべく遠くに逃げなきゃ!)

前田「行こう…(ガクッ)あれ?立てない…足が震えて…どうしよう怖いよ…あたしこれから一体どうなるの?1人でナカマに立ち向かうしかないの?怖い、怖いよ…」ガクガク

前田(そうだたかみなや佐江ちゃんの所へ行って助けを…!!あ、でもこれ以上2人を危険な目に遭わせるわけにはいかない…。警察が張り込んでいるかもしれないし…)

前田「信じられるのはメンバーだけ。でも、しいちゃんは違った。ということは他にもまだメンバーの中にナカマ側の人間がいるかもしれない…。一体誰を頼ったたらいいんだろう」

ツンツン…

前田「(ビクッ)だ、誰?…ごんちゃん…!」


246 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:48:23.51 ID:J47/a9vg0
仲川「ニュースであっちゃんがここに捕まっているって聞いて、助けに来たよ」

前田「嘘…そんな無茶な…」

仲川「今ね、壁をよじ登って建物の中に入ろうとしてたとこだったんだ。そしたらあっちゃん普通に外出て来たからびっくりしたよー」

前田「あ、汐里ちゃんが逃がしてくれたの」

仲川「そっかー良かったねっ」

前田「うん…」

タタタタタ…

前田「(ビクッ)誰か来た……」コソコソ


247 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/29(火) 18:49:07.35 ID:J47/a9vg0
警官C「いたか?」

警官D「いえ、向こうには…」

警官C「くそっ、探すぞ!早く前田を捕まるんだ!」

警官D「はいっ!」

タタタタタタ…

前田(もうあたしが逃げたことがバレてる…どうしよう…)

仲川「あっちゃん?」

前田「ごめんねごんちゃん、あたしもう行かなきゃ」

仲川「あたしも一緒に行くよ」


256 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 19:07:17.36 ID:Wl/PxfszO
前田「えぇ?駄目だよそれは。あたしと一緒にいたらごんちゃんまで変な容疑がかけられちゃうよ」

仲川「でもさー、あっちゃん犯人じゃないじゃん!」

前田「……え?」

仲川「どうせ報道なんて全部間違いでしょ?あっちゃん、殺してないんでしょ?」キョトン

前田「ごんちゃん……うっ…うぅぅぅぅ…」

仲川「え?あっちゃん?あたし何か変なこと言った?」


259 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 19:11:30.23 ID:Wl/PxfszO
前田「(ブンブン)ううん…何も…ただ、うれしくて…。さっきまでなっちに散々おまえが殺したんだろうって言われ続けてたから。ごんちゃんがこんなにあっさりあたしを信じてくれたことがうれしくて…ううぅ…うっ」

仲川「え~?泣かないでよぉ~」

前田「(グッ)そうだよね、あたしには泣いてる時間なんてないんだった!ごんちゃんのお陰で足にも力が入るようになったよ。もう行くね、ありがとうごんちゃん」

仲川「あ、待って!そっちには報道のカメラがたくさん…」

前田「そんなぁ…じゃあ他に逃げ道は…」キョロキョロ

仲川「……」


268 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 19:28:10.66 ID:Wl/PxfszO
前田「派手な動きをしたらすぐにこっちにもカメラが回って来そうだしなぁ」

仲川「(パッ)あっちゃんこの帽子貸して!それから上着も交換しよう」

前田「え?何する気?」

仲川「あたしがあっちゃんのふりしてカメラを引きつけるから、あっちゃんはその隙に逃げて」

前田「ごんちゃん…大丈夫なの?」

仲川「平気平気!鬼ごっこは得意だもん」

前田「…ありがとう」


271 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 19:35:39.51 ID:Wl/PxfszO
仲川「あとこれ、おなかすいた時に食べて!家から持って来たの」

前田「お菓子?くれるの?」

仲川「うん。じゃああっちゃん、絶対に逃げ切ってね!」スクッ

バッ、ダダダダダダダ……

報道陣「あ、おい前田だ!前田がいるぞー」

報道陣「カメラ回せカメラ!!」

前田(ごんちゃん…ありがとう。ごんちゃんのためにもあたし絶対逃げ切ってみせるから)タタタ…


274 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 19:37:34.46 ID:Wl/PxfszO
一方その頃、署内では――。

佐藤夏「前田を逃がすとはどういうことだ仲俣?」

仲俣「すみません…でもやっぱり真犯人は別に…」

佐藤夏「おまえの勝手な判断で殺人犯を外へ放し、そのせいで民間人が傷つけられたらどうする気なんだ!」

仲俣「でも、前田さんがそんなことするとは…」

佐藤夏「口ごたえするな!前田敦子は今や危険人物…逃亡のためならさらに殺人を犯す可能性だって考えられるんだぞ!」

仲俣「……」


275 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 19:39:52.81 ID:Wl/PxfszO
佐藤夏「ふっ、まぁいい…すぐにまた捕まるだろう」

仲俣(…前田さん…)

佐藤夏「仲俣…おまえ今から…ナカマハズレな!」

仲俣「は?」

佐藤夏「おまえはもうナカマじゃないってことだよ…」ザクッ…

仲俣「……!」ガクリッ

佐藤夏「おやすみ仲俣…仲直りするには、もう手遅れだよ…」ニヤリ


278 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 19:43:55.05 ID:Wl/PxfszO
一方その頃、前田は――。

前田「ハァハァハァ……ここまで来ればしばらくは…」

ウーーーウゥ、ウゥーーーー……

前田「パトカー?!」ダダッ

警官「止まれ前田!もう逃げ道はないぞ!」

前田「いや…いやだよ…ハァハァ…」ダダダダッ

前田(ごんちゃんが頑張ってくれたんだもん、ここで捕まるわけには…でももう足が限界…)

バババババババババ……

警官「うわっ、何だおまえら!どけ!そこをどくんだ!道をあけなさい」

前田「え?」


279 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 19:45:53.96 ID:Wl/PxfszO
ババババババ…キキィー…ザッ!!

前田「キャッ、バイク?!何?」

石田「前田さん、あたしですよ!」バサッ

前田「はるきゃん!」

石田「これでパトカーはしばらく立ち往生ですよ。あたしの仲間が道を塞いでくれています。早く後ろに乗ってください!」

前田「え?仲間って?」

石田「レディース時代の仲間っすよ。あたしの呼びかけで動いてくれたんです。これでもあたし、昔総長やってたんで」

前田「……」


280 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 19:47:36.50 ID:Wl/PxfszO
石田「何やってんすか!早く!」

前田「う、うん…。でもこれからどこへ…?」

石田「レディース総長の人脈なめないでください。前田さんの隠れ場所くらい用意済みっすよ!ちょっと長旅になりますから、覚悟してください。なるべく東京からは離れたほうがいいと思いましたから」

前田「?」

石田「乗りましたね?んじゃ、行きますよ?(ブンッ)っしゃぁぁ、昔を思い出すぜぇぇ」

ババババババババ……



281 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 19:50:27.84 ID:Wl/PxfszO
5年後――。

バイト「ギャーー何これ何これ!ちょー有り得ないんですけどぉ」

指原「ん?どうしたんですか?」

バイト「あ、これやったの指原?」

指原「ん?そうですけど…」

バイト「なんで冷たいドリンクのコーナーにおしるこ並べるんだよぉぉ普通温かい飲み物のコーナーでしょ?」

指原「え?あぁぁすみませんすみません…」


289 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:04:48.07 ID:Wl/PxfszO
バイト「そんなんだからいい歳してコンビニバイトなんかしてるんじゃないの?」

指原「すみません…」

バイト「あぁ暗い!暗いよ指原~きもいからいい加減その猫背やめてくんない?イライラする」

指原「……」

店長「あー君達、これ新しい指名手配のポスター、貼っておいてくれるかな?」

バイト「あ、はい~(ニコッ)あたしやっておきますぅぅ~」

店長「じゃあ頼んだよ、僕は一旦自宅に戻るから」

バイト「は~い、お疲れさまでしたぁ~」キャピ

ブーーン…


291 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:07:19.23 ID:Wl/PxfszO
バイト「チッ…あのおやじ、面倒臭ぇこと頼みやがって…(バサッ)ほらよ指原、おまえが貼っとけよ、ポスター」

指原「はい…」

バイト「あ、そのポスター前田敦子の手配写真だ!あのさ、この前店長から聞いたんだけど、指原って10年前までアイドルやってたんでしょ?その前田敦子と同じグループで」

指原「え、はい、そうですけど」

バイト「ギャハハハハハハほんとなの?信じらんないウケるんですけどぉぉ指原がアイドルだったなんて」

指原「すみませんすみません…」


293 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:09:31.24 ID:Wl/PxfszO
バイト「でさ、ぶっちゃけどうなの?その前田って奴、当時から人殺しそうな雰囲気とかあったわけ?」

指原「(ブンブン)そんな…前田さんは絶対そんなことしません。普通の可愛くておとなしい女の子でした」

バイト「やだぁ…マジになんないでよ、冗談で聞いたのに。ほんと指原空気読めないんだから。あーぁ、つまんない!あたし休憩入るから後よろしくね~」スタスタ

指原「はい…」



296 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:11:28.95 ID:Wl/PxfszO
ブーーン…

指原「っしゃいませぇぇ…ハァ…」

柏木「なーにため息なんかついてるの?」ヒョコッ

指原「え?あぁぁぁゆきりん!」

北原「ため息をつくと、幸せが逃げちゃうんだって」

指原「あ、里英ちゃんも!どうしたの?」

柏木「指原がここでバイトしてるって萌乃ちゃんから聞いて…。何があったの?放送作家の仕事は?」


300 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:14:03.51 ID:Wl/PxfszO
指原「あぁそれか…。あの日、あの事件が起きた日のことを考えるとどうしても仕事に身が入らなくなって…。だって指原があんな番組企画したりしなければ、事件は起きなかったはずだもん。全部指原のせいなんだよ!それで悩んでいたらいつの間にか無職に…」

柏木「そんな…。悪いのはナカマでしょ?さっしーのせいじゃないよ」

指原「ゆきりんこそ全然テレビで見かけなくなっけど、どうしたの?」

柏木「仕事はやめたよ。今は貯金を崩しながら生活してる」

指原「そうなんだ…。あ、里英ちゃんは?なんで東京に?」


301 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:16:22.18 ID:Wl/PxfszO
北原「やっぱりあの後あたしも事件のことが気になって…。東京に来たら何かわかるんじゃないかと思って仕事辞めて上京したの」

指原「そうだったんだ…。連絡してくれたら良かったのに」

北原「したよ?いっぱい!でもさっしー全然電話出てくれないんだもん!すっごい心配したんだからね?」

指原「ごめん。そういえばしばらく携帯放置してたわ…どうせ指原になんて誰も連絡してこないと思って」

北原「そんなこと言わないでよ」

指原「で、今日は2人どうしたの?」


303 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:18:25.11 ID:Wl/PxfszO
柏木「うん、里英ちゃんとも相談したんだけど、やっぱりあっちゃんの事件、もう一度調べてみない?」

北原「真相を知らないままで何事もなかったように生活するなんて出来ないんだよ。あっちゃんの行方も気になるし、一体今どこで何をしているんだか…」

柏木「あの事件から、あたし達の中では時間が止まったまま…。こんなんじゃ前に進みたくても進むことが出来ない。あたし達はみんな、自分なりに事件について決着を着けなきゃいけないんだと思う」

指原「出来るものなら…指原だってそうしたいよ。だけどその反面、事件のことはもう忘れたいという気持ちもあるんだよね…」


304 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:20:54.66 ID:Wl/PxfszO
柏木「駄目だよそんなの。さっしーが言ってることは、何の解決にもならない方法だよ。それに、あっちゃんの事件は絶対に忘れることなんて出来ない…。街を歩けばそこら中に指名手配のポスターだって貼られてるんだから…」

指原「うん…そしてそれ以上にナカマの看板にCMに広告…。日本は狂ってるよ」

北原「あたしの周りにもナカマを信じている人がいっぱいいて…気味が悪いよ。みんなしてあっちゃんあっちゃんて…まるで神様のような扱いをしているんだよ」

指原「だけどね、その『あっちゃん』に指原今度会うかもしれないんだ…」

柏木「えぇーー?!どういうことそれ」


307 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:28:12.17 ID:Wl/PxfszO
指原「しばらく人との関わりを避けて生活していたら、指原また昔のような暗い性格に戻っちゃって…。でも今の日本は『あっちゃん』の教えでみんな仲間、明るく楽しく助け合って生きようみたいな風潮でしょ?」

指原「だから暗い指原はまるで反逆者扱い…それでついに届いたんだ…例の案内状が…」

北原「え?まさかあの…?」

指原「うん…『仲直りの会』に招待されちゃったんだよ。どうしたらいいかな?ねぇ、指原どうしたらいい?」

柏木「『仲直りの会』に連れて行かれて、無事に戻ってきた人はいない…。戻って来たとしても、ただにこにこ笑っているだけの気味の悪い人物に矯正されている」

指原「やだよぉぉぉ指原そんなとこ行きたくないよぉぉぉ怖いぃぃぃ」

北原「だけど、欠席したらもっと恐ろしい目に遭うって噂だよね?」

指原「え?(ビクッ)…うわぁぁぁぁぁん…」


308 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:30:06.72 ID:Wl/PxfszO
太田プロ――。

大島「あ、有吉さん、おはようございますー」

有吉「お、大島元気か?久しぶりだな~相変わらず綺麗だな。この間のドラマ見たよ。大島の演技には泣かされたよ~」

大島「え?有吉さん泣いたんですか?」

有吉「ん?あぁ、つい感動しちまってな…」

大島「あ、あぁ…ありがとうございます…」

有吉「んじゃ大島、体には気をつけて!あんま無理すんなよ~」

大島「……」


309 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:33:30.64 ID:Wl/PxfszO
トントンッ

大島「失礼しまーす…社長、お話って何ですか?」

社長「あぁ、そこに座りなさい」

大島「?はい…」

社長「聞いたよ大島…。最近仕事にまったく身が入ってないそうじゃないか?」

大島「すみません…」

社長「なんだ、現場でも元気がないというか、あんまり挨拶もしないみたいだし、周りの評判も悪いぞ?」

大島「…すみませんでもあたし、やっぱりあの事件が気になって…。あの日、あたしがあっちゃんを局内に入れなければ、あっちゃんは事件現場に行かずに済んだのに。あそこにいたからあっちゃんは疑われて…あたしのせいなんです!あっちゃんは犯人なんかじゃないのに!」


312 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:35:49.57 ID:Wl/PxfszO
社長「またその話か…もう忘れなさい。大島がいくら後悔したって、犯人は前田に決まっているんだから」

大島「そんなことないです!あっちゃんは濡れ衣を着せられているだけなんです」

社長「あぁぁ暗い暗い!こんなジメジメした話…。仕事に身が入らないのはあの事件のせいか?いつまでも気にしていたって、どんどん自分の評判を下げるだけだぞ」

大島「え?そんな…」


315 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:37:37.36 ID:Wl/PxfszO
社長「さっさと忘れて、また昔みたいな元気で明るい大島に戻ってくれよ」

大島「でもあたしは、」

社長「いいからいいから、大島のことはちゃんと事務所も考えているんだよ。ほらこれ…今度ここに行ってきなさい」

大島「?何ですかこれ?」


316 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:39:19.60 ID:Wl/PxfszO
社長「『仲直りの会』の招待状だよ。ここに行けばきっとまた昔のような明るい大島優子に戻れるよ」

大島「ヒィッ…嫌ですそんなとこ!あたし行きたくありません!」

社長「何を言ってるんだ今更…。有吉だってこの会に行ってから別人のように明るくなって、昔のような刺々しさもなくなったんだぞ?」

大島「有吉さんが?!だからさっき様子が変だったんだ…」

社長「変じゃないだろ?今じゃ有吉は老若男女に愛されるタレントだ。昔じゃ考えられないことだよ」


327 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 20:52:38.35 ID:Wl/PxfszO
大島「あんなの本当の有吉さんじゃありません!あたしは行きませんよ、そんな会。絶対に行きません!」

社長「そうか…残念だな。いいチャンスだったのに。それにこの会に招待されるなんて名誉あることなんだぞ?」

大島「行きません!」

社長「出席すれば、あの『あっちゃん』にも会えるかもしれないじゃないか。会いたくないのかい?大島は『あっちゃん』に…」

大島「……え?」


330 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:06:36.95 ID:Wl/PxfszO
仲直りの会――。

スタッフ「は~い皆さん会場はこちらになります~。遠い所ようこそ『仲直りの会』においでくださいました~」

指原(なんだこのでかい建物…この中でこれから何が行われるんだろう…)

大島「(コソッ)指原!指原!」

指原「え?優子ちゃん!どうしたんですか何でここに…?」


331 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:08:14.53 ID:Wl/PxfszO
大島「招待されちゃったんだよ。指原もなのか?」

指原「はいそうなんです。良かったぁぁ指原1人で心細かったんですよぉぉ」

大島「安心するのはまだ早い。これからここで何をさせられるのか…」

指原「そうなんです。指原もう怖くて怖くてやばい吐きそう」


332 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:09:57.80 ID:Wl/PxfszO
スタッフ「皆さんにはまずこれからナカマのプロモーションビデオをご覧になっていただきます」

ザワザワザワ…

大島「すぐには『あっちゃん』の登場はなさそうだね。もしかしたら出てくるんじゃないかと思って来てみたのに」

指原「ゆきりんの話だと、前田さんそっくりのマスクを被っていて素顔を見えないそうです


大島「気味が悪いなそれ…」

指原「あ、PV始まりましたよ」


333 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:11:55.47 ID:Wl/PxfszO
ナレーション「…すべては日本中を恐怖に陥れたあの事件…前田敦子による大量殺人から始まりました。前田敦子は友人5人を殺害…さらに身柄を拘束した刑事までもを殺害し逃亡…人々は不安に夜も眠れない日々を過ごすこととなりました。そこへ現れたのが救世主『あっちゃん』です…」

大島「何これでたらめばっかりじゃない!」

スタッフ「…そこ、静かに!」ギロッ

指原「優子ちゃん、怒られちゃいますよ」


335 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:13:38.47 ID:Wl/PxfszO
大島「でも現に嘘ばっかりじゃないこのPV!これ作ったやつ頭おかしいんじゃないの?」

スタッフ「すべては事実に基づいて作られている」

大島「何だと?嘘つくんじゃねーよ!」

指原「あぁぁぁぁ優子ちゃぁぁん落ち着いて落ち着いて!!」


338 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:19:17.32 ID:Wl/PxfszO
大島「もう我慢出来ない!日本中をおかしくしてるのは『あっちゃん』でしょ?なんで本物のあっちゃんが悪者にされてるわけ?こんなPVなんていいから、さっさとその『あっちゃん』て奴を出しなさいよ!あたしがこの手でマスクを剥ぎ取ってやる!」

スタッフ「……」

大島「何だよ?なんか言えよこの野郎!」

指原「優子ちゃん…(グイッ)え?何ですか放してくださいよ痛い!痛たた…」

大島「うわっ、触るんじゃねぇ!放せ!放せよ!」ジタバタ

スタッフ「お前達は特別コース行きだ!」

指原「え?何ですか特別コースって…何されるの?うわっ、うわぁぁぁぁ」ズルズルズル…

大島「くっそぉぉぉぉぉぉ」ズルズルズル…


339 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:25:13.16 ID:Wl/PxfszO
招待客「おい、あの2人どこか連れて行かれてるぞ…」コソッ

招待客「特別コースって言われてたけど、何なんだ?」

ザワザワザワ……

スタッフ「皆様お騒がせして申し訳ございません(コソッ)司会者、さっさと進行しろ!」

渡辺「あ、はい…はーい皆さんそれではちょうどPVも終わったところですので、そろそろおなかすいてきていませんかぁー?向こうにお食事が用意してありますので、移動しましょう。みんな揃ってからいただきまゆゆ~と言って食べましょうねー?」

指原「え?なんでまゆゆが司会を…?」ズルズルズル…

大島「嘘…でしょ…」ズルズルズル…


340 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:26:51.71 ID:Wl/PxfszO
特別コース、会場――。

指原「真っ暗だ、どこなのここ。怖いよ…」

大島「声の響き方からして、そこそこ大きな部屋だな」

指原「スタッフの人もどっか行っちゃったし…あ、今のうち逃げましょうよ優子ちゃん」

大島「駄目だよ!『あっちゃん』の正体を掴むまでは、帰るわけにはいかないよ」

指原「でも絶対危ないですってこんなとこいたら」


341 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:28:34.40 ID:Wl/PxfszO
大島「ところでさぁ…さっきの司会者ってまゆゆ…」

指原「ですよね指原も見ました」

大島「なんでナカマの施設で司会なんか…」

指原「わかんないですけど、味方ではなそうですよね」

大島「まゆゆもナカマ側の人間だったの…」

パァァ!!

指原「んんん…眩しい」

大島「(ハッ!!)何なのこれ…」


342 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:31:18.11 ID:Wl/PxfszO
スピーカー「お2人の様子はこちらでモニターしています。天井から下がっているヘルメットとゴーグルを装着してください」

指原「え?え?何すんのこれ何か調べるの?指原実験台にされるの?」オロオロ

スピーカー「早く装着してください。逆らう場合は直ちにナカマハズレにされます」

大島「……」

指原「えぇぇぇナカマハズレって何?恐いよぉぉわかったよこれ着ければいいんでしょ」スチャッ

大島「……」スチャッ


344 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:34:22.76 ID:Wl/PxfszO
スピーカー「装着しましたね?ではお2人には『あっちゃん』の真実について触れるため、ある世界に飛んでいただきます。あちらの世界でお2人は透明人間のような存在…誰かと話したり何かに触れたりすることはできません」

スピーカー「あちらの世界で何が起きても保障はできませんので、ご了承願います。それではお2人、いってらっしゃ~い」

ピピピピピピ…

指原「保障は出来ないって?何かまずいことが起きるんじゃ…」

大島「さっきから変な機械音が聞こえる…」

ピピピピピピ…ピカッ!!

大島指原「うっ……」ビクッ


345 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:36:06.34 ID:Wl/PxfszO
ナカマの世界――。

大島「…ここは?」

指原「…なんか懐かしい…楽屋ですかね?」

大島「あっ!見てこのカレンダー、2011年…てことは10年前だよ!」

指原「あの、ドアの外にAKB様って貼り紙が…そうなるとここは…」

大島「AKBの楽屋だ!10年前の」


346 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:37:53.22 ID:Wl/PxfszO
ガチャ、ドヤドヤ…

秋元『休憩だぁ~ふぅ…いい汗かいたぁぁ』

仲川『ねぇねぇ聞いて聞いて!!』ドタバタ

倉持『耳…耳触らせてケロ』フガフガ

菊地『あれ?あたし携帯どこやったっけ?岩佐あたしの携帯持ってるだろ?』

岩佐『知らね』

ガヤガヤガヤ…


347 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:39:25.06 ID:Wl/PxfszO
大島「すごい…10年前のあたし達…」

指原「あ、10年前の指原!あんなとこでゲームやってる」

大島「ここで『あっちゃん』の真実がわかるのかな?なぜ楽屋?」

指原「あ、前田さん入って来た!」

前田『……』カチカチ


348 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:41:51.50 ID:Wl/PxfszO
指原「携帯いじってますね」

大島「メールかな?ちょっと覗いてこよう(タタタ…)違う、ブログ更新してるだけだ」

指原「ただ見てるだけで、何かわかるんですかね…普通の楽屋風景にしか思えないんですけど」

大島「…いや、あたし達をここに飛ばしたんだ。きっと理由があるんだ。今からここで起こる何かをあたし達に見せようとしてるんだよ」

指原「はい…」

スタッフ『AKBさん、そろそろ再開しまーす』

AKB『はーい』

ガヤガヤガヤ…


350 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:43:30.05 ID:Wl/PxfszO
指原「え?え?みんな出て行っちゃいますよ?何も起こらないじゃないですか」

大島「おかしいなぁ」

シーーン…

指原「みんな行っちゃいましたね…」

大島「あ、もしかして注目すべきはみんなの行動じゃなくて、この楽屋風景そのものなのかもしれない!調べてみよう!」

指原「調べるっていっても、何かに触ることできないじゃないですか」

大島「そうかぁ…」


353 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:45:47.83 ID:Wl/PxfszO
タタタタタ…ガチャ…

大島「誰か来た!」

指原「たかみなさん?何で戻って来たんだろう」

大島「たかみな1人だね…何する気だ?」

指原「あ、あれ!ノート!」

大島「ノート?あぁ、メンバーの死が書かれているってやつか。あのノートがそうなのかな?」

指原「きっとそうですよ。たかみなさんが持ってたんだ…」

大島「だとしたら…何で今まで持ってることを言わなかったんだろう」

指原「きっと何か理由があるんですよ」


358 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:48:41.15 ID:Wl/PxfszO
高橋『……』ゴソゴソ

大島「?あたしちょっと近くで見てくる」タタタ…

指原「え?優子ちゃん…!」

大島「あれ…?なんで…?」

指原「どうしたんですか?」タタタタ…

大島「たかみな、ノート2冊持ってるよ?」

指原「は?どういうことなんでしょう…」


361 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:50:36.99 ID:Wl/PxfszO
高橋『……』ゴソゴソ…

タタタタタ…ガチャッ、バタンッ!!

大島「……」

指原「たかみなさん、ノートを鞄に仕舞ってた。1冊はこの鞄…」

大島「覚えてる。間違いなくこれはたかみなの鞄だ」

指原「はい。だけどもう1冊のほうを仕舞っていた鞄は、誰のなんでしょう」


362 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:52:28.61 ID:Wl/PxfszO
大島「この鞄、どう見てもたかみなの趣味じゃないし、誰か他のメンバーの鞄だよね」

指原「誰のだろう。見覚えはあるんですけど…」

大島「あたしも見覚えある。だけどメンバーのうち誰が使っていた鞄なのかまでは思い出せないや」

指原「でも、ノートを持っていたのはたかみなさんです。てことは『あっちゃん』の正体は…」

大島「そんな…嘘だよ!何かの間違いだ!!」

指原「ですよね。指原も信じたくないです」


363 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:54:40.67 ID:Wl/PxfszO
大島「この鞄の持ち主が誰なのか調べてみよう。そうすればたかみなの疑いが晴れるかもしれない。えいっ、えいっ!」スカッ、スカッ

指原「無理じゃないすか?指原もさっき触ろうとしたけど、すり抜けちゃって何も触ることできないんです」

大島「鞄の中身から持ち主がわかるかもしれないのに…くそぉ!!」

タタタタタ…ガチャ…

指原「あ、また誰か入って来ましたね」

大島「ん?今度は誰だ?あの後姿は…たかみなじゃないしなぁ…」

指原「何してるんだろう。何か探しているみたいだけど」

大島「うん」


364 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:57:30.36 ID:Wl/PxfszO
???『……』ゴソゴソ

指原「あー!指原の鞄の中いじってる!なんで?なんでぇぇ?」

???『……フンッ』カチカチッ

指原「あれ指原のゲーム…あぁ思い出した!いつだったか楽屋に戻ったらなぜかデータが消えてたことあったんですよ!あいつの仕業だったのかぁぁぁ!」

???『……』ガタッ

大島「あれ…菊地の携帯じゃないか?あいつが隠してたんだな…。それにほら、なっちゃんのポーチから何か奪おうとしている」

指原「そういえばよくメンバーの持ち物が紛失したり、壊れてたりしたことありましたよね?もしかして全部あいつの仕業じゃ…」


365 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 21:59:13.26 ID:Wl/PxfszO
大島「許せないね、誰なんだ?後ろ姿だけじゃわからないなぁ…よしっ、顔見てやる!」タタッ、グッ!!

指原「?優子ちゃん?」

大島「足が…足が動かないんだ!」

指原「え?(グッグッ)ほんとだ!」

???『……』ゴソゴソ…ピタッ!

大島「?」

???『………ねぇ?………』


366 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 22:01:07.88 ID:Wl/PxfszO
指原「ヒィッ……!!喋った!」

大島「落ち着いて!あたし達の声は向こうには聞こえてないんだから」

???『……ねぇ…知ってるよ?居るんでしょ?…優子ちゃん?さっしー?……』

指原「いや気付かれてるじゃないですかぁぁ何で?何で?」

大島「……おいお前!何やってんだよ?こっち向いて顔見せろ!」

???『いいよ…顔見せたら、2人ともナカマになってくれる?』


370 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 22:07:07.92 ID:Wl/PxfszO
一方、『仲直りの会』施設内――。

カタカタカタカタ……

渡辺(どうしてここに優子ちゃんとさっしーが?それに特別コースに連れて行かれるなんて…あそこに連れて行かれたら大変なことになる。早く助けなきゃ…)

渡辺「待ってて2人も…もうすぐだから…」カタカタカタ…

渡辺(あった!これだ!強制終了…)カタッ…

渡辺「何?…ここで終了すると、プレーヤーの脳に支障をきたす場合があります?そんなぁ…」

渡辺(でもやるしかない!でないと2人は永遠に…。よし、一か八か…)

渡辺「終了っ!」カチッ


372 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 22:09:46.25 ID:Wl/PxfszO
一方大島と指原は――。

???『ねぇ…ナカマになって…くれるよね?…』

指原「…やばい吐きそう」ガタガタガタ

大島「知るかっ!仲間になるってことは口約束じゃねーんだよっ!少しずつ色々なことを積み重ねて絆を結んでいくもんなんだっ!!」

???『あたし…ナカマハズレは嫌だよ…』

大島「お前なぁ、…ん?」

指原「え?」

ピピピピピピピ…パンッ!バリバリバリ…

大島指原「キャーーー!!」


373 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 22:11:49.47 ID:Wl/PxfszO
その時、『仲直りの会』施設内では――。

渡辺「ハァハァハァ…終わった…。2人とも大丈夫かな。後はどうにかしてこの施設から脱出させなくちゃ…」

???「すみませーん誰かいませんかー?」

渡辺「ん?外が騒がしいなぁ。何だろう」


376 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 22:14:18.64 ID:Wl/PxfszO
『仲直りの会』施設受付――。

小森「すみませーん!こんにちはー」

警備員「はい?何か御用でしょうか?」

小森「予約していた小森です」

警備員「はい?」


378 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 22:16:11.97 ID:Wl/PxfszO
小森「△△幼稚園で今度こちらの施設を見学したいと思いまして、一度下見に伺いたいと予約していたんですが…」

警備員「は?聞いてませんよ?」

小森「嘘ー?わたしちゃんと予約しましたよ」

警備員「本当ですか?一般の方が簡単に見学できる施設ではないのですが…本当に幼稚園の先生なんですか?」

小森「そうですよ」

警備員「そちらの方々も?」


380 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 22:19:22.41 ID:Wl/PxfszO
北原「あ、えーっと…あたしは給食担当です」

警備員「は?」

高城「あ、あたしは給食室の冷蔵庫管理をしている者です」

警備員「今の幼稚園にはそんな職種があるんですか?」

小森「うちの幼稚園最先端なんです」

警備員「…で、そちらの方は?どう見ても幼稚園の先生という人相じゃないですけど」

仁藤「うるさいなぁー目つき悪いだけで人を判断しないでよ」

小森「www」

仁藤「笑わないの小森!」

小森「あ、ごめんなさい」

警備員「はぁ…」


386 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 22:22:09.24 ID:Wl/PxfszO
渡辺「あの、どうかしたんですか?」

警備員「あ、お疲れさまです。あの、こちらの方が施設の見学を予約したとおっしゃってるんですが…」

高城「あ、麻友ちゃ…(ドスッ)痛っ!!え?萌乃ちゃん蹴らないでよ」

仁藤「……」ギロッ

警備員「?渡辺さんのお知り合いですか?」

渡辺「いえ、知りません。ですが予約を受けたのは私です。すみませんお伝えし忘れていて…」

警備員「そうだったんですか」

渡辺「さ、皆さんどうぞ。私が施設内を案内致します」


391 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 22:24:43.35 ID:Wl/PxfszO
数分後――。

北原「じゃあ麻友ちゃんは事件が起きてからずっとナカマに潜入してたってこと?」

渡辺「うん、ゆきりんから話を聞いて絶対にこの団体は怪しいって確信したの」

仁藤「それで、『あっちゃん』については何かわかった?」

渡辺「ううん…まだ…。この5年、頑張って会の運営を任されるようにまでなったけど、『あっちゃん』に会うためにはもっと上の役職につかないと駄目なの…」

北原「そうだったんだ…」


395 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 22:26:37.11 ID:Wl/PxfszO
渡辺「あ、わたしのことはいいの。それより優子ちゃんとさっしーが…」

北原「うん、さっしーからこの会に出席するって聞いて心配になって。あたし達助けに来たんだよ」

高城「麻友ちゃんがいてくれて良かったね~お陰で中に入れちゃったっ!」

渡辺「2人がいるのは向こうの部屋。カメラが付いてるけど、一時的にシステムをダウンさせてるから大丈夫。でも急いで」タタタタ…


397 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 22:29:51.04 ID:Wl/PxfszO
ガチャッ、バンッ!!

大島「……ハァハァハァ」

指原「……」グッタリ

北原「優子ちゃん!さっしー!大丈夫?」

大島「北原?みんな…何で…」

渡辺「危険かと思ったけど、強制終了をかけたの。他のスタッフはまだそのことに気付いてないよ。早く!今のうちここから逃げて」


401 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 22:32:34.14 ID:Wl/PxfszO
指原「まゆゆ…ありがとう…。あ、小森」

小森「指原さん、お久しぶりです」

指原「小森も…その…助けに来てくれたんだ?」

小森「あ、はい…萌乃ちゃんから話を聞いて」

指原「そうだったんだ…」

小森「でね、10年前のことですけど、あたし…」

指原「いや、指原も悪かったよ。謝ろうとしたんだけどタイミング失って、何となく話さないままにAKBが解散しちゃって…」

小森「じゃあ指原さん、もうわたしのこと怒ってないんですか?」


404 ◆TNI/P5TIQU 2011/11/29(火) 22:35:41.90 ID:Wl/PxfszO
指原「?指原始めから怒ってないよ?なんでそうなっちゃうのよ」

小森「え?でも誰かから指原さんは小森のこと怒ってるって聞いて…。だから話しかけてきてくれないのかと思ってました」

指原「え?そんなことないよ。てか話しかけてこなかったのは小森のほうじゃん」

小森「え?そうでしたっけ?」

大島「たぶんそれ、あいつの仕業だよ。さっき見た楽屋を荒らしてた奴。2人が仲違いするように仕組んだんだ」

小森「え?あいつって?」

指原「そうか!小森、10年前、誰が小森に指原が怒ってるなんて嘘言ったのか、覚えてない?」


565 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:01:35.75 ID:sGsMhwGV0
指原「そうか!小森、10年前、誰が小森に指原が怒ってるなんて嘘言ったのか覚えてない?」

小森「え?誰だろう…。あやりんだったかな、違うなぁ…忘れちゃいました」

渡辺「あの、話は後にして、今は早くここから」

大島「そうだ!まゆゆ、出口は?」

渡辺「向こうです」タタタ…

指原「…あ、待って、指原腰が抜けちゃってて…」

仁藤「もぉしょうがないなぁー。あきちゃ、お願い!さっしー持って!」

高城「はーい」ヒョイッ


566 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:02:15.80 ID:sGsMhwGV0
タタタタタタタ……

北原「外に出たら車が用意してあるから、それで逃げられるよ」

大島「ほんと助かったよ」

警備員「あ、見学終わりましたか?」ヌッ

小森「はいーありがとうございました」

警備員「あの…そちらの2人は…?」チラッ

渡辺「脱走しようとしていたところをこちらの方々が捕まえてくれたんです。この2人はナカマハズレとなりました。今から連れて行きます」

警備員「そうでしたか。お気をつけて」


567 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:02:47.16 ID:sGsMhwGV0
タタタタタタ…

指原「うわぁぁぁぁい外だぁぁ出られたぁ」

北原「みんな乗った?車出すよ?」

高城「でも、これからどうするの?」

大島「行きたいところがあるんだ…いいかな?」

北原「わかりました。どこですか?」

指原「優子ちゃん…」

大島「たかみなのところだよ。聞きたいことがあるんだ…」


571 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:12:56.33 ID:sGsMhwGV0
××刑務所――。

菊地「は、放してよっ!痛い!ちゃんと自分の足で歩けるから」

看守「いいから早くしろっ!こっちだ!」ドサッ

菊地「(ズサーッ)痛っ…何すんの」

看守「ここが今日からお前の暮らす部屋だ、320番!同室の奴はかなり凶暴な奴だぞ!この間も看守が1人耳を食いちぎられている…」

菊地「…やだ…部屋替えてくださいっ!お願いします!」

看守「無理だな。ま、せいぜいそいつの機嫌を損ねないように頑張れよ!アハハハ」ツカツカ…

菊地「ひぃっ…あたしが何したっていうの…」

???「おい、おまえ!」

菊地「は、はいっ!(ビクッ)今日からこの部屋でお世話になります菊地です。よろしくお願いします!」

???「おぉー、やっぱり菊地かぁ~」

菊地「はい?…まさかこの声は…」


572 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:13:28.90 ID:sGsMhwGV0
秋元「あたしだよあたし!才加」

菊地「え?才加ちゃんなんでここに?」

秋元「5年前に警官殴って逮捕されてから、何だかんだ有りもしない罪までお前がやったんだろうって濡れ衣着せられて、ここに収容されてるんだ。菊地こそどうしてこんなところへ?」

菊地「そうだったんだ…。あたしはちょっと『あっちゃん』の悪口を言っただけでなのに反逆者として捕まって…」

秋元「何だよそれおかしいだろ」


573 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:15:31.45 ID:sGsMhwGV0
菊地「才加ちゃんがここにいた5年の間で世の中はかなり変わっちゃったんだよ。『あっちゃん』は救世主、そして前田敦子は犯罪者…。少しでも『あっちゃん』に逆らったらみんなあたしのように捕まっちゃうの…」

秋元「狂ってるな…」

菊地「あーあ、ついてないなぁ。あたしなんかちょっと近所の奥さんに『あっちゃん』の言ってることはおかしいって言っただけだったのに」

秋元「いや…菊地はついてるよ」

菊地「へ?」

秋元「見てよこの穴…5年かけて看守にばれないよう少しずつ堀り進めたんだ。昨日やっと完成した。一週間後に迎えが来るんだ。そうしたらここから脱獄する計画なんだよ。菊地も一緒に来ない?」

菊地「脱獄?するするー!外に出られるならなんでもする!」

秋元「よし、決まりだな!」


574 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:16:16.59 ID:sGsMhwGV0
一方その頃、高橋宅マンション――。

ピンポーン…

高橋「はーい」ガチャッ

大島「たかみな?突然ごめんね」

高橋「いいよいいよー。入って入って、連絡あったから佐江も呼んでおいたよ」

宮澤「優子久しぶり~」

大島「ほんとだね、久しぶり。んじゃおじゃましまーす」

ドヤドヤドヤ…


575 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:17:05.92 ID:sGsMhwGV0
指原「すみませんたかみなさん、大人数で」

高橋「いいからいいから」

大島「早速だけど、たかみな?教えて欲しいことがあるの…」

高橋「ん?何何?」

大島「うん…」

高橋「何だよー改まって」

指原「たかみなさん…」

高橋「?」


576 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:18:26.71 ID:sGsMhwGV0
大島「10年前、楽屋に残されていたノート…あれって、たかみなのものだよね?」

高橋「……へ?」

渡辺「優子ちゃんとさっしーが『仲直りの会』で、10年前の楽屋を再現した世界に飛ばされたんです。そこでたかみなさんがノートを鞄に仕舞うところを見たって…」

宮澤「何それ?どういうこと?初めて聞いたよ」

指原「あのノートはたかみなさんが書いたものだったんですか?違いますよね?」

高橋「……」

大島「答えろよたかみな!あのノートを書いたのはたかみななの?!」


578 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:22:40.40 ID:sGsMhwGV0
一方その時、埼玉県某オフィス街――。

篠田「……」

梅田「そろそろ出てくるはずなんだけどなぁ…」

峯岸「残業してるとか?遅いなぁ…」

佐藤亜「お疲れ様でした~」

篠田「あ、出て来た!亜美菜ちゃーん!」


579 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:23:20.81 ID:sGsMhwGV0
佐藤亜「あ、篠田さん?嘘なんで?梅ちゃん…みぃちゃんも…」ビクッ

峯岸「元気そうだね?今はOL?結婚は?」

梅田「みぃちゃん今日はそんなこと聞きに来たんじゃないでしょ」

佐藤亜「…何の用ですか?」

篠田「うん、急にごめんね。ちょっと聞きたいことがあって…これなんだけど、見てもらえるかな?」カサッ

佐藤亜「?」


582 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:24:18.54 ID:sGsMhwGV0
篠田「10年前、楽屋に残されていたノートを覚えてる?それにはメンバーの死の状況が書かれていた。あたし達は5年前、さしこがそのノートの内容を写真に撮って保存していたと聞いてから、誰がノートを書いたのか、そして誰がノートを持ち帰ったのか、1人1人メンバーに聞いて回っているんだ」

佐藤亜「それで今日は…亜美菜の番なんですね」

梅田「うん亜美菜ちゃん携帯変わっちゃってたし、探すの苦労したよ」

峯岸「ねぇねぇノートについて何か知ってることない?」

佐藤亜「知らないよ」ブルブル…

篠田「亜美菜…ちゃん…?」


583 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:25:09.37 ID:sGsMhwGV0
峯岸「ほんとに?ほらこの写真よく見てみてよ」グイッ

佐藤亜「…知らない!知らないったら知らないっ!」バサッ!!

峯岸「あぁ何するの…」

佐藤亜「……」クルッ、ダダダダダ…

梅田「あ、待って亜美菜ちゃん!」タタタッ

篠田「……」


584 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:25:55.12 ID:sGsMhwGV0
一方その時、高橋宅マンションでは――。

北原「あたしも聞きたいです。あのノートは…?」

高橋「確かに…あのノートを書いたのはあたしだ。だけど、あそこに書いた内容はあたしが考えたものじゃない。あたしはただ、偶然あるメンバーの鞄からノートを発見して、別のノートに内容を書き写しただけなんだ…」

宮澤「……」

指原「そっか、だからノートは2冊あったんだ!」

大島「誰なの?始めにノートを持っていたメンバーは…。その子がノートを書いた本人なんでしょ?」

高橋「うん、たぶん…。ノートを書いたのは…」


585 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:27:08.78 ID:sGsMhwGV0
その時、佐藤亜美菜は――。

佐藤亜「ハァハァハァ……」

梅田「捕まえた…亜美菜ちゃん、どうして逃げたりなんかしたの?」

佐藤亜「……」

篠田「何か理由があるんだよね?」

佐藤亜「知らないもん!亜美菜は全然悪くないっ!悪いのはノートを写した人でしょ?亜美菜はただ…悪戯で書いてただけだもん!」

峯岸「写した?は?え?どういうこと?」

佐藤亜「確かにそのノートの内容は亜美菜が書いたもの。だけどその写真に写っているノートは亜美菜の字じゃないよ!誰かが亜美菜のノートを見て、書き写したものなんだよ!」

梅田「そんな…誰が、何のために?」

佐藤亜「わからないよ!亜美菜だって5年前、メンバーの連続事故が起きるまでノートの存在は忘れてたくらいだし」

佐藤亜「だけど事故が続くようになって、あっちゃんの事件が起きて、もしかしたら昔亜美菜が書いたノートが原因なんじゃないかって気付いたの。そうしたら怖くて怖くて…でもこんなこと誰にも打ち明けられなくて…グスッ…グスッ…」

峯岸「亜美菜ちゃん……」


587 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:28:18.99 ID:sGsMhwGV0
その時、高橋宅マンションでは――。

渡辺「亜美菜ちゃん?本当に亜美菜ちゃんが書いたものなんですか?」

高橋「たぶん間違いないと思う。ある時楽屋を出ようとしたら、亜美菜ちゃんの鞄をひっくり返しちゃったことがあって…急いで中身を拾おうとしてあのノートを見つけたんだよ」

高橋「なんとなく嫌な予感がして中を読んでみたら…それで内容が内容だけに放っておけなくて、急いで中身を書き写しておいたんだ。後で亜美菜ちゃんの相談に乗ってあげようと思ってね…」

大島「そうだったんだ…」

北原「でも、そのノートがなんで楽屋の目立つところに置かれていたんですか?」

指原「あ、そういえば…。指原と優子ちゃんが見た世界だと、たかみなさんはちゃんと鞄にノート仕舞ってましたよね?」

大島「うん」


588 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:29:15.79 ID:sGsMhwGV0
高橋「ノートは…盗まれたんだよ。ある時鞄から消えてたんだ。数日後、なぜかそのノートが楽屋の机の上に置かれていて、メンバーが回し読みしはじめちゃって、取り返すことも出来ずそのまま…。今は誰がそのノートを持っていることやら…」

仁藤「亜美菜ちゃんがこっそり回収したってことはないですか?」

高橋「いや、それはない。みんながノートを見て騒いでいる間、あたしは心配で亜美菜ちゃんをずっと遠くから観察していたんだ。亜美菜ちゃんは楽屋の隅で騒ぎを見つめながら、震えていたよ…」

宮澤「そんな…」

高橋「あたしがもっと早く気がついて、亜美菜ちゃんの相談に乗ってあげていればあんなことには…いや、そもそもあたしがノートの内容を書き写して持ち歩いてさえいなければ良かったんだよ。すべてあたしの不注意だ。ごめん、今まで黙ってて…」


589 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:30:07.80 ID:sGsMhwGV0
大島「たかみなのせいじゃないよ。たかみなは悪気があってノートを写したんじゃない。亜美菜ちゃんを心配して内容を書き写したんだから。それよりあたしこそごめん、正直ここに来るまで、ちょっとだけたかみなのこと疑ってた」

指原「あ、指原も…すみませんでした」

高橋「いいよいいよ。疑われるようなことしたのはあたしだし」

小森「あのぉ、じゃあ話をまとめると、亜美菜ちゃんが『あっちゃん』の正体ってことですか?」

高橋「いや、それは違うと思う。みんなにノートを読まれて震えていたんだよ亜美菜ちゃんは。そんな子がメンバーを事故で殺害し、あっちゃんに罪を着せるなんて真似できるわけないよ」

渡辺「あ、わたしもそう思います。亜美菜ちゃんはそんな恐ろしいこと出来る人じゃない」


590 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:31:20.39 ID:sGsMhwGV0
その時、佐藤亜美菜は――。

佐藤亜「メンバーに新しい仕事が入って来たりするたび羨ましくて…。あの子がいなかったら亜美菜が代わりにその仕事貰えたんじゃないか、あの子さえいなければって思うと、いても立ってもいられなくて頭がおかしくなりそうだった」

佐藤亜「だからその気持ちをノートに吐き出していたの。ただ書いて気持ちが治まればそれで良かった。それなのに…」

梅田「誰かにノートを見られ、内容を書き写されちゃったってわけね…」

佐藤亜「うん。まさかそれが楽屋に置かれてメンバーの目に触れるなんて思いもしなかった。みんながノートを見て騒いで回し読みしている間、亜美菜が書いたものだろうって誰かに指摘されるんじゃないかと不安で怖くて、ずっと震えてたんだ…」


591 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:31:52.84 ID:sGsMhwGV0
篠田「でも亜美菜ちゃん、あんなことノートに書かなくたって…」

佐藤亜「篠田さんには亜美菜の気持ちなんてわかりませんよ。努力して努力して努力して…それなのに上には行けなくて…。亜美菜の何がいけなかったんだろう。亜美菜はどこまで努力したら上に行けたの?ねぇ?どうすれば良かったの?ねぇ!」

篠田「悪いのは亜美菜ちゃんじゃない。本当に悪いのは…亜美菜ちゃんをそこまで追い詰めた環境だよ。亜美菜ちゃんはそのままで充分魅力的だったんだから」

峯岸「そ、そうだよ!亜美菜ちゃんの実力はみんなが認めていたんだよ」

佐藤亜「…篠田さん…みぃちゃん…うぅぅっ…うっ…」


592 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:32:22.94 ID:sGsMhwGV0
梅田「亜美菜ちゃん、ノートの内容については誰にも言わないから安心して。亜美菜ちゃんが書いたなんて誰も思うわけないし。だからね、ちょっと思い出してくれる?もしかしてノートを誰かに見られたかもしれないって思う瞬間とかなかった?」

佐藤亜「ううん…誰にも見られないようにノートはいつも鞄の奥に入れてたし、みんなの前でノートを開いたこともなかったし…」

篠田「そうか…」

峯岸「あ、ねぇ今そのノートは?」

佐藤亜「事故のことに気付いてから、怖くてすぐ処分しちゃった」

篠田「さしこが写真に撮った、もう1冊の書き写されたほうのノートは今誰が持ってるか心当たりない?」

佐藤亜「…わかりません」

峯岸「…ハァ…結局手がかりはなしかぁ…」


593 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:33:19.27 ID:sGsMhwGV0
その時、高橋宅マンションでは――。

宮澤「気になるのは、たかみなの鞄からノートを盗み出した人物だね…」

高城「あ、その人が楽屋の見えるところにわざとノートを置いたんですよね?きっと」

大島「……あいつだ」

高橋「え?知ってるの?」

大島「あたしと指原はあっちの世界に飛んだ時、楽屋でこっそりメンバーの持ち物に悪戯してる奴を見たんだ。たぶんそいつがたかみなの鞄からノートを盗んだんだと思う」


594 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:38:55.08 ID:sGsMhwGV0
仁藤「その人物はノートを読んで面白がり、わざと楽屋に置いておいたと…」

大島「うん、たぶんそういうことなんだと思う」

宮澤「誰なの?それは」

指原「それが後ろ姿しか見えなくて…」

高橋「ハァ…」

指原「すみません…」


595 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:39:48.62 ID:sGsMhwGV0
大島「でもこれで少しは真実が見えてきた。亜美菜ちゃんが書いたのが本物のノート。そして楽屋でみんなが回し読みしていて、指原が写真に撮って保存していのが、たかみなが書き写したほうのノート。つまりノートは2冊存在していたんだ」

大島「そして本物のほうは処分されていなければまだ亜美菜ちゃんの手元にある。で、問題はたかみなが書き写したほうのノートだよね。誰が持ち帰ったのか、みんな覚えてないんだっけ…」

北原「もしかしたらわざとノートを楽屋に置いた人物と、ノートを持ち帰った人物、同じ人かもしれませんね」

仁藤「みんなを煽るために一旦は盗んだノートをわざと楽屋に置き、その後にまたちゃっかり回収して自分の手元に置いた…。考えるとかなり悪趣味な奴だね」

高橋「…あのさ、そのことなんだけど…」

大島「え?」


596 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:40:27.46 ID:sGsMhwGV0
高橋「ノートは2冊だけじゃないんだ…。実は3冊目もあるんだよ」

小森「ん?どういうことですか?」

宮澤「5年前、香菜が持って来て、預けてくれたんだ。香菜はみんながノートを回し読みしていた次の日、楽屋でもう1冊のノートを発見し、ずっと保管していた」

高橋「そして小林が持っていたノートには、亜美菜ちゃんが書いた内容とは別のことが書かれていたんだ…」

大島「それって…まさか…」

高橋「うん、そこには亜美菜ちゃんが書いたものとは違う、予言のようなものが記されていた。このノートがそれなんだけど…読んでみて」

大島「えーっと、何何…」


597 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:41:14.19 ID:sGsMhwGV0
『人はみんな、花壇に咲いたお花をきれいだねって言う。可愛がってお水をあげて、大切する。
だけどその人達の足元にも、ちゃんとお花は咲いているんだよ。
花壇の中と外。外に咲いたお花は気づかれず、みんなに踏みつけられてぐちゃぐちゃになる。
忘れられるのが悪いのかな?忘れるほうが悪いのかな?
ぐちゃぐちゃぐちゃ…それなら花壇にお花を毟っちゃおう。こんなのが咲いているから、人は足元のお花に気付かないんだよ。
花壇のお花がなくなれば、足元のお花は可愛がってもらえるよね?』


599 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:41:59.21 ID:sGsMhwGV0
大島「え…何これ?」

高橋「この5年間、あたしも佐江も意味を考え続けているんだけどさっぱり意味がわからないんだよね」

大島「うん…どういうことなんだろう」

北原「あたしは…わかります」

指原「うん、指原も…」

仁藤「ここに書かれてるお花って、メンバーのことじゃないですか?花壇のお花っていうのが選抜組で、足元のお花はアンダー」

高橋「……」


600 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:43:04.75 ID:sGsMhwGV0
宮澤「そんな…」

大島「だとしたら選抜に入っていたメンバーは全員殺されるってことか」

小森「へぇ、怖いですね」

高橋「と、とにかく!今は引き続き『あっちゃん』の正体を調べよう」

大島「うん…『あっちゃん』…。それにしても本当のあっちゃんはどこで何をしているんだろう…。楽屋風景を見たら、また急にあっちゃんに会いたくなっちゃったよ…」

指原「前田さん…」


602 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:44:15.63 ID:sGsMhwGV0
京都府、山中――。

少女「えーん、えーん…」

ガサガサガサッ…

少女「ヒッ!!」ビクッ

???「どうしたのこんなところで…1人?」

少女「ひっ…ひっく…お散歩してたら、パパとママとはぐれちゃったの…えーん」


603 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:44:58.10 ID:sGsMhwGV0
???「泣かないで大丈夫だよ。お姉さんが一緒に探してあげるから」

少女「ほんと?」

???「うん。ここへは旅行で来たの?」

少女「うん、そう…お姉さんは?」

???「お姉さんはね、悪い鬼から隠れてるの」


604 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:45:26.65 ID:sGsMhwGV0
少女「鬼?鬼が出るの?この山…」

???「アハハごめんね怖がらせちゃったかな。大丈夫だよ。あ、そうだ元気が出るようにお歌歌ってあげようか?」

少女「うん!歌って!」

???「~~♪」

少女「わぁ~お姉さんお歌上手だね」

???「ふふっ…ありがとう」


605 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 08:46:05.94 ID:sGsMhwGV0
少女「あ、パパ!ママ!」

???「見つかった?良かったね」

少女「うん、ありがとー」テテテテ…ピタッ

???「どうしたの?」

少女「(クルッ)お姉さんがさっき歌ってくれたの、なんていうお歌なの?」

???「うん、あのお歌の名前はね、Flowerだよ…」


611 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:03:31.60 ID:sGsMhwGV0
数日後、北海道、○□牧場――。

仁藤「ここが手紙に書かれていた牧場…ずいぶん寂れた感じがするけど」

野中「本当に2人はこんな所にいるのかな?」

仁藤「うん…この手紙見て。おかしくない?」

野中「別に普通の手紙だけど…」

仁藤「え?違うよー。文章を縦に読んでみて?」

野中「縦に?た・す・け・て…ここからだして…?どういうことなの?」


612 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:04:03.69 ID:sGsMhwGV0
仁藤「10年ぶりに届いた手紙にしては内容が薄すぎる。おかしいと思ったんだよね。それで思い出したんだ。よくれいにゃんと暗号みたいな感じで縦読みメールを送り合ってたなぁって。まさかとは思ったけど、こんなメッセージが隠されていたなんて…」

野中「ちかりなも一緒にこの牧場にいるんだよね?」

仁藤「うん、たぶん」

野中「メッセージを読んだら、急にこの牧場が不気味に見えてきたよ…」

仁藤「ごめんね付き合わせちゃって」

野中「ううん。たかみなさん達のことも飛行機の中でじっくり聞けたし、あたし来て良かった。きっとれいにゃんとちかりなもナカマに関係することで助けを求めて来たんだよね」

仁藤「うん、そうとしか考えられない…あ、あっちが入り口だ。入ろう」


613 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:04:34.83 ID:sGsMhwGV0
野中「普通の、牧場だね…」

仁藤「だけどなんだろうこの暗い雰囲気は…。心なしか動物達の目が沈んでいるような…」

野中「牛も馬も生き生きしてないね」

タタタタタタ……

藤江「萌乃ちゃーん!みちゃー!」

近野「本当に来てくれたんですか」

仁藤「あ、なんだ2人とも元気じゃん。ていうかなんで白衣なんか着てるの?ここ牧場でしょ?」

藤江「理由はあとで話すから、見て欲しいものがあるの」


615 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:05:04.71 ID:sGsMhwGV0
地下施設――。

藤江「表向きは普通の牧場…だけど飼育されている動物はみんな実験用だよ」

野中「地下にこんな施設があったなんて…」

近野「あたし達も就職した時は普通の牧場だと思ってた。だけどこの施設の本当の目的はある物の開発だったんです。あたし達は10年間、詳しいことは教えてもらえず、ひたすらある物の研究だけをさせられてきました」

仁藤「ある物って?」

藤江「細菌兵器だよ」

野中「えぇ?嘘でしょ?2人が?」


616 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:05:50.87 ID:sGsMhwGV0
藤江「あたし達もそのことを知ったのは最近なの。偶然、机に置かれた資料を見てしまって…始めは信じられなかった。それから怖くなって…だってあたし達が開発したこの細菌で、日本中の命を奪うことだって出来るんだから…」

仁藤「でも2人は何も知らなかったんでしょ?」

近野「知らなかったとはいえ、人を殺すことになる細菌を開発してしまった。あたし達は、なんて恐ろしいものをこの手で…」

野中「でもこの細菌、ここに置いておけば安全なんだよね?だってあたし達ここにいてもなんともないし。ここから出さなければ被害はないってことでしょ?」

藤江「違うの。資料によるとこの細菌の開発を依頼したのは…ナカマ。『あっちゃん』がこの細菌を使って何かをしようとしているんだよ」

仁藤「そんな…!!じゃあ早く止めないと」


617 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:06:30.88 ID:sGsMhwGV0
近野「細菌はこれで全部じゃないんです。開発に成功した直後、一部を依頼者に渡してしまいました」

野中「そんなぁ…」

藤江「だけど危険に気付いたあたし達は直ちにワクチンの開発に着手した。もちろん依頼者にはばれないように。そのワクチンがこれ。まだ試してないけど、何もないよりはマシだと思って。ナカマの本拠地は東京でしょ?それで萌乃ちゃん達にお願いがあるの…」

近野「お願いします。あたし達を東京を連れて行ってください!」


618 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:07:07.96 ID:sGsMhwGV0
仁藤「東京に…でもこの牧場、簡単に脱出できそうだけど…?」

藤江「あたし達は施設内での行動を制限されていて…。郵便物もチェックされてる。でも面会者があれば会うことは可能なの。さっきだって施設から出て牧場まで2人を迎えに行けたでしょ?」

野中「あ、そういえば…」

藤江「面会者と同伴であれば牧場の外まで出られる。そうしたら監視の目がなくなるから、東京まで逃げられる。ただしあたし達を連れ出すとなれば、2人にはかなりの量の契約書にサインして貰わなきゃいけなくなるんだけど…」


619 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:08:03.66 ID:sGsMhwGV0
仁藤「それでいいの?だったらすぐにサインしちゃおうよ」

近野「ありがとうございます。それがこの契約書です」ドンッ!

野中「嘘…でしょ…」

仁藤「えー?これってどのくらいでサインし終わるのかなぁ…」

藤江「うーん…5、6時間くらい?」


620 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:08:39.27 ID:sGsMhwGV0
一方その頃、東京――。

高橋「遅刻かな?ごめんごめん」タタタ…

柏木「いえ、あたしが早く来すぎただけですから。今日は突然お呼び立てして申し訳ありません」

高橋「いいよいいよー。で、どうしたの?」

柏木「…あれから、あっちゃんの居場所はわかりましたか?」

高橋「いや…。あたしも探しているんだけどさっぱり…。どこに隠れているのか…」

柏木「では、『あっちゃん』の正体については…?」

高橋「それはやっぱりノートを持ち帰った人物で間違いなさそうだね」


621 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:09:14.09 ID:sGsMhwGV0
柏木「たかみなさん、あたしあれからずっと考えていたんです。こちらがいくら頑張って正体を探ろうとしても、一向に『あっちゃん』には近づけない…。だったら発想を変えて、向こうからあたし達の前に出て来てもらうことにしませんか?」

高橋「そりゃ向こうから出てきてくれたら話は早いよ。だけどどうやって?5年間ナカマに潜入していたまゆゆでさえ『あっちゃん』の正体を掴むことは出来なかったというのに…」

柏木「こちらで『あっちゃん』が出て来ざるをえない状況を作るというのはどうでしょう?」

高橋「え?」

柏木「やるんですよ、コンサート!復活させてみませんか?AKBを」

高橋「えぇぇ?!」


622 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:10:00.65 ID:sGsMhwGV0
柏木「メンバーが一斉に集まれば『あっちゃん』も何かしらのアクションを起こすはず。そこを突いて、正体を暴くんですよ。AKBのコンサートに『あっちゃん』をおびき寄せるんです」

高橋「そうか!どうして今まで気付かなかったんだろう。でも…今さらコンサートなんて出来るのかな。あたし達に…」

柏木「メンバーが協力すれば出来ますよ!それにコンサートを開くにはもう1つ理由があるんです…」

高橋「理由?」


624 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:12:59.90 ID:sGsMhwGV0
柏木「コンサート会場には、きっと本物のあっちゃんも駆けつけてくれるって、あたし信じたいんです!」

高橋「柏木…」

柏木「どうですか、たかみなさん!」

高橋「……よしっ、やろう!コンサート!」

柏木「はい!」


626 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:13:34.33 ID:sGsMhwGV0
翌日、××刑務所――。

秋元「もう少しだ…頑張れ菊地」

菊地「ふぅ…ふぅ…本当にこの穴、外へと続いてるの?」

秋元「大丈夫だ!ほら、光が見えて来た!あと少し……ぷはぁぁぁ…」

菊地「ゲホゲホゲホ……出れた…出れたーやったー!」

秋元「しっ!静かに…」

ブロロロロロ…キィィィ…バンッ!!

菊地「え?車…?なんで…」


627 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:14:10.74 ID:sGsMhwGV0
松井珠「才加ちゃん!約束通り迎えに来たよ!」タタッ

松井玲「あの、これタオル使ってください…」

秋元「ありがとう2人とも。なんか菊地もいたから一緒に連れて来たよ」

松井珠「大丈夫です。着替えは多めに持って来ましたから。さ、早く車の中へ」

菊地「迎えって…珠理奈ちゃん達だったの?」

松井玲「ずっと才加ちゃんの面会に来て、こっそり脱獄の計画を進めていたんです」

秋元「いいから菊地、急ぐぞ!」

菊地「は~い」


629 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:14:42.84 ID:sGsMhwGV0
ブロロロロロロ……

秋元「ひぇ~街中あっちゃんの手配写真だらけだな。どうなってんだ日本は…」

松井珠「今の日本は無断であっちゃんの手配ポスターを剥がしただけで警察に捕まるんだよ」

菊地「ね、ね、2人はいつから東京に?」

松井玲「ダンス教室の東京校を作る話が出てから、本格的に東京でやってくことにしたんです」

菊地「へぇー。ところでこの車、どこに向かってるの?」


631 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:15:19.37 ID:sGsMhwGV0
松井珠「とりあえずあたし達のマンションに…。そういえば2人にいいお知らせがあるんだよ。ね?玲奈ちゃん?」

松井玲「お2人とも間に合って良かったですね」

秋元「何?2人してニヤニヤして…」

松井珠「昨日たかみなさんから連絡あったんです。やることになりました、AKB復活コンサート」

秋元「えぇ?」

松井玲「お2人も一緒にステージ立てますね!」ニコッ


632 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:16:07.59 ID:sGsMhwGV0
一方その頃、京都では――。

横山「ただいま戻りましたー」

前田「あ、おかえり~」

横山「これ、一週間分の食料と八橋です」

前田「ありがとう由依ちゃん、いつも悪いね」

横山「いえいえ、構わないですよ。ところで前田さん、また無断で外に出ましたね?」

前田「え?出てないよ~」


633 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:16:51.77 ID:sGsMhwGV0
横山「またそんな嘘ゆうて…うちの目は誤魔化されませんよ。靴が泥で汚れてはります」

前田「え…アハハ早朝だし、こんな山の中じゃ誰にも会わないかなーっと思ってちょっと散歩に…」

横山「誰かに見られたらどうしはるつもりなんですか?前田さんは今、指名手配犯なんですよ」

前田「ごめん、気をつけるよ…」

横山「それで、誰にも見られへんかったでしょうね?」

前田「いや…迷子になってる女の子がいたからつい話しかけちゃって…」

横山「えぇ?!」


635 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:17:23.01 ID:sGsMhwGV0
前田「あ、でも大丈夫だよ。小さい子だったし、何も気付いてなかったから」

横山「……ほんまに気をつけてくださいよ?」

前田「ごめん…」

横山「そうだ、さっき久しぶりにまりやぎから連絡が入ったんです…悪い知らせでした」

前田「何なの?」

横山「ともちんさんととも~みさんが…ナカマに洗脳されて…」

前田「えぇ?!嘘でしょ…」


636 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:18:17.12 ID:sGsMhwGV0
横山「詳しいことはまりやぎも知らんみたいなんですが、お2人は前田さんの事件が起きてから、精神的に不安定になっていたそうです…。だからナカマなんかの所へ…」

前田「今…2人はどこに?!」

横山「修行という名目でナカマの施設に監禁されているらしく…」

前田「そんな…!」

横山「どうしはります?前田さん…」

前田「……あたし、2人を助けたい!!」


638 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:24:23.02 ID:sGsMhwGV0
横山「だけど外に出たら前田さんは…」

前田「でもね、あたしずっと考えてはいたの。いつまでもこんな所に隠れているわけにいかないでしょ?だからあたし、2人を助けるために東京へ行く!それで捕まったとしても、『あっちゃん』について知るきっかけになるかもしれないし」

横山「前田さん…。そんならうちもお供します!」

前田「でも、あたしと一緒に東京へ行ったら由依ちゃんにもどんな危険が襲いかかるか…」

横山「うちなら平気です。京都の女はこう見えて肝が据わっとるんです。それにうちも、この目で真実を見たい」

前田「由依ちゃん…ありがとう」

横山「そうと決まれば早速車を出しましょ。時間はかかるけど、なるべく人目に触れずに移動したほうがいいでしょう」

前田「うん。行こう、みんなのいる東京へ」


645 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:58:44.12 ID:sGsMhwGV0
一方その頃、東京では――。

篠田「会場押さえられたよ~。野外ステージだけど。うちの会社のHPにも告知しておいた。まぁ何人の人が見て、実際に来てくれるかは未知数だけど、何もしないよりはましでしょ」

高橋「ありがと麻里子。見て、こっちはポスター」

篠田「すご~い。メンバー全員の似顔絵が入ってる。これ書いたの、まゆゆ?」

渡辺「うん」

高橋「…亡くなったメンバーもちゃんと…」

渡辺「書いたよ。みんなは今でもAKBのメンバーだもん」


647 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 09:59:48.45 ID:sGsMhwGV0
篠田「うん、いいと思う。後で細かいデザインはあたしが直すから。それからこれ、見て!昨日徹夜で書いてみたんだけど、当日着る衣装のデザイン案…どれがいいかな?」

高橋「すごーい!さすがだよ麻里子ー!」

宮澤「あ、萌乃から連絡来た!れいにゃんとちかりなを連れて来たって!」

峯岸「え、2人って行方不明だったんじゃ…」

宮澤「北海道から連れ帰ったらしい。まぁ詳しいことはどうでもいいじゃん。良かったぁ~これで2人もコンサートに出られる!」

小森「あのぉ、ステージの飾り作ってみたんですけど、駄目ですか?」

大島「ちょっと見せて?あー、可愛い!」


648 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:00:52.48 ID:sGsMhwGV0
小森「いつも幼稚園でやってるんで、わたしこういうの得意になったんですー」

柏木「あたしも手伝うよ。作り方教えて?こもりん」

小森「はいー」

田名部「たかみなさん、今いいですか?当日の機材ですけど、劇団から借りるのこれとこれでどうでしょう?」

高橋「あ、借りられることになったんだ?いいよいいよ、ありがとう」

鈴木ま「あ、たかみなさん当日のケータリングなんですけど、メニューはこんな感じで…」

高橋「ほんとに鈴木が用意してくれるの?人数多いから大変でしょ?」

鈴木ま「大丈夫ですよ。あたしこれでも料理研究家なんで」

高橋「そっか、ありがとう」

ガヤガヤガヤ…


649 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:02:41.35 ID:sGsMhwGV0
梅田「なーんか、ほんと手作りのコンサートだね。昔とは大違い。ま、楽しいけど」

大島「そうだね。後は何人のメンバーが出演してくれるか…」

峯岸「大丈夫だよ!連絡取れるメンバーにはみんな知らせておいたから。復活コンサートだよ?!絶対都合つけてみんな集まってくれるよ!心配なのは…ともちんととも~み…」

大島「急に連絡が取れなくなったって、ほんと?」

峯岸「うん。忙しいだけかもしれないけど…。あと陽菜も忙しくて…」

大島「えー?にゃんにゃんいないんじゃつまんないよー」

峯岸「うん…なんとかして連絡繋いでみるよ…」


651 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:12:10.69 ID:sGsMhwGV0
一方その頃、小嶋は――。

小嶋「次の収録まで暇だな~。あ、麻里子のツイッターでも見てみよう」

小嶋(何これ?復活コンサート?あたし全然聞いてないよ~。そういえばみぃちゃんからしつこく電話かかってきてたの、これのことだったんじゃ…。そっかぁ、面倒臭いから電話無視しちゃってた)

小嶋「コンサートいつやるんだろう…あぁ駄目だぁ。この日あたしロケであそこに取材行くんだった…」

小嶋(あーぁ、お仕事休めないかなぁ。。)


652 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:12:40.22 ID:sGsMhwGV0
コンサート当日――。

高橋「ひぇ~やっぱ久しぶりにステージ立つとでかいなぁ~」

峯岸「たかみな、今のうち軽くリハーサルしちゃおう」

指原「駄目だ指原完全に振り付け忘れてる…」

仁藤「しょうがないなぁ~教えるから早く覚えちゃいなよ」

柏木「本当に、お客さん来てくれるのかなぁ…」

渡辺「できることはやったよ。あちこちで告知はしたし」

宮崎「そうだよー。ファンの人を信じようよー」

篠田「みんなー、衣装持って来たから着てみてくれる?サイズ合わなかったら直すから、あたしに言いに来てね」

仲川「わーい、着る着るー」バタバタ


653 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:13:49.10 ID:sGsMhwGV0
ガヤガヤ…

大島「……」

梅田「優子?どうしたの?」

宮澤「元気ないなぁ…優子らしくない」

大島「え?ううん…あのね、あっちゃん、来てくれないかなぁ~と思って」

宮澤「……」

梅田「大丈夫だよ。きっとあっちゃんは来てくれる。ね?信じて待とう?」

大島「う、うん…」

梅田「あ、あれ…?」

宮澤「どうしたの?」


654 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:14:27.35 ID:sGsMhwGV0
梅田「……(ニコッ)おいでよ?みんな待ってたよ?」

大島「誰?」

梅田「ほら、そんなとこに隠れてないでさー」グイッ

佐藤亜「あ…あの…」オドオド…

大島「亜美菜ちゃん!!」


655 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:14:51.90 ID:sGsMhwGV0
佐藤亜「あ…あのね、亜美菜もコンサート…出ていいかなぁ…?」

宮澤「も、もちろんだよ!ね、優子?」

大島「うん!待ってたよ、亜美菜ちゃん」

佐藤亜「…嘘…え…うっ、うっ、うわぁぁぁぁぁん…」

梅田「やだ泣くことないじゃん」

大島「あ、たかみなも泣いてる」

高橋「亜美菜ちゃん来てくれたの?ごめん、ありがとうごめん…あたしずっと亜美菜ちゃんに謝りたくて…ごめん…」

佐藤亜「そんな…たかみなさんのせいじゃないです」


656 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:15:20.80 ID:sGsMhwGV0
高橋「ずっと言いたかったんだ、10年前から…。亜美菜ちゃんにはもっと自分に自信を持って欲しかった。もっとメンバーを信じて欲しかった。あのね、AKBには亜美菜ちゃんの代わりをできる人なんていないんだよ。AKBには亜美菜ちゃんが必要なんだよ」

佐藤亜「うっ…うっ…」

大島「さぁさぁ、暗い雰囲気はここまでだよ。亜美菜ちゃんも早く衣装に着替えて。リハーサル、やるんだろ?」

タタタタタ…

警官A「何やってるんだ、おまえ達!」

柏木「え?なんで警察?」


657 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:15:48.81 ID:sGsMhwGV0
警官B「ここで何するつもりだ?」

篠田「あの、ちゃんと許可取ってるんですけど?」

峯岸「そうだよー。麻里子ちゃんとここ予約したよね?」

警官A「近隣住民から苦情が出たんだ。音響設備を使う場合は事前に申請をしてもらわないと…」

高橋「そ、そんなぁぁ…ここまで準備したのに…」

警官B「直ちに公演を中止してください。でないと全員、逮捕します!」


660 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:19:59.19 ID:sGsMhwGV0
一方その頃、前田と横山は――。

前田「ここが…ナカマの本部…」

横山「この中にともちんさんととも~みさんが監禁されているはずです」

前田「うん。そして『あっちゃん』も恐らくこの中に…」

横山「行きましょ、前田さん」

前田「でも、どうやって中に入るの?」

横山「うちが入り口で監視の目を引き付けますから、その隙に中へ入ってください。パンフレットによると修行部屋は2階です。そこへ行けばきっとお2人が見つかりますよ」

前田「わかった、ありがとう由依ちゃん」


661 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:20:26.06 ID:sGsMhwGV0
入り口――。

横山「あのぉ…ここがナカマさんの事務所だと聞いて来たんですけど…」

受付「はい、そうですが…」

横山「うち、『あっちゃん』のファンで、ここへ来れば『あっちゃん』に会えると思ってはるばる京都から上京してきたんです」

受付「そうでしたか。ではこちらにお名前をご記入ください」

横山「書いたら『あっちゃん』に会えるんですか?」

受付「すぐには無理ですが、まず勉強会に参加していただいて、それからいくらかのお布施を…そうしましたら修行部屋に入れますので、最低でも2年は修行を積んでいただきまして…」

横山「そんなぁ、うち今すぐ『あっちゃん』に会いたいんです。どうにかなりませんか?」

受付「そう言われましても…決まりとなっておりますので…」


662 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:20:56.42 ID:sGsMhwGV0
横山「嫌やわぁ…ほんならうち、ここで死にます!『あっちゃん』に会えないのなら生きてる意味なんてないです」バッ!!

受付「あ、やめてください!ここでそんな…」

横山「止めても無駄です。今すぐここで…」

受付「あ、そんな…誰か早く警備員を呼んで!取り押さえて!」

ワーワー…バタバタ…

前田(由依ちゃん…ありがとう。この隙に急いで2階まで駆け上がろう…)コソッ


665 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:33:53.56 ID:sGsMhwGV0
その時、小嶋は――。

小嶋「皆さんこんにちは~。えー、わたしは今ナカマの本部に来ています。ここではある画期的な設備を導入しているということで、今日はお話を伺いに参りました~。では、早速中でお話を聞いてみましょう…」

ディレクター「はいカット~。じゃあ次は中に入る所から撮影して行きます」

小嶋「は~い」

ワーワー、ドタドタ…

ディレクター「ん?なんか騒がしいなぁ…」

AD「なんか熱狂的なファンが受付で暴れてるらしいですよ」

ディレクター「仕方ない、騒ぎが治まるまで一旦休憩にしよう」

小嶋(あ、あれ?あそこで暴れてるのってゆいはんじゃない…それに今入っていったのはあっちゃん…なんで?)タタタッ

マネージャー「あ、小嶋さんどこ行くんですか?」

小嶋「ちょっとお手洗いー」タタタ…

マネージャー「あぁ、勝手に中入ってっちゃったよ…まぁいいか、どうせこの後取材で入るんだし」


666 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:34:19.36 ID:sGsMhwGV0
その時、コンサート会場では――。

高橋「そんな…みんなで頑張ってここまで準備したのに…」

大島「そうだよ、ふざけんじゃねぇ!おまらただの嫌がらせだろ!」

警官A「とにかく許可を取ってもらわないと、ここで公演をすることはできません。ただちに退去してください」

柏木「…どうしたらいいの。ここまで来て、公演を中止するしかないの…?」

佐藤夏「待ちなさい!」

警官A「あぁ?なんだおまえは…」

警官B「馬鹿っ、本庁の佐藤刑事だよ」


667 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:35:00.56 ID:sGsMhwGV0
警官A「え?あ、でもなんで刑事がここに…」

佐藤夏「2人とも下がってください」

警官A「あ…でも…」

佐藤夏「許可なら私が取りました。近隣住民も納得済みです」

警官B「そんな…どうして…」

佐藤夏「これで何も問題はなくなったはずです。どうかお2人はお帰りください」

警官「わかりました…」スゴスゴ


668 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:35:30.84 ID:sGsMhwGV0
大島「なっち!助かったよありがとう」

佐藤夏「いえ、これでせめてもの償いになればと思って…」

高城「つぐない?」

佐藤夏「5年前の夏希はナカマに洗脳されていました。そしてあっちゃんを逮捕してしまったんです。今ならわかる。あっちゃんが犯人だなんて有り得ないのに…本当にごめんなさい…」

高橋「…そんな…いいよ。それよりなっちもコンサート出てくれるんでしょ?」

佐藤夏「コンサート…あたしも出ていいの?」

宮澤「当たり前じゃーん。でさ、なっちの後ろに隠れてるのは誰?」


669 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:36:01.87 ID:sGsMhwGV0
大家「(ヒョコッ)…あ、久しぶり…」

指原「しいちゃん!」

大家「うちもみんなに謝らなければならんことあって…5年前あっちゃんを警察に突き出したのはうちやったけん…ほんとごめんな…」

大島「しいちゃん…」

大家「うち、もう目が覚めたけん。悪いのはあっちゃんじゃなくてナカマやけん…ううっ…」

篠田「大家は純粋だから騙されやすいんだよ。ね、みんな?大家は今でもAKBのメンバーだよね?」

北原「はい!ねぇしいちゃん、一緒にステージ立とう?」

大家「篠田さん…みんな…ありがとう…」


674 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:40:10.01 ID:sGsMhwGV0
宮澤「ほらほら、泣いてないで早くこっち来なよ!」

仲川「そうだよ…これからリハーサルだよー」ピョンピョンッ

佐藤夏「ありがとう…」

タタタタタ…

大島「ん?また誰か来た」


675 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:40:47.94 ID:sGsMhwGV0
秋元「やあやあ待たせたね~ちょっと脱獄に5年程かかっちゃって…」

高橋「才加!菊地も!」

菊地「すみません心配かけて。あたしも刑務所から戻りました」

小森「え?あやりん捕まってたの?ププッ…」

松井珠「コンサート、間に合って良かったですね」

篠田「珠理奈!良かった来てくれたんだ」

松井珠「うん、たかみなさんから連絡貰ってたから。玲奈ちゃんも一緒だよ」


676 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 10:41:20.97 ID:sGsMhwGV0
指原「おぉぉー玲奈ちゃん久しぶりー!」

松井玲「アハハさっしー元気そうだねっ」

指原「元気だよぉぉ玲奈ちゃん相変わらず細い!白い!もやしみたい!」

松井玲「もぉそんなこと言わないでよー」

ガヤガヤガヤ…

秋元「さてと、盛り上がっているところ悪いけど、ここではっきりさせておきたいことがあるんだ」

高橋「どうしたの?」

秋元「『あっちゃん』の正体…みんな知りたいでしょ?」


688 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 11:00:10.67 ID:sGsMhwGV0
大島「そりゃ知りたいよ。だってその『あっちゃん』をおびき寄せるためのコンサートなんだから」

秋元「いや、『あっちゃん』はもうここに来てると思うよ」

宮崎「え?どこ?」キョロキョロ

秋元「最初から『あっちゃん』はあたし達の目の前にいたんだよ。堂々と」

篠田「まさかこの中に『あっちゃん』がいるっていうの?」

秋元「そう。あたしはこの5年間ずっと考えてきた。『あっちゃん』は誰なのか…そして結論に達した。『あっちゃん』の正体、それは…あんただよ!」

高橋「え?嘘でしょ?」


689 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 11:01:27.31 ID:sGsMhwGV0
2階、修行部屋――。

前田「ともちん!とも~み!居るの?」ガチャッ、バンッ!!

板野「あっちゃん!どうしてここに…?」

河西「助けてあっちゃん、あたしもうこんな所出たいよぉ…」

前田「何があったの?」

河西「毎日出る食事は黴の生えたカチカチのパンや茶色くなったバナナばかり…修行というよりここは拷問部屋だよ…」

前田「ひどい…」


690 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 11:01:55.37 ID:sGsMhwGV0
板野「あっちゃんこそ、どうしてここへ?」

前田「理由は後で。急ごう、ここから逃げるの!」

河西「でも、あたし達足枷をされてて…この部屋から出ることを許してもらえないの…」

前田「足枷?あ、ほんとだ!待ってて、すぐ外してあげるから」

板野「無理だよ…。鍵は幹部の人達が持ってる。外れないよ」

前田「そんな…!!一体どうすれば…」キョロキョロ

おりゃっ!おりゃっ!あーつくなーれ!あーつくなーれ!……

板野「?」

前田「この声…まさか…」


692 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 11:02:33.89 ID:sGsMhwGV0
ジリリリリリリ…

河西「何?火事?」

バタバタバタ…

板野「あ、幹部の人達が事務所から出て…逃げてく…!!あたし達は置き去り?焼け死ねってこと?」

前田「あの人達が今出てきたところが事務所なの?もしかして足枷の鍵はそこにあるのかな?」

河西「きっとそうだよ。あっちゃんお願い、取って来て?」

前田「うん…(タタタ…ドンッ)痛たた…あれ?やっぱりにゃんにゃんだぁ~」

小嶋「ぶつかっちゃった?ごめんねー」

前田「どうしてここに?」


693 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 11:03:25.90 ID:sGsMhwGV0
小嶋「外でロケしてたらあっちゃんがここに入って行くの見えたから。追いかけてきちゃった」

前田「もしかしてこの火事もにゃんにゃんが?」

小嶋「うん、ごめーん。なんとなくピンチかなって思って。ところで消火器どこ?」

前田「消火器…あ、あそこだよ!にゃんにゃんありがとう。でもちゃんと火消しといて?まだ中に人がいるんだし、あたしもやることが残ってるから」

小嶋「わかったぁー」テクテク


694 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 11:03:56.35 ID:sGsMhwGV0
前田「鍵は…えーっと、これかな?」キョロキョロ

河西「あっちゃん、早く早く!」

前田「う、うん」タタタ…カチッ

小嶋「おりゃっ!おりゃっ!冷たくなーれ!冷たくなーれ!」プシューーーー

板野「外れた…ありがとう、これで逃げられるよ」

河西「火も消えたみたいだね」

小嶋「あ、もうみんな行くの?待ってー」


695 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 11:04:34.23 ID:sGsMhwGV0
タタタタ…

板野「あ、あれ?あっちゃん?」クルッ

河西「どうしたの?早く逃げようよぉ」

前田「ごめん、3人は先行って?あたしはまだここから出るわけにはいかない。やることが残ってるから…」

小嶋「?」

前田「ここにいるんだよね、『あっちゃん』。あたし、会いに行ってくる」


696 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 11:05:09.87 ID:sGsMhwGV0
板野「あんなの放っておけばいいじゃん」

河西「そうだよ。危ないよ?」

前田「ううん、あたしは会わなきゃいけないの。会って、決着をつけなきゃ…」

板野「あっちゃん…」

前田「教えて、『あっちゃん』はどこにいるの?」


697 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 11:05:48.71 ID:sGsMhwGV0
河西「本当に行くつもり?やめたほうがいいよ」

前田「……」コクリ

板野「……わかった。『あっちゃん』の部屋は最上階だよ」

河西「ともちん…」

板野「信じてるから、あっちゃん。だから…無事に帰って来て?約束だよ!」

前田「うん、ありがとう。じゃあ行くね」タタタタタ…

横山「前田さんは、何かを見つけようとこの5年必死に考えてきはりました。そして今ようやくそれを見つけたのかもしれない…。うち達はおとなしく見守りましょ…」

板野「え、ゆいはんいつの間に…」


711 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 11:58:50.68 ID:sGsMhwGV0
その時、コンサート会場では――。

高橋「嘘だよね?何かの間違いだよ…」

秋元「いや、5年間何度もあの事件の状況を振り返った結果導き出した結論だ。そうしたらもう、犯人はこいつしか有り得ないんだよ。『あっちゃん』を名乗ってメンバーを殺害した犯人…それは指原!おまえだ!」

指原「え?ちょっと待ってくださいよぉぉぉ何で指原が犯人なんですか?」アセアセ

渡辺「そうだよ。さっしーは仲直りの会で危ない目にも遭ってるんだよ?犯人なわけないよ」

大島「あたしも仲直りの会で一緒にいたけど、指原別に怪しいことなんかしてなかったよ」


712 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:00:10.79 ID:sGsMhwGV0
秋元「そういう問題じゃないんだよ。5年前、陽菜の番組の生放送中に起こった毒ガス事件…。あれで5人のメンバーが亡くなった。ノートに書かれていたようにね」

秋元「じゃああのノートの通りになるような状況を作ったのは誰か?そもそもあの状況がなければノートの内容は実行できなかったはずだ。メンバーが集まりさえしなければ…」

石田「あ、メンバーが集まる同窓会の番組を企画したのはさっしーだ!」

指原「そんなぁ指原別にそういうつもりで番組を企画したんじゃないのに」

仲川「ただの偶然じゃないの?」

秋元「いや、偶然にしてはタイミングが良すぎるだろ」


722 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:18:38.86 ID:sGsMhwGV0
指原「違っ、あれは元々、指原の企画じゃないんですぅぅ。アドバイスに従っただけで…」

篠田「アドバイスって?」

指原「5年前、指原は番組の企画に悩んでて、スランプだったんですよ。だから相談したら、同窓会の企画をやってみたらって勧められて…」

高橋「誰に相談したの?誰が同窓会の企画を考えたの?教えてよ!」

指原「…はい…。その人は…」


725 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:19:49.52 ID:sGsMhwGV0
最上階――。

前田「いるんでしょ?出てきて話をしようよ、もう1人の『あっちゃん』!」

シーーーン…

前田「お願い出てきてー!」

……キィィィ…

前田「?」

あっちゃん「おかえり、あっちゃん…ずっと待ってたんだよ、この時を…」


726 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:20:32.93 ID:sGsMhwGV0
前田「ヒィッ…!!あたしのマスク!!」

あっちゃん「わたしはあなた。あなたはわたし…」

前田「違う。あたしは1人しかいないよ!あなたは一体…誰なの?何の為にこんなことしてるの?」

あっちゃん「みんなナカマなんだよ…だから1人だけナカマハズレは駄目なんだよ」

前田「仲間外れ?どういうこと?」


728 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:21:10.74 ID:sGsMhwGV0
あっちゃん「みんながいるからナカマハズレが出来るんだ。みんながいなくなれば、ナカマハズレにはならない。最後に残るのはあたしとあなただけ。あたしとあなたで完璧なあっちゃんになれる…」

前田「あなたやっぱり…AKBのメンバーなんでしょ?誰なの?ちゃんと素顔を見せて話をしようよ。何か言いたいことがあるんでしょ?」

あっちゃん「このマスクを取ったら、あたしとナカマになってくれる?」

前田「何言ってるの?AKBは始めからみんな仲間だよ。誰が欠けても困る、1人1人が大切なメンバーなんだよ。だからねぇ、顔を見せて」

あっちゃん「……わかった…」ゴソゴソ…

前田「(ハッ!!)あ…あなたは…!!」


744 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:27:38.77 ID:sGsMhwGV0
その時、コンサート会場では――。

指原「5年前、指原にAKBのメンバーを集めて同窓会をする企画を勧めたのは……米ちゃんです」

高橋「米沢が?!」

指原「はい…。米ちゃんはヒーリングサロンを経営していて、指原仕事で悩むとよくそこに行って相談に乗ってもらってたんです。それで同窓会の企画も考えてくれて…」

指原「でもまさか、本当に米ちゃんが、『あっちゃん』なんですか?米ちゃんは指原が行くといつも明るくて出迎えてくれて…。あんな恐ろしい事件を起こすような子には全然思えませんけど…」

宮澤「あたしも昔はよく米ちゃんのお店に顔出してたな…疲れたときとか。でもお店に行くと、変な連中が来てることが結構あって、それでだんだん行かなくなったんだ…」

梅田「変な連中って?」


747 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:28:34.93 ID:sGsMhwGV0
宮澤「うーん、なんていうのかな、あたしみたいに気晴らしで来てるような感じじゃなくて、もっと真剣というか…本当に米ちゃんの助けを借りたがっているような感じ?盲目的というか…」

大島「そういう人がどんどん米ちゃんの元へ集まるようになっていったとしたら、それはもうある種の団体…そう…宗教として成立する…!」

篠田「じゃあ本当に『あっちゃん』の正体は…」

小森「でもなんで米沢さんはあんなことしたんでしょう?前田さんに何か恨みでもあったんでしょうか?」

北原「えー?そんなふうには見えなかったけど…」

柏木「でもでも、何か必ず理由があるはずだよ!」

渡辺「理由ねぇ…」


749 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:29:28.89 ID:sGsMhwGV0
峯岸「あ、そういえば米ちゃんは?来てないよね?」

高城「ほんとだぁー今まで気付かなかったけど、米ちゃん来てないねぇー」

高橋「……それだ!」

篠田「え?」

高橋「いくら人数が多いとはいえ、メンバーがいないことに今まで気付かないあたし達がおかしいんだよ。米沢は…当時からみんなに忘れられたりしたことがあったのかもしれない…。あたし達が米沢を追い詰めてしまったのかもしれない…」

峯岸「そんなことって…」

高橋「有り得ないことじゃない。みんな知らず知らずのうちに米沢を傷つけていたんだよ。謝らなきゃいけないのは、あたし達のほうなのかもしれない…」


750 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:30:04.27 ID:sGsMhwGV0
その時、前田は――。

前田「あ、あなたは…米ちゃん…?」

米沢「そう…あたしが『あっちゃん』の正体…。びっくりした?それともあたしのことなんか今まで忘れていたかな?ハハッ」

前田「米ちゃん…どうして…」

米沢「言ったでしょ?あたしは目立たない存在…日陰の存在…。ずっと羨ましかった。表に出て活躍するメンバーが。特にあっちゃん!エースであるあなたのことが心底羨ましくて憎らしくてたまらなかった!」

前田「……」


751 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:31:25.10 ID:sGsMhwGV0
米沢「だからAKBが解散した時、あたしは芸能界をさっさと諦めて別の道へ進んだ。そしてあっちゃんはトリマーに…何で?どうして?」

前田「あ、あたしは前から動物好きだったから…」

米沢「てっきりあっちゃんのような人は芸能界に残ると思ってたよ。それなのにあっさり辞めてまったく別の仕事に就くなんて…」

米沢「それでもAKBのエースなの?エースとしての責任はどうなるの?あっちゃんにはいくらでも道があったはずでしょ?なんでわざわざ一般人に戻ったりなんかしたの?」

前田「あたしは好きなことを仕事にしただけだもん。それがいけないことなの?」


758 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:33:44.07 ID:sGsMhwGV0
米沢「地味で目立たないから仕方なく芸能界を去ったあたしと、周囲から惜しまれつつ芸能界を辞めたあっちゃん…。ここでも差がついちゃったじゃない!」

米沢「あっちゃんはしぶとく芸能界に残って、老いて劣化していく姿を晒して徐々にファンも減っていって…そうやって最後までその姿を見せるのがエースとしてのけじめなんだよ!絶頂期で辞めるなんてずるいよ!勝ち逃げなんて許さないんだから!」

前田「そんな…あたしはそんなつもりじゃなかったのに…」

米沢「でもね…最近あたしもようやくあの頃のあっちゃんの気持ちがわかってきたんだ。人から期待されるのって辛いね。人の前に立つのがこんなに大変なことなんだって、初めて知ったよ」

米沢「だからもう、『あっちゃん』は終わらせてあげる。今までごめんね、バイバイ」ダダッ…バタン、ガチャッ!!

前田「米ちゃん?何するつもり?(ドンドンッ)ここを開けて!出てきて!」

米沢「……」


759 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:34:33.66 ID:sGsMhwGV0
前田「米ちゃん?米ちゃん?開けてくれないならこのドア壊して…」

米沢「駄目!この中に入って来たらあっちゃんまで感染しちゃうから」

前田「え……?」

米沢「この部屋の中にはある細菌が充満してるの。空気感染するから、あっちゃんは入ってこないで。今すぐここから離れて!」

前田「そんな…!米ちゃん死ぬつもりなの?そんなの許さないからね!」

前田(一体…どうしたらいいの?)


761 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:35:03.82 ID:sGsMhwGV0
その時、コンサート会場では――。

高橋「…時間だ」

峯岸「お客さん、来てくれるかなぁ…」

ガヤガヤガヤ…

篠田「来たよ!」

大島「やっぱ人数は期待できないかぁ…あれ?」


762 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:35:34.81 ID:sGsMhwGV0
梅田「すごい…どんどん入ってくる…」

宮澤「みんなあたし達のこと覚えててくれたんだ!やったぁ!」

高橋「でも、まだ来てないメンバーが…」

小嶋「遅れてごめんねー。まだ始まってないよね?」

大島「にゃんにゃん!」

高橋「ともちんとも~み…横山まで!良かった、間に合ったんだ…」


764 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:36:26.92 ID:sGsMhwGV0
板野「心配かけてごめん」

篠田「みんな早くこの衣装に着替えちゃって」

河西「うん、ありがとー」

大島「でもまだあっちゃんがいない…」

高橋「うん、そして米沢も…あれ?そういえばれいにゃんとちかりなは?」

仁藤「2人なら米ちゃんを迎えに行きましたよ」

高橋「ええ?」

仁藤「大丈夫です。きっと間に合いますから…」


765 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:36:58.88 ID:sGsMhwGV0
その時、前田は――。

前田「米ちゃん!米ちゃん!」ドンドンッ

米沢「駄目、早くここから逃げて!あたしのことはもう放っておいてよ!」

前田「そんなことできないよ!」

タタタタタ…

前田「え?足音?」


769 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:38:11.81 ID:sGsMhwGV0
藤江「あっちゃん、話し声が下の階まで聞こえてたんでだいたいはわかったよ!早くドアから離れて!」

近野「危険な細菌なんです。あたし達が開発したものなんで…」

前田「どういうこと?」

藤江「(トントン)米ちゃん聞こえる?ねぇ、考え直して?あたし達みんな、米ちゃんを待ってるから!」

近野「これ…ワクチンです…。ドアの前に置いておきますから、必ず打ってくださいね」コトッ

前田「ワクチン?じゃあこれで米ちゃんは助かるの?」


771 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:38:50.57 ID:sGsMhwGV0
藤江「たぶん大丈夫。さ、わたし達はもう行こう!コンサートが始まっちゃう」

前田「コンサート?」

近野「AKB復活コンサートですよ」

藤江「聞こえたよね米ちゃん?米ちゃんもコンサートに出てくれるよね?」

米沢「……」


772 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:39:39.61 ID:sGsMhwGV0
前田「米ちゃん…絶対に来て!あたし達一緒のステージに立つんだよ?約束だよ?」

藤江「さ、早くここから離れよう。あっちゃん!」タタタ…

前田「う、うん…」タタタ…

米沢「……」


773 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:40:10.61 ID:sGsMhwGV0
一方その頃、コンサート会場では――。

ザワザワザワ…

客「おいまだ始まらないのかよー」

客「やっぱ復活なんて嘘だったんじゃね?帰ろうぜー」

篠田「たかみな、さすがにこれ以上お客さんを待たせるわけには…」

高橋「でも、まだあっちゃん達が…」

峯岸「ヘビロテからやれば良くない?優子がセンターなんだし」

大島「いや、やっぱり最初はあっちゃんがセンターの曲でないと…」


774 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:40:37.63 ID:sGsMhwGV0
峯岸「仕方ないなぁ。じゃあ時間稼ぎにあたしが落語でも披露して…」

高橋「いや、いいよみぃちゃん。もう諦めよう。珠理奈、あっちゃんの代わりにセンターを頼むよ」

松井珠「え?でも…」

大島「たかみな…」

バタバタバタ…

前田「ハァハァ…みんな、ごめん!」

高橋「あっちゃん!」


775 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:41:10.16 ID:sGsMhwGV0
前田「れいにゃんとちかりなが迎えに来てくれたの。コンサートのこと聞いて…あたし、」

高橋「もぉぉどこ行ってたの今まで…5年間も連絡なしで…本当に心配したんだから…うぅぅ…うっ…」

前田「ごめんね、あたしずっと、」

大島「あっちゃん、話はあとでゆーっくり聞くから。今は早く衣装に着替えなよ」

前田「優子…」

藤江「米ちゃんも…間に合うといいんだけど…」

秋元「おいっ、こいつなら今ここに隠れてるぞ!」グイッ

米沢「……」ドサッ


776 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:41:43.18 ID:sGsMhwGV0
高橋「米ちゃん!来てくれたの?」

近野「ワクチン使ってくれたんですね」

宮澤「早く着替えちゃえよー米ちゃん」

梅田「あぁ髪の毛ぐちゃぐちゃじゃん、直してあげる」

大島「よっしゃ、米ちゃん来たならチームKの曲もどんどんやってこーぜ」

秋元「そうだな!」


780 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:42:43.94 ID:sGsMhwGV0
米沢「みんな…ありがとう…。でもあたし、みんなに謝らなきゃいけないことがあるの…」

大島「え?その話って長い?もうすぐコンサート始まっちゃうんだけど。どうせ何があっても米ちゃんは仲間なんだから、別にコンサートの後でゆっくり話せば良くない?ね、たかみな?」

高橋「そうだね。優子の言うとおりだよ。米沢はAKBの大切なメンバーなんだから」

米沢「優子ちゃん…たかみなさん…」

篠田「ほら、もうすぐ出番だよ。みんな着替えたよね?」

前田「はーい」


781 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:43:36.60 ID:sGsMhwGV0
小嶋「あ、でも最初何の曲やるのー?」

峯岸「そうだ、決めてなかったよね」

高橋「そんなの決まってるよ。10年ぶりにメンバーが集まったんだよ?ね、あっちゃん?」

前田「うん、最初の曲は10年桜で」



―END―


782 名無しさん@お腹いっぱい。 2011/11/30(水) 12:44:10.20 ID:JTUkLEDb0
えっ

783 名無しさん@お腹いっぱい。 2011/11/30(水) 12:44:25.08 ID:kyLKok6d0
終わり?

786 名無しさん@お腹いっぱい。 2011/11/30(水) 12:45:04.79 ID:8ZdpOXCW0
え…終わり?

787 名無しさん@お腹いっぱい。 2011/11/30(水) 12:45:10.86 ID:Fu0qKmVA0
おもしろかった。ありがとう。

791 名無しさん@お腹いっぱい。 2011/11/30(水) 12:45:57.52 ID:f/jOOtGJ0
10人以上殺して不問かよ。

796 名無しさん@お腹いっぱい。 2011/11/30(水) 12:47:05.19 ID:Fu0qKmVA0
>>791
まあそこが引っかかるけどw


811 ◆4zj.uHuFeyJ8 2011/11/30(水) 12:57:40.86 ID:sGsMhwGV0
最初のほうでたかみなの職業が明かされていなかったので
一応自分の中で考えていた設定

前田…トリマー    大島…女優     柏木…アイドルアナウンサー
篠田…デザイナー   小嶋…タレント   高橋…エステティシャン
板野…歌手      渡辺…声優     指原…放送作家
北原…地元レポーター 倉持…歯科衛生士  高城…家電メーカーOL
秋元…旅人      横山…土産物屋   峯岸…保険のセールスレディ
大家…派遣OL    小森…幼稚園教諭  松井…ピアノ講師
梅田…スナック経営  藤江…牧場     近野…牧場
前田亜…大学院生   仁藤…美容師    増田…主婦
佐藤亜…OL     宮崎…引越し業者  石田…フリーター
鈴木ま…料理研究家  平嶋…出版社勤務  岩佐…演歌歌手
佐藤す…子供服販売  多田…主婦     菊地…セレブ妻
田名部…劇団員    中田…看護士    片山…喫茶店経営(昭和の雰囲気の)
鈴木紫…居酒屋店員  仲川…フリーター  松原…弁当屋店員
佐藤夏…刑事     中塚…事務     内田…空手講師
野中…雑貨屋店員   宮澤…古着屋店員  米沢…カウンセラー
河西…保健室の先生  仲谷…声優     小林…芸能事務所勤務
仲俣…刑事      島田…肉体労働   島崎…療養中

優子ゆきりんあっちゃんと書いてきたので
次はたかみなで考え中。。

もしまた書いたらその時はよろしくお願いします
ありがとうございました!


814 名無しさん@お腹いっぱい。 2011/11/30(水) 13:00:37.05 ID:Rt0mc70S0
>>811
乙です
次回作期待


818 名無しさん@お腹いっぱい。 2011/11/30(水) 13:03:00.53 ID:JTUkLEDb0
>>811
お疲れ様!おもしろかったよー


834 名無しさん@お腹いっぱい。 2011/11/30(水) 13:49:31.09 ID:q7aukNbV0
>>811
乙!

いや~2日間楽しませてもらったぞ!
メンの職業、行動をともにしてるメンツとか
あり得そうだから感情入りやすかったわ


AKB前田「あたしが…犯人…?」

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